自由と平等。

(2010-02-27旧ブログ引用)

今日は「右翼と左翼」の続き、「共産主義」について書きたいと思います。

前回は右翼・左翼の定義について述べた。
おさらいをすると、
左翼は現状打破、革新、グローバリズム
右翼は現状維持、保守、伝統重視

そして、また 左は平等を求め、右は自由を求めるという事もいえる。
自由、平等とくると「自由・平等・博愛」を思い出す。
これはフランスの標語として有名だが、
(博愛は友愛とも言われる あの友愛であるw)
自由と平等もまた共存できない相反する性質がある。
(博愛は別次元の問題なのでスルーw)
これを説明するにはロシア革命がわかりやすい。
今回はロシア革命、つまりソビエト、共産主義について書こうと思う。

Karl Marx
「資本論」を著したカール・マルクス

共産主義はドイツの思想家カール・マルクスから始まるが
ロシア革命が起きるまで、基本的には西洋世界は資本主義だった。
資本主義とはマルクス曰く
「生産手段が少数の資本家に集中し、
一方で自分の労働力を売るしか生活手段がない

多数の労働者が存在する生産様式」
資本主義は19世紀様々な矛盾・問題点を抱えることになった。

  • 低賃金、劣悪な労働環境
  • 物価の乱高下
  • 社会保障の不備
  • 貧富の格差、失業・無業・無産層の存在
  • 市場を求めて他国へ帝国主義的な侵略

資本家と労働者の差が貧富の差を生み、貧困から犯罪が起こり…
また、経済を繁栄させるために狙いが外国に向けられ、
植民地侵略を開始したのだ。
第一次世界大戦は各国が植民地主義を取り、行き着いた当然の結果だった。
この悪循環が社会、世界を混乱させていった。

つまり資本主義では自由に仕事ができるし、物の売買もできるが
本来、平等であるはずの人々に富が平等に行き渡らなくなったのだ。

これはいけない。富は平等に行き渡られければならない
労働者が反乱を起こした。そして、資本家や王族を倒してできた
初の共産主義国がソビエト連邦である。
ソ連は計画的に国民に平等に仕事を与え、お金を与えた。

Flag of the Soviet Union
ソビエト連邦国旗。イメージカラーは人類共通の血の色。
鎌と槌は農民と労働者を表す共産主義のシンボル。

革命は非共産国(資本家)に危機感をもたらした。
ソ連は共産主義は世界革命を起こさないと
中途半端で終わってしまうことを知っていた。
ソ連は各国にスパイ(コミンテルンを組織して
労働者による革命を支援した。(日本支部があの日本共産党

ソ連は革命のためなら、
本来対立するはずの資本主義の大国アメリカとまで手を組み、
第二次世界大戦を生き残り、
結果的に東ヨーロッパの大半と
中国、北朝鮮、東南アジアの一部を共産圏に引き入れた。

ポスト二次大戦はそのまま東西冷戦(米VSソ連)となったが、
序盤はソ連(共産主義者)の時代だったといっていい。
1949年に支援していた中国共産党が国共内戦で
アメリカが支援していた国民党に勝ち、見事に中国大陸統一
ベトナム戦争でも北ベトナム、ベトナム共産党が勝利し共産党政権が誕生した。
日本やアメリカでも学生運動・反戦運動が激化、社会の混乱が起きた。

共産主義は貧しい国民や労働者に支持され、
世界を資本主義陣営と共産主義陣営に二分するまでの勢力を誇った。

一見、共産主義の考え方は理性的で人間的な考え方にも思える。
共産主義思想は国という概念を廃して、
全てが一つになって管理運営されれば戦争も無くなり、
武器もいらなくなって平和になるという。

