南北首脳会談と北朝鮮包囲網。

4月27日、軍事境界線にある板門店の
韓国側の施設『平和の家』で南北首脳会談が行われました。
見て感じたのは金正恩の余裕です。
習近平からどんなレクチャーを受けたか分かりませんが、
中朝首脳会談のどこか緊張した面持ちから
今回は非常に余裕に満ちており、取材陣にも笑顔で応え
予定にはなかった文在寅大統領を
北朝鮮側に軍事境界線を跨わせる機転も効かせました。

2018 inter-Korean summit 01 (cropped)
(出典:韓国大統領府)

南北首脳会談自体は三度目です。
今回は初の韓国開催で、北朝鮮首脳が初めて軍事境界線を越えた事
歴史的と言えるでしょうが、問題は中身です。
会談の公開された映像を見て
「意外に金正恩いい人」「感動した」と思った人はちょっと待って欲しい。
そのいい人っぽいの兄殺しの独裁者なんですけど・・・

板門店宣言では
核のない朝鮮半島の実現という共同目標を確認し、
朝鮮戦争の終戦を宣言し、
平和協定の締結を目指して恒久的な平和構築に向けた南・北・米3者、
南・北・米・中4者会談の開催を積極的に推進すること
を宣言したとあります。

物足りないように感じるか、
北朝鮮が譲歩したと感じるか人それぞれですが、
一先ずはミサイルが日本上空を飛んでJアラートで起こされる
というような事態はしばらくはないだろうというだけで
今回の会談で何かが動いたとは言えないという感じがします。
過去二回の共同宣言も似たり寄ったり、
結局時間稼ぎに使われたというのが歴史です。

まず核のない朝鮮半島の実現という共同目標というのは具体的に何を指すのか?
国際社会は一方的に核開発を進める北朝鮮を非難しているのであって
北朝鮮が核廃棄に応じれば良いだけなのですが、
北朝鮮が核武装に動いた背景を考えれば
当然在韓米軍の撤退を交渉条件に入れてくる可能性があります。
それに韓国も協力するかのような含みを感じます。
中国を交渉に参加させるのは
先の中朝首脳会談で恐らく打ち合わせ済みだったのでしょうが、
朝鮮半島の非核化と在韓米軍撤退で漁夫の利を得るのは中国でしょう。
問題はアメリカがそれを容認するか否かです。

今回、日本の拉致問題がどの程度言及されたのかは不透明ですが、
「安部総理が過去の歴史の清算に基づいた日朝国交正常化を望んでいる」
と文在寅大統領が伝え、
金正恩は「日本との会談に応じる用意がある」と発言したとされています。
日本はこれに急いで飛びつく必要はありません。
文在寅は日本が積極的に北朝鮮にラブコールをしてるような言い方をしてますが、
そもそも拉致被害者をさっさと返せばいい話なのです。
今回の会談で韓国はまたしても竹島絡みの食事を用意し、
いたるところで竹島入りの朝鮮半島を見せつけられました。
過去の歴史の清算についても今度は南北共同で日本にたかる予感がします。
南北朝鮮共に約束を破る常習犯です。
この合意についても全く信用できないというのが日本政府の本音でしょう。
日米首脳会談でトランプ大統領自ら日本の拉致問題に深く言及し、
6月初旬までに行われる米朝首脳会談では大きく取り上げられるとされるので、
まずはそれを見定める必要があります。

(出典:海上自衛隊)

一方でトランプ大統領にもリスクがないわけではありません。
29日、関東沖で初めての日英海軍の共同訓練が行われました。
日本は国連決議で禁止された
北朝鮮による瀬取りに対する取締を主導的に行っていますが、
沖縄の嘉手納基地を拠点として
米軍以外にカナダ、オーストラリアも参加することになっています。
5月には日露首脳会談も行われる見通しなので、
日本は南北の融和ムードに気を取られることなく、
アメリカの不測の行動に振り回されることなく、
様々なリスクを分散し、完全なる非核化、拉致被害者の救出を求めて
国際社会と共に継続的に圧力をかけ続ける必要があります。

コメント

  1. Anonymous より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ー怒りと不満を国家にぶつけようー
     むかつく国家。あなたの問題はあなた個人のものではない。
    乗せられてはいけない。極めて単純なことであり、あなたの欲求不満と
    苛立ち、それはエリート的な人たちの策略である。
     もし個人が個人として不満だけがあるのなら、そのまま滞留させるの
    はだめで、対話という幻想は放棄し、国家に与えよう。
     もっと怒ろう。国家に怒ろう。それしか解決法はない。
     もっと怒ろう。国家に怒ろう。集団化しよう。
     わたしは匿名者である。

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