平安法が参議院に移り審議が始まっている中、
安倍総理は今まで明言を避けていた「中国」を名指しで答弁した。
マスコミの一部は「安倍総理が仮想敵国は中国と名指しした」と報道した。
これを受けて「やはり戦争法案だった」批判する者がいる。
もっとも仮想敵と言う表現は実際には使っていないので
マスコミの表現には注意する必要がある。
いずれにしても集団的自衛権行使容認が
近年の中国の不穏な動きに対するものであることは間違いない。
戦後の安保法制の歴史を振り返ってみると
敗戦後はソ連と言う強大な存在があり、
日本は共産主義の防波堤として日米安保条約によって
主権回復後もアメリカに土地を提供して
アメリカ軍に守ってもらえれば良かったが、
ソ連崩壊後はそうではなくなってきた。
湾岸戦争では多国籍軍の1員としての自衛隊派兵の要請に対して
日本政府は9条の従来の見解にたって派兵をしなかったために
国際社会から批判を浴びた。
その反省を持ってPKO協力法など
時限立法によって海外派遣の法整備が進められ、
イラク戦争では復興支援に参加した。
しかし、武器携帯など行動は厳しく制限され、
他国軍の護衛が付くなど依然、自衛隊は9条によって束縛された状態であった。
イラクでは自衛隊は道端で倒れていた他国軍人を救助できず、
見て見ぬふりしかできなかった。
なぜなら集団的自衛権は行使できないとされてきたので、
この負傷が他国による攻撃のものであった場合、
これを第3国である日本国自衛隊が救助する事は
集団的自衛権の行使となるからである。
この時点で、9条は時代錯誤のものであり、
自衛隊の行動の範囲が広まるにつれて様々な問題を抱えるようになっていた。
そして米軍再編におけるアメリカの極東地域のプレゼンスの低下、
それに合わせるかのように日本近隣諸国(中国、北朝鮮、ロシア)の強大化、
こういった世界構造の変化に日本も変革を要求されているのである。
一番大きな脅威としては尖閣、東シナ海における中国の存在である。
ロシア、韓国との間にも領土問題は存在するが、
追加的に領土を奪う可能性は低い。
しかし、中国は明確に日本近海の海洋資源を狙い
東シナ海の内海化、尖閣沖縄の領有を目論んでいる。
関連して今一番危険と考えているのは尖閣を保有する沖縄の現状であり、
この判断を誤ると尖閣を発端に沖縄、
そして台湾、日本と中国に飲み込まれる可能性がある。
中国は共産主義の独裁国家であり、自由主義国家の日本とは相容れない。
中国は戦後に中国共産党により統一され、
ソ連の援助を受け核開発に成功。
国連常任理事国の権利を国民党(台湾)から奪い取った。
経済特区を設け、外貨や技術を導入(資本主義)
貧乏国から抜け出し21世紀に入り経済成長を迎え、
日本を世界第2位から3位に蹴落とした。
不透明な軍事費も年々右肩上がり、周辺国に不安を与えている。
戦後間もなくは国共内戦から、
ウイグルやチベットなどの内陸部を中心として侵略を繰り返した
中共の侵略の手は今、陸から海に向かっている。
中国軍は第1列島線、第2列島線を設け太平洋への海洋進出を狙っている。
それは東シナ海における尖閣諸島、
ガス田問題や南シナ海における南沙諸島、埋め立て問題
また日本、韓国、フィリピン、パラオなどの領海侵犯を見ても明らかである。
中国は近年ついに空母を手に入れた。
未完成艦を「カジノとして利用する」としてウクライナから購入し 中国初の空母として完成させた遼寧(出典:Baycrest 投稿者自身による作品) |
第一列島線が中国の海と化したら日本は石油シーレーンを失い
国内をまかなうエネルギーが確保できなくなる。
それこそ第二次大戦の再来である。(エネルギー安全保障)
中国の対米防衛線 近年の海洋進出は第一列島線の確保が目的であることが分かる。 |
中国はフィリピンや韓国は取るに足らないし、
一番の問題は日米同盟、さらに言うと沖縄米軍と考えている。
中国はアメリカと事を構えることはしないので、
日米の間に亀裂を入れたいと考えており、
沖縄にスパイを送り込みマスコミを乗っ取り、
様々な工作を行い、事実「尖閣事件」は起こった。
沖縄米軍の力が弱まった時に尖閣沖縄侵攻は始まる!
幸い、民主党政権から自民党政権に移り
安倍内閣の中で崩れかけた日米同盟の再結束が示され、
中国の露骨な挑発行為は少なくなったが、
尖閣事件以降の中国の領空領海侵犯は急増中である。
尖閣の領有問題は民主党の失態によって既成事実化された。
外交的失敗は取り返しがつかないのである。
その上、沖縄知事選では辺野古移設反対で親中派の翁長知事が当選した。
これも合意された辺野古移設を民主党政権が白紙にし、
「最低でも県外」などとしたためである。
翁長知事は安倍内閣と全面対決姿勢であって、
基地移設問題は沖縄と日本本土、
また日米の分離工作を画策する中国にとって有利に働く。
クリミアやスコットランドと同じことが沖縄で繰り広げられようとしている。
残念ながら尖閣で有事が発生した場合に
アメリカが実際に日本を支援する可能性は決して高くない。それもそうだ。
他国の無人島のために
命を懸けて核保有国の中国を相手に戦争をするのはリスクが高すぎる。
もし、アメリカがその気ならF-22戦闘機の輸出を認めることもできた。
一方、オスプレイは尖閣などの島嶼防衛のために輸出を決めた。
ヘリ空母いずもでの運用も可能だ。
しかし、このオスプレイに関しても例によって左翼やマスコミが批判している。
中国は米中の新二大国の構想を描き、
太平洋をアメリカと分け合おうと考えている。
一番困るのは間にある我々、日本やアジア太平洋諸国である。
中国は日本に対しアジアにおけるリーダー争いの挑戦を仕掛けている。
アメリカの力が弱まる中、
日本が取るべき行動としてはそれを死守する事であろう。
日本は政治的劣勢を覆すべく国連常任理事国入りを目指しているが、
中国が執拗に反対している。
中国は拒否権を持っているため、現状では常任理事国入りは不可能だ。
日本が中国に単独で対抗する力を手にいれれば別だが、
現状を考えれば日米同盟、沖縄米軍は抑止力として必須である。
そしていつまでもアメリカが日本に味方してくれるという保証はないのであって、
これをより強固なものとするためには集団的自衛権を行使して、
対等な相互防衛体制を構築しなければならない。
しかし、将来を考えた場合、
異論が多い核武装や徴兵制についても一定の覚悟は必要のものと思う。
中国は世界一の人口を持ち、徴兵制を布いている。
対岸の台湾はもちろん徴兵制。
常に陸続きの北朝鮮の脅威に晒されている韓国も同様であり、
不安定な東アジア情勢の中で、日本だけが志願制である。
こうしていられるのも沖縄、在日米軍のおかげだ。
戦後長期の虚構の平和を享受してきた日本人は
平和と水はタダだと思い込んでいるが
なぜ他人の日本人を無償でアメリカ人が守らねばならないのか?
まず日本人自身が血を流さねばならないのは常識だ。
主権国家として自分の国は自分で守るのが前提であり、
それを否定する者には日本に住む権利も沖縄米軍に口出しする権利もない。
平安法反対派は日本が何もしなければ戦争は起きないと思っている。
じゃあなぜ尖閣事件が起きたのか?
そしてなぜそれ以前に尖閣事件は起きなかったのか?
そこに答えがあると思う。
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