統制と放任。

(2010-03-29旧ブログ引用)
「自由と平等」の続き…
今度は右の方…ナチス・ドイツ、ファシズムについて書きたいと思う。

自分は独裁者というのに魅力を感じることがある。
こんなことを言うと周りから白い目で見られそうだが
「20世紀を代表する独裁者」
と言えば誰もが思い浮かべるであろうヒトラー
ヒトラーはナチスを率いて
第二次世界大戦を戦ったドイツ第三帝国の独裁者である。
ヒトラーに憧れるなどとドイツで言えば即刑務所行きである。(;´∀`)
断わっておくと当然民族浄化は認めていないし、
ナチズムのすべてを賞賛するつもりはない

Heinrich Knirr – „Führerbildnis“ (1937)
ハインリヒ・クニル「アドルフ・ヒトラー(1937)」

何が言いたいかというと、
今の日本のような貧弱で停滞した政治・国際的立場にいると
「強い日本」「強い指導者」というのが欲しいのである。
こういう考えをもつ人は結構多いのではなかろうか…
ナチスはユダヤ人を虐殺したとかなんとかで
ファシズム全体が悪の象徴のように言われる世の中だが
ここでは、一歩はなれて
ファシズムという動きが何であったかを考えていきたいと思う。

ファシズムの始まりはイタリアのムッソリーニからである。
ファシズムのファッショというのはイタリア語で
「束」「結束」という意味である。
つまりファシストとは結束した同盟者の集まりということになる。

Flag of the National Fascist Party (PNF)
ファシスト党党旗。共産主義が赤ならファシズムは黒。
斧の周りに木の枝を巻き付けた古代ローマのファスケスがシンボルである。

ファシズムが台頭してきたのには理由がある。
社会主義思想が広がっていたのは20世紀の特徴であるが
欧米の植民地主義の行き過ぎによって起こった
第一次世界大戦がすべての始まりである

イタリアは日本同様、
戦勝国になって国際連盟の常任理事国の地位を得たが、
元々ドイツ、オーストリアの三国同盟側であり、
開戦当初はどの国とも宣戦布告せず静観していたこともあり
講和会議では求めていた一部地域の領有が認められず、
戦争による負担と比較して得るものが少なかった
イタリア経済は疲弊し、政情不安が続くことになった。
敗戦国であるドイツはさらに悲惨である。
全植民地を失い、国土も戦勝国に分割され、
天文学的数字の賠償金を要求される。

ドイツの経済はボロボロになり、失業が相次いだ。

そして、追い討ちをかけるように世界恐慌が起こる。
植民地が多いイギリスやフランスは自国の植民地だけと貿易をする
ブロック経済をとり他国との貿易を制限した。
これは植民地の少ないドイツやイタリアに負担を与えることになった。
これらの問題を脱しようとファシズムは起こった。
※日本は厳密にはファシズムではない(後述する)

イタリアではファシスト党のムッソリーニが
「ローマ帝国の復活」を主張し政権を握り、
ラテラノ条約によって教皇領権利の放棄と引き換えに
バチカン市国の主権を認め、
カトリック教会との長年の懸案を解決した事で
カトリックの多い国民の支持を獲得。国内基盤は盤石となる。
ドイツではナチス党のヒトラーが
巧みな演説で「ゲルマン民族の優秀さ」を説き国民を鼓舞し、
対照的にユダヤ人を排撃する事で国内のフラストレーションを解消させた。
その後、イタリアはエチオピアに侵攻し、ドイツはオーストリアを併合。
ファシズム国家は他国の侵略により
自国経済圏を拡大することで活路を見出そうとした。
当然、貧しい国民は独裁者の語る
「民族の再建」「帝国の復興」「夢や希望」に励まされ
1人のカリスマに希望を託したのである。
イギリスやアメリカでも当初、同情的な見方が多かった。

