2024年12月3日の深夜、
韓国の尹錫悦大統領が突如として「非常戒厳」を宣言しました。
これは1980年以来44年ぶり、民主化以降初めての戒厳令となり、
韓国国内のみならず世界中に衝撃を与えました。
戒厳令とは何か
戒厳令とは、戦争・紛争・内乱や大災害などの非常事態に際して発令され、
通常の立法・司法機能を停止し、それらの権限を行政や軍部に集中させる法令を指します。
この状態では国民の権利が制限され、
外出や集会の禁止、マスコミの政府管理下置かれることが一般的です。
今回の戒厳令が驚きをもって迎えられた理由は、その発令が平時に行われた点にあります。
北朝鮮の攻撃や大規模災害などの緊急事態ではなく、
尹大統領自身が国政の麻痺を理由に発令したのです。
戒厳令の展開と解除
戒厳令が発令されると、
深夜にも関わらず議員や市民が国会に集結、
一部、戒厳軍ともみ合いましたが
国会議員たちによって戒厳解除を求める決議が採択され、すぐさま可決。
これに尹大統領も素直に従い、
戒厳布告は僅か6時間で解除される異例の展開を見せました。
その後、野党は尹大統領の行為を「一人クーデター」、
さらには「内乱罪」と糾弾し、7日、弾劾決議案を提出しました。
最初の決議では与党議員の欠席により否決されましたが、
14日の2回目の投票では与党内からも造反が出て、
議席の三分の二が賛成に回り、弾劾が可決されました。
これにより、尹大統領は廬武鉉、朴槿恵に続く
韓国史上3人目となる弾劾された大統領となりました。
戒厳の目的と疑惑
尹大統領は戒厳の理由として、
野党による予算案の拒否や、
国会での弾劾決議が相次いだことによる国政の麻痺を挙げ、
これら野党の行為を反国家行為だ糾弾しました。
尹大統領は国会に戒厳軍を差し向けましたが、
実弾は入れず完全武装はしていません。
その後、戒厳解除を決議しているように、
易々と国会議員を国会に入れてしまっています。
国会占拠は陽動で、その実態は中央選挙管理委員会への軍派遣にあり、
選挙不正の証拠を集める目的があったとも言われています。
尹大統領は就任以来、少数与党という苦しい立場にありました。
2024年の4月の総選挙でも惨敗し、政権基盤が危うい状況でした。
支持率もずっと10%台で推移しており
韓国史上最も人気のない大統領と呼ばれています。
一方で最大野党、共に民主党の代表は李在明は
「反日闘士」として知られ、人気があります。
しかし、李在明は実は11容疑で起訴されている容疑者です。
今年の1月にはこれらの疑惑に憤った暴漢に襲われてもいますが、
民主党は選挙に大勝しました。
「恨」の国 報復の連鎖
韓国では毎回のように大統領の不正が取り沙汰され、
退任後は「逮捕」や「自殺」など末路を辿る事で有名です。
韓国は恨の国とも呼ばれますが、
政権が変わるたびに前政権の要職者がターゲットにされてきました。
民主党政権の文在寅前大統領の疑惑を追及していたのが
元検察官である尹大統領でした。
今度は尹大統領の妻の高級バック問題が
民主党によって追及を受けているのです。
野党も真っ黒です。
4月の選挙で台頭した第三党祖国革新党の党首
「玉ねぎ男」の異名を持つ曺国も12月12日、懲役2年の実刑が確定、
これにより議員を失職、大統領への道が閉ざされました。
李在明は曺国と同じ道には歩みたくないので、
自身の疑惑を追求する検事を次々と弾劾しているのです。
共に民主党は親北派であり、
北朝鮮からの選挙介入、不正の疑いがかけられている。
それにも拘らず中央選挙管理委員会は必要な捜査に協力しなかった。
この事が戒厳の第一の理由であり、
李在明は自身の罪から逃れるには不逮捕特権のある大統領になるしかない。
なので尹大統領を「内乱罪」だと訴え、早期に大統領選に持ち込みたいのです。
緊急事態条項の議論との関連
この事件は緊急事態条項の在り方について考えさせられるものでした。
軍隊が権力を掌握するのが戒厳、
文民政府に権力を集中させるのが緊急事態条項と違いはありますが、
韓国のように戒厳が法律で規定されている国もあれば、
日本のように緊急事態条項の規定自体存在しない国もあります。
例えば、オウム真理教事件や東日本大震災、安倍総理暗殺といった
非常事態でも、こうしたものは発令されていません。
もちろん現場レベルでは超法規的措置が取られたでしょうが、
日本は戦前の反省の元、国家権力に力を持たせることに慎重です。
これに対して、韓国では戒厳令が平時においても発令されたのです。
今回、戒厳するような事態だったかどうかについては議論の余地がありますが、
朝鮮戦争休戦中である韓国の特殊な事情があるのかもしれません。
国民や野党が「大統領の暴走」として戒厳令を拒否し、
大統領を弾劾したことは、民主主義の強さを示していると前向きな評価がある一方で
責任ある大統領の言葉を国民が信用せず、本当に必要なときに
国がまともに機能するのかという不安も生じさせています。
尹政権同様に少数与党となった石破自公政権においても
今回のケースは大いに参考にすべきところがあったでしょう。
政権支持率が低い中で
早急に緊急事態条項を含む憲法改正に踏み込めば大きな反発が予想されます。
極東情勢への影響
日本としては
政権が危険水域に達しても反日カードを切らない
親日の尹大統領を応援したいという贔屓目にはなりますが、
少なくとも平時で戒厳が発令され、汚職にまみれた国会議員同士が反目し、
国会で無秩序に弾劾が連発されるなど、
韓国が理想的な民主主義とは程遠い状況に置かれているのは間違いないでしょう。
今回の戒厳令発令から弾劾に至る一連の流れは、
極東情勢に新たな不安要素を与えました。
アメリカファーストのトランプ大統領の就任を控え、
日本では反米親中の石破政権が誕生、
韓国では弾劾された尹大統領と、東アジア各国で政治的変動が続いています。
韓国での政治的空白が何を生み出すのか…
極東有事の可能性がますます現実味を帯びてきました。
まとめ
尹錫悦大統領の非常戒厳とその後の弾劾劇は、
韓国政治における未曽有の事態として記憶されるでしょう。
再び反日の李在明政権が誕生し、完全に北にコントロールされるのか?
それとも兵庫県知事選のように
ネットが後押しして旧来からの終わりなき反日に終止符を打ち、
尹錫悦が正義の人として復活する事があるのか?
決定的証拠でも握らない限り難しいでしょう。
韓国ではマスコミも国民も大半は野党支持の様ですが…
全ては韓国国民の判断にゆだねられています。
このまま在韓米軍も静観するとは思えませんが、
来年以降も動向を注意深く見守りたいと思います。
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