日本核武装の現実性。

(出典:KCNA)

北朝鮮は先月28日、
日本列島上空を飛び越す中距離弾道ミサイルの発射実験を行い、
9月3日、6度目の核実験を強行しました。
日本にとってはとっくにレッドラインを超えていますが、
アメリカは国連安保理で制裁強化を訴えるのみで、
何ら有効な対抗手段に打って出れない状況にあります。

今のところ米朝のチキンレース北朝鮮が勝っているとしか言えない状況で、
北朝鮮が先手先手で核戦力強化を進める形となっています。
北朝鮮の警告通り
グアム周辺にICBMを落とせばアメリカの対応も変わるでしょうが、
その隙を突くのが北朝鮮の戦略であり、
方向をグアムから日本列島の東の太平洋上、
大陸間弾道弾ICBM(火星14)から
中距離弾道弾IRBM(火星12)にランクを落とすなど
アメリカが手を出しにくいラインで挑発を続け結果的にそれは成功しています。
この調子で経済制裁と核・ミサイル実験の応酬が繰り返されて
一番の損害を受けるのは日本です。
日本の上空を飛び越えるミサイルを連発、核実験も繰り返され、
Jアラートは鳴り響き、鉄道など公共交通機関が停止、国民生活は混乱、
いつ日本本土にミサイルが落ちるか分かりません。

日中、米露は対立関係にあるので
それぞれ日本はロシア、アメリカは中国に働きがけて
北朝鮮の後ろ盾である国の協力を仰いで
国際社会で連携して北朝鮮に圧力をかけ、自制を促すように訴えていますが、
中ロは表面上は批判を行いながら、制裁には消極的です。
これまでの経緯から六者協議などの対話
国連決議による圧力無意味であることは明らかです。
トランプ大統領はアメリカ単独での軍事力行使を否定はしてませんが、
結局アメリカといえどイラクやシリアと違い
既に実質的な核保有国となった北朝鮮を相手に大きなリスクを取りたがりません。
また当事国である韓国に至っては
日米とともに制裁の輪に加わってはいますが、
ロシアに擦り寄り、対話に前向きな一面もあります。
朝鮮半島だけで考えれば文在寅政権誕生で既に北朝鮮の完全勝利でしょう。

ここまで北朝鮮の核戦力強化が進み、
国際社会が半ば容認してしまっている状況を考えると
この問題を解決できる唯一の方法は日本の核武装しかありません。
国民感情を考えれば難しい問題です。
唯一の被爆国としてこれまで日本は核不拡散、核廃絶を訴えてきましたし、
もちろん朝鮮半島を非核化させることが最大の理想ではありますが、
この状況下で北朝鮮が核放棄に応じることはまずありえません。
緊迫した世界情勢を冷静に鑑みれば、日本の核武装は妥当性があります。
アメリカが1945年に初めて核実験を成功させると4年後にはソ連が保有し、
イギリスが1952年に保有すると8年後にフランスが、
中国が1964年に保有すると10年後にインドが、
そしてその14年後にパキスタンが保有しました。
周辺地域に核保有国が誕生した時、核保有の連鎖が起こってきたのが歴史です。

NPT非加盟のイスラエルは
既に1979年に核保有に成功しているとみられていて
これに対してイラク、イラン、シリアなどのアラブ諸国が
核開発を仄めかせ、進めてきましたが、
冷戦終結後のアメリカの積極的な介入もあり、その多くが頓挫する中、
北朝鮮は中国を後ろ盾とすることで2006年に核保有を宣言、
今年11年目を迎えます。

既に中国が核を保有した1960年代後半に
佐藤内閣が極秘に核保有の可能性を検討し、
その結果、日米同盟の核の傘に入りながら、
非核運動の盟主として非核三原則を打ち出すことになりました。
しかし、当時の冷戦期から世界情勢は一層厳しさを増しています。
常任理事国のロシアに中国、そして新たに北朝鮮と
東アジアにおいてレッドチームのみが核を保有しているという状況が問題です。
日本の核武装によって、北朝鮮による露骨な挑発行為を止めさせ、
朝鮮半島ばかりか東シナ海、南シナ海など
東アジア全体の軍事バランスは一気に安定します。
もちろん核武装はNPT脱退を意味し中露の反発は必至ですが、
北朝鮮の核を認めながら日本は認めないというのは道義的な問題があります。
日本の核武装宣言によって
東アジアの核拡散問題に各国が真剣に取り組むことになり、
北朝鮮に甘い中露を動かすことにもなります。

ミサイル発射直後の30日、イギリスのメイ首相が初来日、
小野寺五典防衛相と共にヘリ空母いずもを視察し、
午後には首相官邸で開かれる国家安全保障会議(NSC)にも参加するなど
安倍内閣は異例の待遇で迎え、日英同盟復活を印象づけました。

日本の護衛艦に外国首脳が乗船するのはこれが初めて
(出典:防衛省)
国家安全保障会議(四大臣会合)特別会合に参加したメイ首相
(出典:首相官邸)

既にステルス戦闘機(F3)の共同開発計画空軍共同訓練など
軍事面で協力体制の下地が作られようとしていますし、
日本は中国との経済関係を重視するドイツ(EU)よりも
新たなパートナーとしてイギリスを選びました。
奇しくも秋篠宮家佳子内親王殿下も今月からイギリス留学されるなど
日本の皇室とも歴史的に深い関わりがあります。
イギリスにとってもEU離脱を控え、
ヨーロッパ統合よりもかつての大英帝国、
オーストラリアやニュージーランドなどオセアニア地域も含めた
イギリス連邦(コモンウェルス)を重視する流れから
東洋にも関心を寄せていると考えられます。
一節には香港を中国から取り戻そうとしているとも囁かれています。

こうして漠然と日米英三極同盟が形作られているような感があります。
これは北朝鮮よりもむしろ中国やロシアといった
ランドパワーに対するシーパワーの同盟といったところではありますが、
中露を含めた既に形骸化した国連を始めとする国際社会ではなく
核保有国である米英の二カ国の協力と賛同を取り付け、
核武装の布石とするのかもしれません。
問題である核実験場もかつてインドが提供の用意があると発言していますし、
インドのモディ首相と安部総理は蜜月関係を築いており、
インド高速鉄道の新幹線システム採用原子力協定が結ばれています。
そもそも北朝鮮が1998年の段階で
パキスタンで核代理実験を行っていたという疑惑があるぐらいですから、
パキスタンと対立するインドで
日本の核代理実験を行うことはなんら不思議ではありません。
日本の核武装は北朝鮮により、
かつてないほどに現実味が増していると考えるべきです。

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