日米貿易協定の勝者。

25日、 安倍総理とトランプ大統領が米ニューヨークで会談し、
ついに日米貿易協定の合意文書の署名に至りました。

(出典:首相官邸)

日本はTPP水準で農産物市場を開放する一方、
米国にとって対日貿易赤字の最大の要因である
自動車については協議が持ち越されることになりました。
安倍総理は「ウィンウィンの協定である」と発言する一方で
トランプ大統領は「勝利」を強調しています。

果たしてどちらが勝者なのか?
日本の多くのマスコミは日本がアメリカに譲歩したと報道しています。
もちろん完全に平等な協定ではないのは事実です。
日本がアメリカの主力輸出産業である農業分野で譲歩したのだから
アメリカは日本の主力輸出産業である自動車の関税を撤廃するのが筋ですが、
圧倒的な国力を誇り、
関税撤廃どころか追加関税をちらつかせるアメリカに対して
農産物をTPP水準に抑えて、追加関税を回避することに成功したので
日本としてはまずまずの成果だったのではないでしょうか?
付属文書で自動車関税に対しても
「将来の撤廃」を盛り込むことに成功しました。
トランプ大統領はウクライナ疑惑が沸き起こる中で
中間選挙を控えているので目に見える成果を急いだのでしょう。
トランプ大統領の強気の発言はほとんど国内向けの発言と言えます。

こうして日米の貿易交渉を見てみると
日本側はトランプ大統領の動向や
アメリカの選挙について相当研究していると感じます。
オバマ政権末期、大統領選後アメリカで否決されるであろう
TPPを日本が先行して批准し、
アメリカ離脱後TPP11でリーダーシップを発揮、
イギリス離脱で揺らぐEUとも日欧EPAを結び
世界の自由経済をけん引してきたことが、
結果的に今回の貿易交渉で日本を守る盾になりました。
私は貿易問題で日本が一方的に負けたとは思えません。

日米貿易交渉が続いている間にも
TPP加盟国であるカナダやオーストラリア産牛肉などの
関税が現在進行形で引き下げられているのです。
アメリカにとっては日本との交渉合意を急ぐ必要がありました。
その結果、アメリカはトランプ大統領が公約に掲げていた
自動車への追加関税を見送る事になったのです。
アメリカが再び追加関税をちらつかせてくる可能性もゼロではありませんが、
協定が誠実に履行されている間、
協定や共同声明の精神に反する行動は取らない
という
言質を取り付けたことで当面は追加関税を回避することに成功しました。
こうしてアメリカとの最大の懸案である貿易問題が一区切りつきました。
暴れん坊のトランプ大統領との戦い、
中間選挙まではひとまず乗り切った形でしょう。

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