オウム真理教とハルマゲドン

Aum symbol

オウム真理教とは麻原彰晃を開祖とする仏教系新興宗教。
元々はヨガ教室であったが後に宗教化し、
昭和天皇崩御、ソ連崩壊、バブル崩壊などが相次いだ90年代初頭、
世紀末という時勢における社会不安を背景に
理系の高学歴者から社会的弱者などを取り込み、
ソ連崩壊後のロシアで一定数の信者を獲得するなど海外にも進出し急成長したが、
実態は麻原による恐怖政治であり、
信者とのトラブルや地域社会との不調和の末、
1989年に坂本堤弁護士一家殺害事件を起こし
さらにナチスの化学兵器であるサリンを始めとする武器を秘密裏に製造して
1994年松本サリン事件
1995年地下鉄サリン事件など大規模なテロ事件を起し世界を震撼させた。

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麻原彰晃と水俣病

開祖である麻原彰晃は熊本の貧しい畳職人の家に生まれた。
先天性緑内障のため左目がほとんど見えず、
12歳年上の長兄は全盲、5男も弱視だった。
麻原兄弟の視覚障害が水俣病の影響であり、
同様の視覚障害を与えるサリンを使ったのは水俣病の復讐とされ、
水俣病の原因である水銀を海に垂れ流した
チッソ株式会社の社長である江頭豊が
皇太子妃雅子殿下の母方の祖父にあたるため、
麻原の国家転覆、反皇室の思想に結びついたという説がある。
戦後の暮らしの西洋化のため畳の需要は落ち、
幼い頃から貧しい暮らしを余儀なくされ、
高度経済成長の暗黒面である公害に起因する身体的ハンデを負うなど
麻原彰晃はあらゆる意味で戦後日本の負の産物といえる。

ハルマゲドンとアニメ

オウム真理教の教義であり、
勧誘の煽り文句といえばハルマゲドンである。
ハルマゲドンとはキリスト教などアブラハム宗教における最終戦争の事で
世紀末1999年7の月に人類が滅亡するという
当時流行したノストラダムスの大予言がハルマゲドンの到来を意味するとして
これからできる限りの人を救うことを目的とし活動していた。

新興宗教の成せる技であるが、オウム真理教は仏教系なので奇妙に思える。
そもそもハルマゲドン思想
角川のアニメ映画「幻魔大戦」に強い影響を受けたものであると言われている。
幼少期の麻原はテレビアニメを好む普通の少年だった。
サリンを「魔法使いサリー」と呼んだり、
オウム真理教のCSI(後の科学技術省)が開発したファン式空気清浄機の名称に
「宇宙戦艦ヤマト」のコスモクリーナーを採用するなど
何かとアニメにまつわる部分が多い。
教団自身もアニメ・漫画ファン層への布教を目的として、
1991年に「MAT(マンガ・アニメ・チーム)」というスタジオを設け、
オウム出版から漫画を出版するかたわら、
麻原本人が声をあてた勧誘アニメを制作した。
コミケなどにも勧誘に出向いたり、
秋葉原などでマハーポーシャという格安PC販売の直営店を経営するなど
オウム真理教に少なからずオタク体質があったことがわかる。

麻原は自らを「ヒマラヤで最終解脱した日本で唯一の存在」
空中浮揚もできる超能力者と吹聴し、
ヨガ教室時代からムーを始めとするオカルト雑誌や
マスコミで取り上げられていた。
坂本堤弁護士一家殺害事件によって追求を受けたが、
この期に数々の著名人と会談を行い
積極的にテレビ番組に出演、イメージ改善を図った。

1990年には真理党を結成し麻原と信徒25人が衆院選挙に立候補、
尊師マーチに代表される「オウムソング」を歌い踊るなど
数々の奇抜なパフォーマンスを行った。
選挙の結果は大方の予想通り大敗だったが、
教団は選挙に不正があったとして国家権力の陰謀を主張し、
この選挙を通して平和路線から武力による権力掌握に乗り出し、
後の大規模なテロ事件へと繋がる。

地下鉄サリン事件は一般的に言われる警察に対する捜査妨害ではなく、
ハルマゲドンの予言の実現するための自作自演行為だったとする説もある。
一連のオウム事件のため、
当時敵対していた幸福の科学は政治進出を10年遅らせたと言われている。

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地下鉄サリン事件の路線図
(出典:親鸞)

この胡散臭さや荒唐無稽さに何故優秀な高学歴者が騙されたのか
大きな謎であるが、このオタク気質はひとつの答えになるかもしれない。
麻原本人に強いカリスマ性があったことは否定できないが、
北朝鮮に憧れたよど号ハイジャックの実行犯が
「われわれは 明日のジョーである」と声明を出したように
オウムにも一種の幼稚性を見ることができる。

小規模なヨガサークルから生まれ、省庁制を取り、基本律を作るなど
最終的にオウム国家建設の野望を企てた背景は
オカルトおたくのごっこ遊びにも見えてくる。
そしてマスコミはワイドショー的に面白おかしく持ち上げ続けたため、
教団の思い込みを助長した。

仏教原理主義

先述の幼稚性とは別に麻原が仏教原理主義を標榜し
広く信者を獲得したことは見逃せない。
仏教の真髄を知るには中国、朝鮮半島を経て日本に入った大乗仏教ではなく
釈迦の教えが強く残っていると言われるチベット仏教を学ぶべきとして、
チベット亡命政府の日本代表であったペマ・ギャルポと接触し、
その助力によって2回にわたって
ダライ・ラマ14世とインドで会談することに成功する。

オウム真理教の教義は伝統的なチベット仏教をベースにしながらも
キリスト教の終末論、
ノストラダムスの大予言などが入り混じったものであったが、
チベット仏教からお墨付きを得たとして
「オウム真理教は仏教の正統進化である」と宣伝に大いに利用した。
そして宗教学者もオウムを本物と思い込み支持した。

尾崎豊の損失

オウムは幹部クラスに多かった理系の高学歴者ばかり注目されるが、
多くの新興宗教同様に大多数は普通の社会的弱者で構成されていた。
地下鉄サリン事件の実行犯の一人であり、
オウムの諜報大臣の地位にあった井上嘉浩熱心な尾崎豊のファンだった。

オウム真理教は若者の教祖と呼ばれた尾崎豊のイメージを最大限利用した。
尾崎豊フィルムライブと称してセミナーを開催して尾崎ファンを多数あつめ、
1992年に尾崎が謎の死を遂げると
「尾崎はアメリカ(CIA)に殺された」とするビデオを作成し、
失意のファンを勧誘した。
「15の夜」などの歌詞に見られる不良イメージとは反対に
多くの尾崎ファンは家庭問題を抱え、
学校でイジメを受けるような真面目で従順な人が多く、
当時、オウム真理教に入信した若い信者の多くは
尾崎豊の詩のような心境だったと井上自身が告白している。
地下鉄サリン事件以後、
麻原をはじめとする幹部が相次いで逮捕、有罪判決を受け、
新世紀を迎え、ハルマゲドンも訪れなかったことから教勢を弱めたが、
アーレフと名を変えて現存しており、
リアルタイムで数々の凶悪事件を知らない若者が再び狙われている。

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