揺さぶられる極東。

お久しぶりです。
先日、用事で奈良に行く機会があったので
安倍元総理が襲撃された大和西大寺駅で途中下車してきました。
駅前ロータリーの拡張工事が終わり、
2年前のあの頃とずいぶん変わっていました。
結局記念碑も立てられず、単なるスクランブル交差点となっており、
あのころの面影はほとんどありません。

2024年5月21日撮影

台湾で銅像になった安倍元総理も日本では石碑一つ建てることができません。
原敬と浜口雄幸両首相は東京駅構内で襲撃されその後亡くなっていますが、
東京駅には襲撃地点に真鍮の印が付けられ、
近くには事件の様子を記した案内板が設置されています。
いつかこうしたものができると良いのですが…

さて、前回からいろんなことが起こっていますが、
順を追って整理していきたいと思います。

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韓国総選挙

South Korea President Yoon Suk Yeol portrait
尹錫悦大統領
(出典:대한민국 대통령실 – 대한민국 대통령실)

まず4月に韓国の総選挙が行われました。
2022年に就任したユン大統領の中間評価の位置づけとなる選挙ですが、
対日関係改善にまい進するユン政権を批判してきた
野党「共に民主党」が第一党を維持し、
与党「国民の力」は第二党で少数与党から抜け出せませんでした。
1月の台湾選挙と同様に行政府と立法府でねじれ状態となり、
任期3年目を迎えるユン政権の先行きもいよいよ不透明になってきました。
また今回の選挙ではタマネギ男の異名を持つ曺国氏が率いる
祖国革新党第三党に躍進しました。
台湾の選挙でも民進党でも国民党でもない
民衆党が第三党となり、国会運営のキャスティングボードを握りましたが、
第三極に票が集まった点も台湾と似ています。

ただ韓国の選挙は例のごとく両陣営のスキャンダル合戦
ユン大統領の妻の高級バック受け取り問題など低レベルな話題ばかりで
北朝鮮問題や日韓関係などの外交や少子化に進む内政などの
政策が十分に議論されたのか非常に疑問があります。
結局、民主党の文政権で法相を務めた曺国氏が立ち上げた
第3党の祖国革新等も反日政党であり、
曺国氏は選挙後に竹島上陸を強行しユン政権に揺さぶりをかけています。
日本政府は毎度抗議をしていますが、この行動は日本挑発が目的ではなく、
国内の支持集めのためのパフォーマンスであり、動機は内向きなものです。
この行動を通して分かるのは
韓国内で反日はまだまだ票を集められるという事実です。

韓国大統領の任期は5年1期で再選ができません。
任期3年目に入るユン大統領にとって折り返し地点ですが、
ユン政権は今のところ対日外交を見直す動きは見せていないものの
野党の動きも無視できなくなっています。
普通に考えれば次期政権は反日の民主党政権になるでしょう。
せっかく改善してきた日韓関係がまたひっくり返される可能性もあり、
将来的な日韓関係にも暗雲が立ち込める状況です。

日韓関係が冷え込んで困るのはアメリカであり、
喜ぶのは中国や北朝鮮だという事を考えると選挙に第三国が介入した可能性も拭えません
しかし、ここのところ北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、
韓国の脱北者団体が北朝鮮の体制を批判するビラを飛ばしたことへの対抗措置として、
先月末からごみや汚物をぶら下げた
多数の汚物風船を韓国領内に飛ばす嫌がらせを行っています。
およそ国家のとる行動としては幼稚すぎますが、
韓国は南北軍事合意の停止を宣言し、対北朝鮮強硬路線を維持しています。

Fumio Kishida and Yoon Suk Yeol at Camp David 4
日米韓の連携を象徴する場となったキャンプ・デービット

ユン大統領の任期満了となる2027年3月まで
南北関係が劇的に改善されない限り、
日米韓の安保協力が引き戻されることは無いでしょう。
2027年と言えば習近平の3期目の党総書記の任期が終了する年でもあり、
台湾侵攻も含めて何かしらの動きがあると言われているので、
もし有事が起こるのだとすれば
中朝が連動して軍事作戦を行う可能性もあります。

韓国にとって竹島問題などの懸念事項はあれど、
日本が実力を持って奪いに来る可能性は低いでしょう。
一方で前政権下で反日に躍起になっている間に
北朝鮮の核ミサイル技術は無視できないほどに進歩しています。
ユン政権は反日のフラストレーションを北朝鮮に向けていますが、
それは世界情勢を鑑みれば正しいと言わざるを得ないでしょう。
6月1日には日韓防衛相会談にて
日韓軍事協力の最大の障害だった自衛隊機へのレーダー照射問題について
再発防止策の確認と自衛隊と韓国軍のハイレベルの交流の再開が決まりました。
韓国は頑なに照射の事実を認めていないのでこの合意も怪しいものですが、
一先ずは日韓協力に向けて見かけだけだとしても
着実にコマを進めている所は評価すべきではないでしょうか?

