東京オリンピックと中国。

2020 Summer Olympics text logo

お久しぶりです。
ついに東京2020オリンピックが開幕しましたね。
新型コロナウイルスの収束が見通せない中、
緊急事態宣言下での開催という事で開催そのものの是非から
開会式直前で運営の人選における問題が頻発したりと、
様々な意見がある事は承知していますが、
アスリートファーストを考えれば
いろいろな制約がある中でも開催に漕ぎつけたことはまず良かったと思います。

私個人としては有観客で完全な形で開催されることを望んでいましたが、
これ以上の延期は認められないそうなので、仕方ありません。
こうなればこういった特殊な状況を逆手に取った発想をするだけです。
コロナは予断を許さない状況ではありますが、
日本勢の連日のメダルラッシュ
このご時世にあってお茶の間に明るい話題を提供してくれていると思います。

東京オリンピックと言えば1940年大会との比較を思い出します。

(戦前)

  • 1923年 関東大震災
  • 1925年 治安維持法
  • 1940年 東京オリンピック(中止) 
    • 震災からの「帝都復興」皇紀2600年を祝う予定だった。
    • 日中戦争の長期化により1938年に開催権を返上、
      次点ヘルシンキに開催地が変更されるも第二次世界大戦により中止。
  • 1941年 太平洋戦争開戦
  • 1945年 敗戦

(戦後)

  • 1952年 ヘルシンキオリンピック
    • 1940年大会の開催地であったヘルシンキで12年越しの開催、
      この年に講和条約が結ばれ主権回復を果たした日本は戦後初の参加を許される。
    • ソビエト連邦と中華人民共和国(中国)が初参加、
      「中華民国」(台湾)は中国の参加に抗議しボイコット。
  • 1964年 東京オリンピック(開催)
    • アジア&日本初開催、戦争からの「復興五輪」
    • 台湾の参加に抗議して前の1956年メルボルン大会よりIOCを脱退し、
      不参加中の中国は会期中に初の核実験を行い核保有に成功。
  • 1980年 モスクワオリンピック
    • 前年のソ連アフガン侵攻に抗議し、日本を始め西側諸国がボイコット。
      米フィラデルフィアで代替大会リバティ・ベル・クラシック開催。
    • 中ソ対立の影響で中国も西側諸国と共にボイコット。
  • 1984年 ロサンゼルスオリンピック
    • 東側諸国がモスクワ大会の報復としてボイコットする中、中国が五輪復帰。
      以降台湾は「チャイニーズタイペイ」としての参加を余儀なくされる。

(ミレニアム以降)

  • 2008年 北京オリンピック(夏季大会)
    • 中国初開催。
      ダルフール紛争における中国の消極性によりボイコット論が相次いだ。
  • 2011年 東日本大震災
  • 2013年 秘密保護法案
  • 2020年 東京オリンピック(延期)
    • 震災からの「復興五輪」の予定だった。
    • 中国武漢から広がった新型コロナウイルスのパンデミックにより史上初の延期
  • 2021年 東京オリンピック(開催)
    • 復興五輪は影を潜め、コロナ禍で規模を縮小せざるを得なかった。
  • 2022年 北京オリンピック(冬季大会)
    • 香港やウイグルでの人権侵害により、既に欧米中心にボイコット論が噴出している。
Poster Olympische Sommerspiele Tokio 1940

1940年東京オリンピック(中止)は史上初のアジア開催且つ
皇紀2600年記念行事でもあり、
ムッソリーニ率いるファシスト党にとっての1934年FIFA W杯イタリア大会
ヒトラー率いるナチス党にとっての1936年ベルリンオリンピック同様、
大日本帝国の威信を示す最高の舞台のはずでした。
大会に合わせてテレビ中継も予定されていましたが、
日中戦争(支那事変)が長引いた影響で返上となりました。
関東大震災以降の歴史と東日本大震災以降の歴史を比較する事で
今度の2020年大会も中止に追い込まれ、
いずれ戦争になるのでは?という予言がありましたが、
まさか中国武漢から広がった新型コロナウイルスのパンデミックによって
現実味を帯びるとは思いもよりませんでした。
奇しくも両大会とも中国絡みです。
しかし、この流れを断ち切るがごとく開催を強行しましたね。

