※今回、タイトルは意図的に「イスラム国」としています。
(通常ISILを使います)
鉤括弧しているのはこのテロ組織はイスラムでも国でもないという意味です。
パリのテロから1週間を過ぎました。
ISILは中東地域外、イスラム圏外のフランスを攻撃し、
ついに本格的に行動を開始しました。
また共にテロ被害を受けたフランスとロシアが近づくなど、
シリア内戦をめぐる状況に大きな変化が生まれました。
表向きには欧米と対立関係にあったロシアが
対ISILで共闘するような構図になったのです。
ただ、問題のアサド政権と反体制派の抗争はそのままなので
シリア内戦自体は長引きそうな雰囲気です。
この問題に関して以前から話しているとおり
急に現れたISILの背後関係を知らずに中東の未来は見えてこない。
私は前回の記事のとおりシリア内戦と支那事変の比較から探りました。
支那事変も突如、毛沢東共産党が出来ましたが、
もちろんこれはコミンテルンの下部組織であり、
ロシア革命後のソ連の影響下でした。
中国大陸は辛亥革命によって清朝が倒れ、
チベットやモンゴルが独立しますが
モンゴルはソ連の後ろ盾で独立したアジア初の共産国でした。
ソ連の次の狙いはモンゴルと国境を接し、
袁世凱の死去後、混乱する支那だったわけです。
この歴史を鑑みると
ISILはイラクのフセイン政権が倒れた事によって誕生したのだから
フセインを倒した国が最も怪しい・・・
となるとアメリカという事になります。
ソ連アフガン侵攻の際に
アメリカCIAはイスラム教徒を利用してアフガンの共産政権を倒そうと
アルカイダやタリバンを組織して
訓練させていた事は最早定説になろうとしていますが、
これをシリアで再現しようという動きではないか?
というのが私の考えるシリア情勢の裏側です。
前回のニコ生でスミスさん(仮名)から
知人のイスラム教研究者から聞いた話として
ISILの背後にCIAがいるという情報をもらいました。
この情報の信ぴょう性のほどは不明ですが、
自身の「支那事変」という歴史から読み取るというアプローチの仕方でも
背後にアメリカやイスラエルがいるのはほぼ間違いないと思います。
まぁ世間一般的には陰謀論の範疇を越えるものではないですが・・・
アラブの春もCIAがしくんだという陰謀論もありますが、
これはユダヤ陰謀論に傾倒しすぎている感があります。
アラブの春はアメリカ(イスラエル)のスケジュールにはなかった。
なぜならアラブの春は親米国家が倒れ、
反米・反イスラエルの動きとなっているからです。
事実、アメリカは中東政策を見直す事になり、
今まで倒せなかったビンラディンを殺害し、
あまりにも意図的な対テロ戦争の勝利を印象づける情報操作をしています。
そしてこの流れに乗じて反米国であり、
親露国のリビアやシリアを倒そうと目論んだものと思います。
しかし、ロシアを後ろ盾とするシリアの軍事介入には失敗します。
その後ウクライナ内戦でもロシアに一本取られ、
世界金融危機以降、アメリカの一極支配の終わりは目に見えてきました。
ロシアや中国が政治的に軍事的に影響力を強めていき
まさに世界大戦前夜のような構造となっていきました。
そこで後に引けなくなったアメリカが
フセイン無きイラクで「イスラム国」を仕込んで
密かに武器を与えてシリアに侵入、アサド政権と戦かわせつつ
ISILの首切り動画をネットで拡散し、
世界に非道なテロリストを印象付けアメリカのシリア介入を正当化。
9.11以後のように、ロシアをも巻き込んで
対テロで世界が協力するような構造に変化させようという戦略だと思います。
エジプトのロシア機の墜落は当初テロ説を否定したロシアですが、
フランスのテロによってアメリカと折り合いがついたのか、
この戦略にロシアも乗る形となりました。
アメリカの真の目的はアサド政権の打倒でしょうが、
これはまだまだ難しいでしょう。
スミスさんによればアメリカはISILを生かすため
実際には大した空爆はしていないそうですが、
ロシアは強力な空爆を行っています。
アメリカはシリア情勢で引き分けに持ち込もうとしているように思います。
アメリカは第二次大戦後、
石油利権とソ連包囲網のため、イスラエル建国から中東に介入してきました。
アフガン、イラク、シリアときて最終的にはイランを支配することによって
南下するロシアにトドメを刺す魂胆でしょう・・・
アメリカは時にはスンニ派とシーア派の対立、クルド人問題を利用して
中東の政情不安を作り上げてきました。
戦争によって利益を上げる軍需産業複合体の陰謀論は後を立ちませんが
この裏にいる組織を破壊しない限り中東の紛争は終わらない。
結局「イスラム教」は彼らにとって戦争の道具でしかない。
個人としては自分自身、
友人、家族に直結する日本の国益をついつい考えがちで
ヒューマニズムの視点で言えばアメリカの行為。
それに追随する安倍政権を非難する気持ちも理解できます。
しかしながら我々が平和を享受する代わりに
中東が犠牲になっている現状があります。
それは中東で毎日テロが起きていながら
パリ同時テロの途端に多くの方が
フェイスブックのプロフ画像にトリコロールを重ねていることでも明らかです。
私は純粋な追悼の意志を表す行為を否定しませんが、
どうしても世界の不条理を感じてしまうのです。
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