ユダヤ人の虐殺は外なる敵を作るファシズムの代償である。
ナチス的世界観において金で人を操る汚い劣等民族であり、
ドイツの利権を食い散らかし、尚且つ共産革命によって
ドイツ民族を滅亡に追いやろうとしていると考えた。
ナチスの肩を持つつもりは一切ないが、
ユダヤ人迫害はナチスドイツの専売特許ではなく、
キリスト教圏で歴史的に繰り返されていたもので、
当時においても
ユダヤ人迫害に否定的な意見を持つ人はヨーロッパでは多くなかった
バチカンもユダヤ迫害を黙認していた。
今のユダヤ虐殺に対する同情は戦後、ニュルンベルク裁判において利用された。
※ユダヤ人に国家として救済の手を差し伸べたのは
人種平等を国是としていた日本とユダヤ人が経済的影響力を持つアメリカぐらいだ。

ファシズム諸国は経済や国土の回復を進めて、
ついに第二次世界大戦に発展する。
ドイツの戦略が成功していくうちにヨーロッパの大半を支配するようになる。
しかし結局、アメリカの物量の前で戦争は負けてしまった。

今、ドイツでは公然とナチズムを讃美すれば警察に捕まる
日本でもアイドルが「ヒトラーおじさん」発言して謝罪する問題になった。
ファシズムは世界的に全否定され、
ドイツでは思想の自由、発言の自由がないのである。
(そういう意味ではまだ日本はマシなほう)

しかし…社会主義(共産主義)は政策として失敗したが、
ファシズムは戦争で負けただけであって
政策として失敗したとは言いにくい
ジェット機やロケットなどの科学的発明
癌治療などの医療技術などは戦争の犠牲の上に立ったものだとしても
アウトバーン建設(高速道路)フォルクスワーゲン(国民車)
明らかにファシズムの功績であった。
実際、イタリアでは今でも
ファシスト党が議席を持って一定の影響力を持っている。
EUなんていうのはスケールが大きくなった形を変えたファシズムそのものだ

よく左翼・右翼の話をするとき、
結局、人類は進歩の度に左翼になっているという知識人的発想を聞くが、
たとえば宇宙人でも攻めてきて
地球人が結束して、国境の壁・国の利害を乗り越え地球統合政府ができたとする。
(SFだけれどもこれ以上に現実味があって可能性のある事例が考えれない)
でも、それは宇宙人を排する目的で結成された訳だから
これはグローバリズムというより、ファッショ的だといわざるを得ない。
結局、いつの時代も敵というのは必要なのだろうか…

ここからは日本の話。
独裁者に憧れるとまで言ったが
日本人は」の精神であるわけだから
独裁者というのが生まれにくい社会システムになっている。
東條英機日本のヒトラーと言われているが…
ヒトラーに申し訳ないだろうwww
大戦中、アメリカもイギリスも
ドイツもイタリアもソ連も指導者を変えなかったが
日本だけはサイパン島の玉砕の責任をもって東條は首相をやめている。
大戦中、民主主義が機能していたのは日本だけといっていい。

天皇制ファシズムという造語もあるが、
もし、日本がファシズムであったのなら陸軍と海軍が喧嘩するはずがなかった。
つまり日本は権力が分散しすぎた
これはファシズムとは正反対の状況である。
唯一のつながりは日本民族であることだった。
もし、これが天皇絶対のファシズムなら戦争の行方も変わっていたかもしれない。

でも、戦後の民主主義が絶対か?というとそうも思わない。
今の日本の現状を見れば衆愚政治としかいいようがない…
かといって独裁がいいかと言うと
一時的には効果を発揮するが所詮、一人の人間であることは間違いないので
ヒトラーのように一人の判断によって国の運命を左右するというのも問題がある…
結局は国民の意識を高める以外にないと思う。
つまり、国民の政治レベルが著しく低いのが問題である。

そんな国民が選んだ今の民主党をナチスだという人がいるが…
ナチスという割には伝統を重視していないので…ソ連的というか…
…いや、こんな売国政党みたことねえよ!!!

