パナマ文書の衝撃。

パナマ文書と呼ばれる機密文書が流出し、
世界中で大スキャンダルに発展しています。
2.6TB、文書1100万件という過去最大規模の情報流出
ウィキリークス流出事件をはるかに上回ります。

パナマ文書とはパナマの法律事務所、モサック・フォンセカ
1970年代から作成していた機密文書の事で
匿名により南ドイツ新聞に情報がもたらされ、
その後、ワシントンD.C.にある
国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ) にも送られ
世界中に公開されました。

Flag of Panama
パナマ国旗

パナマは北米大陸と南米大陸の間に位置する中米の国で
パナマ運河を有する海運の要衝ですが、
パナマも含めカリブ海に面した近隣の島国には
「タックス・ヘイヴン(税の避難所)」と呼ばれる
租税回避地があります。

Tax havens
タックス・ヘイヴン指定地域(出典:Arkyan)

我々は所得に対して税金を納める義務がありますが、
この「タックス・ヘイブン」に含まれる
小さな島国や産業が発達していない国では
一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除されます。
世界中の国家元首や富裕層は巨額の納税を避けるために
タックス・ヘイブンにダミー会社を設け、そこに巨額の送金をすることで
本来支払わなければならない租税を回避していたのです!

モサック・フォンセカは租税回避の方法、
税務調査官に金融取引を追跡させることができない
複雑な財務構造を作ることができたので、
この事務所の顧客であった国家元首や企業、著名人のリストが公開され、
過去40年間の巨額の租税回避が暴露されたことで大きな騒ぎとなりました。

アイスランドのグンラウグソン首相夫妻、
サウジアラビアのサルマン国王、シリアのアサド大統領、
イギリスのキャメロン首相、そしてウクライナのポロシェンコ大統領
またロシアのプーチン大統領に近い人物、
国の習近平国家主席の親族などの名が連なっています。
また 汚職で揺れる国際サッカー連盟(FIFA)の
フアン・ペドロ・ダミアニ氏やリオネル・メッシ選手とその父親、
欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ会長などのスポーツ界や
ジャッキー・チェンなどの俳優まで・・・

リーマンショックにより財政破綻したアイスランドでは
グンロイグソン首相が関与していたことで国民の不満が爆発し、
辞任に追い込まれる事態となりました。
クリミア併合のロシア核開発の北朝鮮など
制裁を受け経済的に追い込まれている国家も含まれ、
国家主席や共産党幹部が関与したとされる中国では
早速情報統制され、パナマ文書関連は検索できないようです。

世界中で大騒ぎしてる中、日本では
「海外の騒動」としてあまり大きく扱われていません。
その代わりに相次ぐ芸能人の不倫問題などで騒いでいます。
しかし日本も無関係ではありません。
政治家などの公職人は含まれていないとはいえ
日本企業や個人も明らかになっています。

飯田亮(セコム取締役)、戸田寿一(セコム元取締役)
内藤一彦(東宣取締役会長)、内藤俊彦(東宣取締役社長)
電通、バンダイナムコ、 シャープ
サンライズ、大日本印刷、大和証券
ドリームインキュベータ、ドワンゴ、ファストリ
ジャフコ、ソニー、ファーストリテイリング(ユニクロ)
やずや、みずほFG、三井住友FG、JAL
石油資源開発、丸紅
三菱商事、商船三井、日本製紙、双日
オリックス、三共、日本郵船、大宗建設
ドリテック、ジー・モード、トキワ(化粧品)
千代田リース、アーツ証券、山一ファイナンス
三共、東レ、パイオニア、ホンダ
KAORI INTERNATIONAL、KAWAGUCHI TECHNOLOGY
楽天ストラテジー、ソフトバンクグループ、SBI、セコム
有名ゲーム会社役員、元自民党議員、
有名大学教授、アグネス・チャン

ベッキーや乙武の不倫やショーンKも吹っ飛ぶほどのビックニュースですが、
多くのスポンサーも関わっているためマスコミも口を閉ざしていますね。
大企業が脱法的に節税してるというのはまま見られるケースですが
今回は企業名や個人名が暴露されたため言い逃れができない状況に追い込まれ、
国民感情としては説明が求められることになるでしょう。
EUでは厳罰化が検討されたり、諸外国では調査が進められるようですが、
日本政府はこの件について調査しないと明言しています。
海外でも調査しないのはロシアと情報統制された中国ぐらいなので
日本政府の対応は異常にも思えます。

合法であるから租税回避は問題ないという意見もあるようですが、
一般庶民には増税が課せられ、税金逃れができないのに
大企業や富裕層は許されるなんていうバカな話はありませんよね?
また金額は想像を超えるほどの巨額なものです。
このお金があれば増税は必要なかったのではないかという疑念も持ちますし、
これが何のためのものなのか透明性を求められるのも理解できます。

おそらく伊勢志摩サミットでもパナマ文書が議題に上がるでしょうが、
アメリカもヨーロッパやアジア各国に比べて
日本同様、大きな騒ぎになっていません。

元々、アメリカは租税回避に寛容なお国柄のようですが、
大統領選の民主党候補で民主社会主義バニー・サンダース
パナマ文書に関して
オフショアを使った節税への規制強化に乗り出すという主張をしています。
この問題がTPP批判と相まって
アメリカで保護貿易が加速するという事態も
大統領選の行方次第では考えられますが、
不思議なのはリストにアメリカの著名人が出てこないことです。
世界一の経済大国で
有数の多国籍企業を持つ国が出てこないことが逆に目立ちます。
パナマ文書が公開される直前、
オバマ大統領は国交を回復したカリブ国家のキューバにいましたよね?
疑惑をかけられたプーチンはパナマ文書を
政権転覆を狙った西側の陰謀だと言っていますが真相はどこにあるのでしょうか?

現在公開されているのは149件の文書だけであり、
完全版は5月に公開されるそうなので
さらに大きな騒動に発展すると思われます。
著名人の脱税疑惑は下世話的に盛り上がりますが、
誰が何の目的で流出させたのかを考える必要があると思います。

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