実際、新型コロナウイルスの陰で
中国海軍は尖閣諸島周辺の日本近海で行動を活発化させており、
武力衝突の可能性が全くないわけではありません。
香港やウイグルの人権問題、台湾問題もあります。
中国の生物兵器説もまだ一部で根強いですが、
既にパンデミック自体が新たな戦争形態であると言えなくもありません。

24年の歳月を経てようやく開催された1964年東京オリンピック
オリンピックに合わせて新幹線や首都高が整備され、
見事に戦後の焼け野原から復活し、高度経済成長を迎えた日本を
海外にお披露目する大変意義ある国家イベントでしたが
これに水を差すように開催僅か6日後の10月16日に
中国が初めての核実験を行い核保有国になった事を忘れてはいけません。

現在、台湾は新型コロナウイルスの感染が急拡大しており、
アメリカが中国と敵対し台湾重視に傾きつつある中で、
中国の台湾に対する軍事的経済的圧力も今までにないものになっており、
日本は中国の輸入停止により打撃を受けた台湾産パイナップルを購入したり、
ワクチンを無償提供したり、台湾を支援する姿勢を鮮明にしてきました。

今回の東京大会の入場行進は日本の50音順となりましたが、
一つの中国原則など様々な政治的な理由で
「チャイニーズタイペイ」としての参加を余儀なくされる台湾が
大韓民国とタジキスタンの間に入場し、暗に「台湾」を認めた形となりました。
会場では従来通り、チャイニーズタイペイとして紹介されましたが、
NHKアナウンサーは中継で「台湾です」とハッキリ呼びました。
この呼称問題に関しては以前から台湾や日本国内で
「台湾」として東京オリンピック参加を目指す著名活動が行われていましたが、
中国の圧力に加え、IOCが反対の意思を示す中、見事な折衷案だったと思います。

こうして東京オリンピックの裏で台湾を巡って日中が火花を散らしていますが、
東京都の新型コロナ感染者が過去最多となっているとはいえ、
中国も来年の自国開催を控えているので、一先ずは東京大会は無難に終わるでしょう。
問題はその早くも来年2022年に開催される冬季オリンピック、
北京オリンピックの開催、その時の極東情勢です。
中国は新型コロナウイルスの発祥国ですし、
オリンピック憲章に反するような人権問題を抱える中
今回以上に国際的な政治問題に発展することは疑いようがありません。
国家ぐるみのドーピングが直接の要因と言われていますが、
クリミアを併合したロシアがG8に加えてオリンピックから追放されたように
国際社会からの中国の締め出しはあり得る話です。

New national stadium tokyo 1
(出典:© Arne Müseler

自国開催とあってメダルランキングにも国民の期待がかかりますが、
まずアスリートの方にとってはこうした政治問題に流されること無く、
自分自身に向き合って少しでも満足できる結果を残していってほしいと思います。

個人としてはスポーツよりも芸術の人間であるとは思うので、
リオ五輪の引継ぎ式(安倍マリオ)で期待値も上がっていた事もあり、
開会式のパフォーマンスに注目していたのですけど…
ドローンやピクトグラムの演出は面白かったけど、
全体的にパッとしなかったなというのが正直なところ…
これも先述の人選トラブルコロナ対策による縮小の影響が大きいのかな?
パラリンピックの開会式や閉会式は盛り返してくれるだろうか?

コメント

  1. patton より:

    細かいところまで見てるね。
    台湾という名前が使えなくても暗に差した使い方をした日本はさすがです。

    フィリピンのバナナのときは食べるのに限界があったが
    パイナップルはいくらでも食べられる。
    シロップの代わりにソーダー系の透明炭酸飲料をかけて食べるとほんとおいしいんだ。
    今度試してみて。

    台湾は日本の防衛上重要軍事拠点です。
    台湾独立後、根本中将や日本の白団(パイダン)が必死に守った台湾。
    尖閣諸島をはじめ琉球列島の最前線が台湾です。
    日本は何としても死守しなければならない。

    ところで「東京オリンピックといえばこの比較を思い出します」のサイトに飛んでみたのですが、
    私はすっかりサイトから遠のいていたのでわかりませんでしたが(テレビも見ない)、
    日米豪で潜水艦の共同開発が始まったって本当ですか。
    一時はキャンセルされた日本の潜水艦、本来なら日本単独で行うのが理想ですが、
    アメリカが絡むとFSX構想みたいに日本が「これは特許を取らせてくれ」というとアメリカが「だめだ」といったときみたいにならなければいいのだが。

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