この間、ナチスドイツが極右と言ったが、
実はナチスはドイツ労働者党のことであり、
本来左翼的なものからの影響が強かった
つまり単純に右翼という言葉で片付けられるものではない。
(左翼と右翼の融合、本質的左翼とも…)
議会制民主主義を禁止して独裁制をとっていることではソ連と大差がないが
私有財産制度や階級制度が制限付きながら存続していること、
君主制など既成勢力や伝統的勢力が
民族の神話として利用されている面で異なる。

(引用終わり)
古い記事でして今見ると結構ひどいw
まぁ、この時期たしかにファシズムに傾倒してましたw

前回ソ連の話の時に経済的平等か自由か?という
政治思想マトリクスの図(トップ記事)でいう横軸で話をしましたが、
今回は文化的自由度を示した縦軸を見てもらうと分かりやすいと思います。
自由と平等に対して統制と放任と言う言葉が的確かもしれません。

まず何が言いたいのかと言うと
ユダヤ人虐殺(所謂ナチズム)≠ファシズムという点。
ファシズムは国内では評判が高く、
戦争に負けたため戦勝国(民主主義国)が一方的に
そして不当にファシズムに負のイメージを与えているということ。
善の部分が語られていない。再評価をするべき。

そして民主主義≠最高の政治体制という点。
当時は民主党政権下であったので
民主主義が本当に見事なまでの衆愚政治となっていました。
民主党を選んだ日本国民に失望し、自民党も依然古い体質が残っていました。
タレント議員とかふざけた存在もあり、
知名度があり人気があればどんな思想であろうが議員となる。
ほんとに信念のないニュートラルな無機質の日本でした。

だから強い意志の持った政治家や全体主義体制に価値を見たんですねぇ…
安倍総理の復活は本当に良かった。

こういう話をするとつくづく日本と言うのは特殊な国です。
「和」を重んじた聖徳太子の十七条憲法
今に至っても日本人の深い所にその精神が残っていて
権威と権力を分散し、征夷大将軍であろうとも天皇には手を出さず、
明治維新後も天皇は政治の実権握らず、
大正デモクラーの時には普通選挙、
政党政治が行われて近代的民主主義が花開きます。
昭和に入り、外圧に対する政党政治の行き詰まりから
昭和維新を目指した
226事件の陸軍将校たちはまさに「天皇親政」を目指しましたが、
昭和天皇自らが否定されました。
戦時体制として、政党の解散と左右合同の大政翼賛会が作られて
全体主義的なナチスの真似事をやろうとしたけど、
議員はしっかり選挙で選ばれて、
東条総理もサイパン陥落の責任を持って戦争途中で総辞職しました。

つまり民主主義の精神自体は戦後アメリカからもたらされたわけではない。

戦後になってから高度経済成長期に田中角栄
「日本列島改造論」など開発独裁的な政策を行いました。
それぞれ功罪はあれど、
海外で開発独裁を行った韓国の朴正煕、
フィリピンのマルコス、インドネシアのスハルト・・・
このような政治家は暗殺されるか国外逃亡になり、金権構造は無くなるが、
角栄は失脚後も裏舞台から影響力を保持し続け、
角栄亡き後もそのシステムが残り自民党の長期政権を支え、
政治とカネ問題となり、最終的に自民党は政権を失う事になります。
これは悪い意味で和がでてしまった・・・

日本は体はデカいが頭がない中枢が存在しない国家である。
言い換えると一人で責任を負う事をしない。
日本人は個人では弱く、右向け右の団体主義的民族である。
それ故に1億総中流の「世界で最も成功した共産主義国」とも言われた。

本来、「お上」の発想を持つ日本人は全体主義が馴染みやすく
急激な民主化は戦前危険と見られ、
天皇を頂く本来保守傾向が強い日本にとって赤化を最も恐れた。
戦後は周知のとおり、戦後民主主義が学生運動を生み
またノンポリを生み出し今日の衆愚政治を作り上げた。

民主主義が最善の選択だ盲目的に信じている人がいるが
何事も行き過ぎはよくないということを肝に入れるべきで、
個人主義の行く先はアナキズムとなり、過激派となり、
それが力を持てはオウムを生み出し、ヒトラーを生み出す事になる。

ナチスは民主的な選挙によって選ばれたのだ。
現在、民主主義体制を選択してる以上その中で改革を進めるしかないし、
そのためには一人でも多くの方に
ノンポリから抜け出し政治に参加してもらうしかない。

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