昨日8月15日、79年目の終戦の日を迎えました。
平和の祭典の価値
8月11日にパリオリンピックが閉会。
お家芸である柔道では日本に不利な疑惑の判定、
スポーツクライミングではコース設定の段階で身長差に苦しめられる展開など
議論を呼ぶことが多かった今回のオリンピックでしたが、
終わってみれば金メダル20個で
国別成績では前回大会に続いてアメリカ、中国に次ぐ3位、
海外開催のオリンピックでは最も好成績、
全体で見ても前回大会に次ぐ歴代二位という優秀な成績を収めました。
国別メダルランキングは国同士の競争を掻き立て
オリンピックの理念にそぐわないと言われています。
選手たちにとっては国に関係なく個人個人の競争です。
それでも日の丸を背負って挑む以上は非常に大事なものだったでしょう。
昨年、GDPがドイツに抜かれ4位に転落し低迷する日本ですが、
その存在感をオリンピックで示せたのは良かったと思います。
一方で平和の祭典の裏では本当の戦争が行われていました。
ヨーロッパではウクライナ軍がロシア領内への大規模な越境攻撃を始め、
中東ではイスラエル軍がガザ侵攻に加え、
レバノンやイランなどハマスを支援する国家に狙いを定めようとしています。
ひとまず会期中はテロが発生することはありませんでしたが、
オリンピックが訴える平和への希求は戦争当事国に届くことはありませんでした。
記念と祈念
日本では終戦の日8月15日が近づくにつれ
戦争関係の話題が否が応でも目にする機会が増えます。
日本軍が沖縄戦で組織的戦闘を停止した6月23日には沖縄戦戦没者追悼式があり、
広島に原爆投下された8月6日には広島平和記念式典、
長崎に原爆が投下された8月9日には長崎平和祈念式典が行われ、
そして最後に終戦の日である8月15日に全国戦没者追悼式が行われました。
2022年にロシア軍のウクライナ侵攻でヨーロッパに戦争が戻り、
2023年のイスラエル軍のガザ侵攻で中東でも戦火が広がる中、
これらの式典の意味もさらに重要になるところですが、
純粋な祈りを捧げる場にも関わらず、
オリンピック同様に政治に翻弄される場となってしまいました。
G7のほころび
ロシアが核の使用をほのめかす中、
被爆地である広島市と長崎市はウクライナ侵攻以来、
式典にロシアとベラルーシを招待せず、ウクライナを招待してきました。
問題となったのは2023年10月に始まったガザ侵攻に対する
イスラエルとパレスチナの扱いです。
日本政府の立場は基本的に中立でありますが、
来年開催予定の大阪万博はロシアを招待しない一方で
イスラエルとパレスチナ双方を招待しました。
ハマスの攻撃を受けて反撃をしたイスラエルと
一方的侵略者であるロシアは同列に扱わないという政府の主張です。
昨年G7の舞台となった広島市はこうした政府の姿勢を見て
イスラエルを招待しましたが、
「パレスチナは国家ではない」という理由でパレスチナは招待しませんでした。
政府が国家承認していない地域を招待しないのは通例通りですが、
当然パレスチナは同じ殺戮者であるロシアが招待されないのに
イスラエルを招待した事はダブルスタンダードだと反発しています。
一方、長崎市はパレスチナを招待し、
イスラエルを招待しないという真逆の対応を取りました。
長崎市は「あくまでも平穏かつ厳粛な雰囲気のもと、円滑に式典を行いたい」と
イスラエルなど戦争当事国を招待しなかった理由をあげました。
パレスチナ自治政府はハマスではなく、戦争当事国ではないという判断です。
広島は「記念」、長崎は「祈念」と式典の表記に差がありますが、
広島は最初の被爆地として記憶に留めるという意味合いが強く、
G7サミットも行われたように非常に政治的な場所にもなっています。
一方で長崎はカトリック信仰の中心地だったこともあり、
より宗教的な側面が強く、
純粋に祈りの場にしたいという市長の想いもあったのでしょう
しかし、日本を除く米英仏独伊加のG7各国は
パレスチナを招待してイスラエルを招待しなかった事で
