神国日本

Flag of Japan
日章旗

日本文明の大きな特徴として、異文化に対する柔軟性が挙げられるだろう。
漢字に始まる中華文明はもちろんの事。
インド発祥の仏教雅楽はもはやインド、中国、朝鮮半島では衰退し、日本文化である。
日本では仏教のみならずヒンズゥー教や一神教であるキリスト教さえ許している。
明治維新における西洋化や戦後のアメリカ文化など…
日本は異文明を貪欲に吸収し独自に発展させてきた。

大晦日やお正月は神道由来、結婚式は神道式とキリスト式の二択が多く
西洋のクリスマスやハロウィンを記念行事とし、お葬式は仏式が一般的である。
この事から日本人は固執した宗教観を持たないとか無宗教であると言われることが多いが、
これがまさに多神教かつ教義を持たない神道の特徴であって日本人=神道信者なのである。
これは神道や仏教の国内信者数の合計が日本人の人口を超えていることからも明らかである。

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天皇中心の国家

Imperial Seal of Japan
菊花紋章

神道ではなく、仏教こそが日本人の宗教と言われるかもしれない。
たしかに聖徳太子をはじめとして古代日本は中国の王朝をモデルとして
仏教と律令制を取り入れて律令国家建設を目指した。

しかしながらその中心には常に神道の最高司祭である天皇がいた。
奈良、平安時代を通して神仏習合が進み、鎌倉時代にかけて末法思想が唱えられると、
浄土信仰が広がる中で仏が神の姿を借りて現れるという本地垂迹説が盛んに論じられたが、
元寇以後は日本は神に守られているという神国思想が広がっていき
逆に仏が神の権化であると考える神本仏迹説が生まれた。(伊勢神道、吉田神道)

一方で、日本は非西洋国で唯一近代化に成功したという特徴を持つ。
近世に入り、かつての仏教的大国であるインドや中国がキリスト教の欧米に敗れ、
日本に南蛮文化が流入すると、南蛮学と共に国学や復興神道(平田神道)が盛り上がり、
明治維新後はヨーロッパの立憲君主制をモデルとして
西洋的法制度を取り入れて法治国家建設を目指したが、
やはりその中心にも皇祖神である天照大神を祭る伊勢神宮を頂点とする国家神道があった。
国家のモデルは世界情勢によって変わるが、その核は一貫して日本由来の神道的精神だった。

戦前の歴史教科書である「国史」では
紀元は西暦(キリスト誕生紀元)ではなく皇紀(神武即位紀元)であり、
歴代天皇の治世でどんな出来事があったかという視点で書かれており、
天皇中心の国家であったことは明白である。
そして神道はもはや人為的に啓蒙する宗教ではなく、
日本人の遺伝子レベルまで刷り込まれた文化様式、習慣であると言える。

戦後、GHQによって国粋主義的な国家神道が解体され、
昭和天皇は人間宣言を行い自らの神性を否定した。
しかし人間宣言の本来の目的は神格を否定する事ではなく
五箇条の御誓文を引用して、
民主主義は輸入品ではなく、古来から日本にあったことを示す事であった。
徹底的に国土が焦土化された末の敗戦だったが、それでもなお国体は継続され、
天皇自らが傷ついた地方を行幸し、かえって戦後復興、民主化の象徴となった。
神社も民間に移行されたが、その役割は今も昔も変わっていない。
世界では戦争による敗戦から革命が起き、
君主はその地位を失い殺害されたり、国外逃亡するのが常であり、
日本国民の熱狂的な天皇支持は欧米人にとって異質に映ったことだろう。

継続は力なり

異文化に対する柔軟性やその後の独自の発展性は
裏返せばオリジナリティーがないという弱点にもなる。
天皇(国体)こそが唯一のオリジナルであり、日本の歴史そのものと捉える向きもあるが、
天皇でさえ中国皇帝に対抗する目的で名乗り始めた物であり、
また名称も中国道教の三皇の一つから取ったものである。
近代に入って天皇が対外的にemperorを名乗り、
国名を大日本帝国としたのもヨーロッパ王室の君主制を取り入れたに過ぎない。
しかし現在、相次ぐ動乱や革命により欧州や中国の大陸に皇帝はなく、
日本列島にのみ天皇(皇帝)が現存している。
この伝統を守る事が最大のオリジナルと言える。
自然豊富な島国では人為的な変革を拒み、
自然の成り行きに身を任すという思想が根付いたのかもしれない。
この日本列島の豊富な自然そのものが日本特有の文化の土台にある。

神道とユダヤ教

開国以降、全面的な外国人の往来が始まり、
日本土着の宗教である神道は海外にも知られるようになるが、
明治期に来日したスコットランド人のニコラス・マクラウドは、
神道の儀式から日本と古代ユダヤとの相似性を発見し、調査を進め、
世界で最初に日猶同祖論を提唱、体系化した。

一方で多神教と一神教、柔軟性と排他性という相違性もあり、
日本的な神道世界とユダヤ世界とは正反対にも思えるが、
さらにこれを陰陽道的な霊的現象であるという立場から
近代に生まれた大本などの神道系新宗教によって
日本オカルティズムの理論体系が生まれる。

天皇は太陽神の子孫であり、日本人は天皇家の家族であり神の末裔である。
そして世界最古の家である天皇はメシア(救世主)であり
世界を治める資格を持つという新たな概念ができた。
程度の差はあれど、国家神道も同様の神国思想を持っていた。
この点はユダヤの選民思想に近いと言えるかもしれない。

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