金正恩の電撃訪中。

金正恩委員長自らが先月25日に電撃的に訪中し、
北京で習近平国家主席と会談が行われました。
一連の北朝鮮による核・ミサイル開発金正男暗殺により
関係が冷え込んでいた中朝関係だっただけに
米朝首脳会談の決定に続く、急展開です。

金正恩にとって外国首脳に会うのも、
最高主導者として外国を公式訪問するも初めて、
事実上の外交デビューであり、
28日に中国が放送した会談時の金正恩の様子は
北朝鮮の国営テレビでみるふてぶてしさはなく、
どこか初々しさを感じました。
こうしてみるとやはり北朝鮮はまだまだ中国の手中にあると感じます。

北朝鮮にとって韓国、そしてアメリカと首脳会談を行う前に
歴史的な友好国であり、多くの国境を接する中国と
話を通しておくことは北朝鮮の安全保障
アメリカとの交渉にとって優位である事はもちろん。
中国にとってもアメリカからアジアの主導権を取り戻すことにもなります。
まさにウィンウィンの関係で、これから難しい交渉が控えている中で
中朝首脳会談は金正恩の外交デビューの場としては最適であったと言えます。

こうして六者協議メンバーで北朝鮮とコンタクトが取れていないのは
残すところロシアと日本だけになりましたが、
ロシアは中国同様、北朝鮮の後ろ盾であり
昨年、東方経済フォーラムで何らかの接触があったとみられているので
日本のみ孤立する状況と言っても過言ではないでしょう。

日本は米朝首脳会談前に日米首脳会談を行い緊密な打ち合わせする予定です。
安部総理はアメリカの要望に応え、国内の反対を押し切って
平昌オリンピック開会式に唯一の外国首脳として出席し、
文在寅と首脳会談を行ったのだから
トランプ大統領が出席できない日本政府の代わりに金正恩と会って
互いに南北朝鮮について情報交換するのは
アメリカが中国に、日本がロシアに北朝鮮の制裁への協力を仰いだように
日米同盟が有効に機能してる証拠と言えますが、
こうした関係がいつまで続くか不透明です。

THAAD配備の見直しを訴える文在寅政権誕生以降、
冷え込んだ米韓関係でしたが、
オリンピックを境に南北首脳会談米朝首脳会談が決まり、
パラリンピック後、米韓合同軍事演習も予定通り再開される中で、
アメリカにとって日本の利用価値は相対的に低下している感は否めません。
そして、日本政府が除外するように訴えていたにも関わらず、
トランプ政権はEUや韓国など他の主な同盟国は除外した
鉄鋼輸入制限最大の同盟国である日本を対象に入れました。
トランプが軍事的には同盟国でありながら
経済では日本を敵とみなしているのはハッキリしました。
経済も政治と密接につながっています。
今回の処置はアメリカのエルサレム首都認定に
反対したことに対する報復とも言われています。

日本は北朝鮮問題に対して、
残されたロシアと協力するという選択肢があります。
アメリカが離れそうになった時は
ロシアとの極東共同開発など進みだした計画を進めるタイミングです。
しかし、そう簡単な問題でもありません。
5月にロシアで行われる日露首脳会談に先立ち、
先月の21日に都内で日露外相会談が行われましたが、
中国が韓国のTHAAD配備に反対したように
ロシアは日本が北朝鮮からのミサイルの驚異に対抗するために導入する
イージス・アショアアメリカのMD網の一環として懸念を表明し、
26日には北方領土上空でロシア軍機の飛行訓練が行われ日本政府が抗議するなど
北方領土問題、平和条約締結までには様々な障害があります。

Mda aegis
日本が導入予定のイージス・アショア

ただ、オバマ大統領の制止を振り切ってプーチンと会談したり、
アメリカのエルサレム首都認定に反対を表明するなど、
第二次安倍政権は
かつてのアメポチ日本では考えられない自主外交を展開してきたのも事実です。
今後もアメリカとロシアとの間のバランスを取ることが重要になってきます。
日本が必死に他国の顔色を伺わないといけないのは
まさに非核保有国の宿命であると言わざるを得ません。
なんだかんだで北朝鮮がうまく立ち回っているのを見ると
核保有の是非はともかく、
核保有国と非核保有国との政治力の差が一層引き立って見えます。

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