しかし、そのためには周りの国がすべて共産化しなければならない
保守的な各国の資本家はもちろん反対である。
だが、ソ連は必要とあれば革命戦争という名の武力を行使した。
また、周りの国から攻撃されないように極端に軍事力を上げていった。
特に資本主義の超大国アメリカに対してかなりヒステリーになっていたらしく
対等な力を得るために核兵器や宇宙開発等の方面に金をつぎ込んだ。
ソ連はアメリカの帝国主義に対する守りとして
アメリカの核兵器を「悪い核」自らの核兵器を「良い核」と呼んで正当化した。
(良いも悪いもないんだがw)
つまり平等、平和を目指したソ連も資本主義と同様に戦争に加担したのだ。

内政も大変なものだった。
ソ連は食べるもの、着るもの、仕事も全部を規制して、
人々に同じものを与え、同じ事をさせた。
反対するものは容赦なく粛清された。
「宗教は阿片」と言われ宗教も弾圧された。
今、我々は食べ物や服を選ぶ権利を当然のように思っているが
ソ連はそれができなかったのである。

しかし、所詮人間も生き物。
欲というのがある。一人一人の考え方もある。
そして、何より自由が欲しいのである。
平等を掲げたが、結局富は共産党の国家中枢に集中したし、
国民も仕事をしなくてもお金が働いている人と同じ分もらえるし、
食料は配給でくるし、ということで働かなくなった
政府も一つならば、企業も一つ、規格も一つ
外交戦略として、核の開発や宇宙開発は相当な進歩があったが、
それ以外は開発競争が止まって、技術発展が著しく低下した。
これらが総合的に影響して、最終的にソ連は崩壊したのである。

完全な自由と完全な平等は同居できないのである。

結局、共産主義は敗れ、資本主義は勝った。
しかし、共産主義という人類の壮大な実験が全く無意味であったともいえない。
修正資本主義という形で部分的に共産主義的な主張を受け入れて
現在の資本主義社会が成り立っている。

冷戦後、超大国はアメリカだけになった。
そうなると、今度は冷戦期に隠れていた民族紛争が再開し、
皮肉にも冷戦期よりも不安定な世界になってしまった。
ある意味、冷戦はバランス・均衡が取れた社会になっていた。
実際、「冷戦」という名前があるとおり、
世界大戦には至らなかったのである。

しかし、超大国がアメリカだけになってしまった現在、
アメリカ流のグローバリズムに反対する勢力が出てきた。
それはテロという形で人類に挑戦を仕掛けてきた。
そして、国家として唯一、明確に対立姿勢を仕掛けてきている国がある。

中国である。
中国は一部を資本主義化しつつも共産党政権を維持している。
そしてソ連の崩壊後、かつてのソ連と同じように
極端な軍事費の増加を行っている。
まだ、アジアでは冷戦が終わってないのである。
そして、我々の日本はアメリカと中国の板ばさみになっている。

この時期に政権が左派の民主党に変わったということは、
どういうことを意味しているのだろうか…
ここまで見た人は理解できるであろう。
また世界各地で共産主義が復活しつつある傾向も見られる。

自由と平等どちらがいいだろう?

(引用終わり)

ノンポリの方にはまず経済的平等か自由かという軸で
どちらに属するかという判断が
自分のイデオロギーを測りやすいと思う。

傾向として理系派は左派、文系派は右派的思考に陥りやすい。
まぁ、マルクスの資本論とか
頭の痛くなるような本とか読まないといけないので
高学歴の人が左翼思想に偏る訳だ。

ただ、歴史的事実として
ソビエト連邦という人類の壮大な実験は失敗に終わった。
現状、社会主義国家としては
アジアにおいて中国、北朝鮮、ベトナム、ラオスと数えるほどだが、
一党独裁体制であるものの、
北朝鮮を除きすべての国が市場を開放している。
事情は各国違うが、結果として貧富の格差や内政問題を抱え、
一党独裁を守るために資本主義経済を取り入れたので完全な社会主義ではない。

社会主義は過去の時代のものとなりつつあるが
キューバがあれほどアメリカによる妨害を受けたものの
比較的成功しているため、
反米的な中南米政権が社会主義的政策を取っており
中東で起きた「アラブの春」自体がキューバ革命と同じ動きをしているので
将来的に社会主義の復権は大いにあり得る。

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