国史。

その昔、日教組的な自虐史観である学校教材だけでは満足できず、
扶桑社の「新しい歴史教科書」を買った事がありましたが、
今回、ついに戦前の歴史教科書の復刻本を手に入れました!
GHQやマルクス共産主義などの外国勢力の干渉を受ける前の
純粋な日本人の歴史観はどんなものだったのか前々から興味がありました。

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皇国史観

当時は「日本史」ではなく「国史」という教科名でした。
戦前の歴史観は皇国史観と呼ばれることが多いですが、
確かに筋書きは天皇や皇室中心に展開されます。

まずは本文の前に歴代天皇の一覧表があり、
書き出しは日本神話のイザナギとイザナミの国生みから始まり、
アマテラスの誕生、ニニギの天孫降臨、
そして神武東征が描かれ、神武天皇が初代天皇に即位し
太陽神であるアマテラスの子孫によって
大和朝廷が開かれたことから日本建国となります。
なので縄文時代や弥生時代は存在せず、
古墳時代や飛鳥時代という区別もなく、まとめて大和時代から始まります。
戦前は西暦ではなく皇紀(神武天皇即位元年)が一般的な紀元だったので、
神話から歴史に切り替わる描写は事実として詳細に描かれる一方で、
大和政権以前の邪馬台国や縄文・弥生文化は全く記述がなく
こうした古代史研究も当時はタブー視されていたようです。

その後も「皇紀××年、○○天皇の御代に…」と言った記述が多く、
どの時代を見ても天皇が主人公になっています。
祖母から「歴代天皇の名前を暗記させられた」と聞かされたものですが、
こういう教科書の書かれ方では覚えざるを得ないのも納得です。

面白いのは南北朝時代が吉野時代と呼ばれている所です。
足利尊氏は後醍醐天皇を裏切った賊として描かれ北朝の正統を否定し、
明治以降、正統とされながらも皇統の主流とはならなかった
南朝の朝廷が開かれた地からそう呼ばれます。(現:奈良県吉野町)
この後醍醐天皇による建武の中興を挟んで勃興した
鎌倉や室町の武家政権時代は朝廷(皇室)にとっては冬の時代でしたが、
その時に受けた迫害も隠すことなく悲哀をもって記述されています。
現在の教科書では名前が出てこないような天皇や
それを助けた忠臣、英雄が出てくるところが面白いです。

近年、明治以前は将軍家が絶対権力者で天皇家に力はなく、
一般庶民も天皇のことなど気にも留めなかったという主張が見られますが
権力の中心から遠ざかった時期があったことは事実ですが、
征夷大将軍(将軍)も制度上は朝廷の官職の一つであり、
天皇の委託によって政治を行っているに過ぎず、
徳川将軍家から朝廷に政治権を返上した大政奉還
まさにこうした伝統が生きていたために起こったことは明白で、
武家の世でもしっかりと皇室の伝統が受け継がれてきたことが分かります。

古代の中国王朝に対抗した三韓征伐等の朝鮮半島への進出
鎖国以前の南蛮貿易に対抗した東南アジアでの日本人街の発展など
江戸時代の鎖国期間の閉鎖性を批判しつつ
海外に進んで活躍する日本人を称賛する記述も
近代の大日本帝国の海外進出とリンクしており、今の教科書にない部分でしょう。

物語として読む歴史

曖昧でよく分からない「皇国史観」というレッテルが張られ、
GHQが危険視していた割には前半の神話の記述以外は
意外にも今の教科書の内容と大きく変わるところはないですが、
今の小学校低学年が読むには内容が難しく、
当時の小学生のレベルがめちゃくちゃ高かったんだろうなと思います。
国史教科書はズバリ「皇室を中心とした物語」です。
皇室という部分ばかりが注目されますが、特筆すべきはちゃんと「物語」になっている事です。
現在の教科書は出来事の羅列にすぎません。
これが戦前と戦後の歴史教育の大きな違いであると思います。
歴史からロマンが抜き取られたために
現在、歴史に興味を持てない子供たちが増えているのだと思います。
戦後、この役目は歴史小説が担う事になります。

この復刻元の教科書は戦前最後のもので、
相次ぐ空襲と学童疎開で実際の授業で使われた回数はそれほど多くないでしょうし、
特に高等科国史(下)は発行さえしておらず、
戦後、GHQは教科書に黒墨を入れさせたり、
発禁にしてしまったため文字通り幻の教科書となりました。
もし戦後も国史教育が継続されていたのなら
少なくとも「天皇って何が偉いの?」とか「国民の税金で贅沢する皇室いらなくね?」
とかいう意見が若者から出てくるようなことはなかったと思います。
個人としてはこの路線で戦後の歴史も書き続けた場合
どのような物語が描かれていたのか興味がありますが、
明らかな間違いも記述されているので現在の歴史教科書としてふさわしいかは疑問です。

歴史は歴史として「国史」という独立した科目があってもいいかもしれません。
民族の歴史を美しい大和言葉で描く「物語」としては大変優れたものであるので
今の歴史教育でも参考になる面は多いと思います。
興味のある方は一読されてはいかがでしょうか?

コメント

  1. patton より:

    貴重な本を買ったじゃん。私もバタアン半島総攻撃従軍記という焚書を買いましたが、アメリカがバターン死の行進を主張するうえで都合の悪いこの本を焚書にした意味がよくわかります。虐待など一切なかったのです。とにかくGHQは徹底的に日本を破壊するため行動を起こします。戦前はおっしゃる通り皇室のことを勉強しましたが、今はそういったことはないので皇室とはどういうものか知るものは少ないです。なので平気で皇室をないがしろにした発言をします。天皇は世界で唯一、万世一系なのです。日本の天皇はおっしゃる通りその歴史は神話の時代から続いています。それだけ歴史が古いのです。だから皇室を陥れようとする人たちは愛子さまに天皇を継承させようとするのです。結婚すればその子から当然万世一系から外れます。実は日本の過去にも子孫が女性だけになったことがあったのです。しかし父系をさかのぼり男性に天皇を継承させた過去はあるのです。また「八紘一宇」という平和的な言葉も教科書から消し去りました。武道も一時禁止されました。マッカーサーは日本がこんなにも強固だったのは武士道精神からくるものだという考えに至り、武道を一時禁止したのです。WGIPの徹底こそがアメリカの狙いです。私はよくわかりませんが川上漫二郎さんによるところの国史は物語要素が多くて当然です。神話要素があるのですから。おっしゃる通りこの本が現代にすべて通じるものではないだろうが、せめて世界に誇る皇室についてもう少し勉強する価値はあるだろう。

    • 国民主権の現在なので、
      国史教科書のように必要以上に武家を蔑んで天皇を持ち上げる必要はないと思いますが、
      pattonさんもおっしゃる通り天皇が国民統合の象徴である限りは
      皇祖皇宗の歴代天皇が一貫して国民と共に歩まれてきた事はしっかり教える必要はあると思います。
      万世一系と男系男子で紡がれてきた歴史を知れば
      女性天皇と女系天皇を混合したりする事も無くなります。

      バタアン半島総攻撃従軍記もぜひ一読してみたいです!

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