軍事演習と台湾国会の混乱

賴清德總統 (cropped)
就任した頼清徳総統
(出典:總統府)

一方、先に選挙を終えた台湾では5月20日に頼清徳が総統に就任しました。
就任演説では「傲慢にも卑屈にもならない」「現状を維持する」と宣言。
ひとつの中国を否定した形で中国に対してはゼロ回答と言えます。
早速、中国は台湾への懲罰として、23日と24日の2日に渡り
台湾島を囲む形で大規模軍事演習を行い軍事的威圧を行っています。
また国会では第一党の国民党と第三党の民衆党が手を結んで
国会の権限を強め、総統を弱めるような法案を強行採決しようとして
与野党議員が殴り合いの乱闘騒ぎとなっており、
国会の外では野党の強行採決に反対する市民がデモを行っています。

民衆党の柯文哲両岸一家(中台は一つの家族)を謳ってはいたものの、
選挙時は中国への姿勢を明言せず中道路線で若い世代から票を集めましたが、
ふたを開けてみれば国民党の補完勢力と言える状況です。
選挙の三つ巴は中国による浸透工作のカモフラージュだったのでしょうか。
こうした情勢は馬英九と習近平の会談などで周到に準備されてきたのかもしれません。
立法府で親中派が多数を占め、
議会の権限を強化すれば頼総統の誕生を「主要民意を代表できない」とする
中国の主張を後押しする形となります。

万が一、頼清徳が総統の地位を追放され、
政権が親中に傾き国民との間に亀裂が生まれれば、
民衆の不満は平和的デモから香港のような暴動となり、
これを排除するために二・二八事件のような白色テロが再び起こるかもしれません。
こうなれば人民解放軍も動きやすいでしょう。

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二・二八事件の様子

民主主義の貧弱性

台湾も韓国も分裂国家ですが、
選挙の結果両国とも行政府と立法府でねじれ状態となりました。
政権を担う頼清徳(民進党)も尹錫悦(国民の力)も
親米親日派と見られていたため、この路線にブレーキがかかる状況です。
中国や北朝鮮にとっては喜ばしい状況です。

選挙に中国や北朝鮮があらゆる形で介入を試みたのは間違いないでしょう。
中国、北朝鮮は独裁国家ですが、これら民主主義の国は選挙があり、
内側からの工作に対しては根本的な貧弱性があります。

日本は極東において唯一のまとまった民主主義国家と言えます。
韓国や台湾に比べると選挙不正が行われにくい状態ですが、
そもそも投票率が圧倒的に低い
これを逆手に取られないようにしなければらりません。
実際、沖縄では左翼メディアが強く、
基地問題では何故か中国人や韓国人がいて、
翁長、玉城と長らく沖縄では親中知事が当選してきました。
中国は人海戦術を使い沖縄の無人島
北極海航路で拠点になるであろう北海道などの辺境の日本の土地を買い占めています。

また与党自民党は昨年末から安倍派の裏金問題で支持を失っていますが、
これも偶発的発覚ではないという事を留意する必要があります。
政治とカネの不透明性は追及されるべきですが
特に安倍派は台湾と強い繫がりを持っていたわけですから
何か大きな意図を持って問題がピックアップされたと考えるのが普通です。
恐らく衆院選後、自公政権では持たないでしょう。
立憲民主による政権交代は現実的ではないですが、
維新や国民民主などと多党連立でもしなければ
台湾や韓国のようなねじれ現象に陥る可能性は大いにあります。

世界的な選挙の年でもある2024年も半分が過ぎました。
トランプ大統領に有罪評決が下されたように
アメリカを始め民主主義国家にほころびが見えています。
こうした状況はウクライナを侵攻するロシアや
台湾を取り込もうとする中国に有利に働きます。
各国の選挙を踏まえて、よく多くの有権者が選挙に行く事、
それが結果的に民主主義を守る事になります。

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