「政治的理由だ」と反発し、大使が揃って欠席する事態となりました。
ここで見えてくるのは結局欧米にとって
遠いアジアの日本よりもイスラエルが大事であるという事です。
平穏に静かに祈りをささげたいから戦争当事国を招待しないと
オブラートに長崎市長も言っているのだから
イスラエルが招待されなかったとしても
G7各国は粛々と参加するという事もできたはずです。
しかしアメリカ大使は長崎市長に反論の書簡まで送っています。
このように日本との間にキズが入ろうとも
イスラエルに連帯を示す方を優先したわけです。
日本も舐められたものです。
特にアメリカ大使が被爆地慰霊の場に出ないというポーズは
原爆投下にアメリカがなんの反省もしていない事の証左でしかありません。
そして原爆を開発したのはユダヤ人でもあります。
イスラエルは中東で唯一のNPT不参加国で核保有が確実視されています。
中東問題での日本の立場
日本にとっては対ロシア、対中国という点で
いわゆる西側、G7の枠組みは極めて重要であるものの
エネルギーの大半を中東の原油輸入に頼る日本にとって
エネルギー安全保障の観点から
中東諸国との関係は特別です。
現にロシアはウクライナ問題を通して
ヨーロッパに対して天然ガスを引き合いに外交をしてきましたし、
戦前日本は石油の大半をアメリカからの輸入に頼っていたので
禁輸措置を取られた日本は独自に東南アジアの石油を確保する必要があり、
エネルギー安保としては後手に回らざるを得なかったわけです。
戦後に中東の石油を買うようになってからも
オイルショックが起こり、日本の経済成長が終わりを迎えました。
つまり、中東和平の重要度が欧米とは全く違うのです。
シェール革命が起きた北米のアメリカ、カナダは
自国で生産される石油で十分賄えます。
ヨーロッパはイギリス、ノルウェー近海に北海油田を持ちます。
日本を除くG7の中東依存度は高くありません。
オイルショックは原発開発に舵を切り、石油依存を下げることで対処しましたが、
東日本大震災(福島原発事故)以降は脱原発の世論となっています。
ますます中東諸国との良好な関係が重要になっているのです。
とりわけ石油埋蔵量世界三位のイランは西側から制裁を受けており、
石油を売りたいイランと買いたい日本の利害は一致しています。
安倍元総理がアメリカとの仲介として
イラン外交に取り組んだ背景もここにあります。
パレスチナ問題で中立の立場を維持する日本が
広島と長崎で真逆の対応をしたことは少なくとも中東諸国に対しては
欧米とは立場を異にする国家であるという事を示すことはできたのではないでしょうか?
東西軸+南北軸の外交
ヨーロッパが移民やテロに続いてロシアの脅威に脅かされ、
アメリカが再び孤立の道を歩もうとする中、
日本は日本独自で安保体制を構築していかなければなりません。
冷戦時のような単純な東西対立とは違う
南北の軸がこれまで以上に重要になるのは間違いありません。
中東を含めインドやブラジルなどの
グローバルサウスとの関係を深化させていくことは
今後ますます重要になってきます。
特にインドは旧宗主国のイギリスを抜いて
GDP世界5位の経済大国となり、日本のすぐ下にインドが控えている状況です。
人口も中国を抜き世界一の人口を抱える国家へと成長しています。
また核保有国であり、グローバルサウスの盟主たる立場となっています。
もはや覇権国のロシア、中国と肩を並べるユーラシアの大国です。
インドとブラジルはドイツと共に
国連安保理常任理事国加入を目指すG4のメンバーであり、
G4の安保理改革ではアフリカ勢2国も参加させるように後押ししています。
欧米からはしごを外された時に頼りになるのがこれらグローバルサウスの国家です。
常任理事国のロシアが国際秩序の挑戦者となり、
ウクライナとガザの問題で米露が互いに拒否権を発動するなど国連は機能停止、
第二次世界大戦以降の国連体制は崩壊しました。
ウクライナとガザがどういった結末になるか不透明ではありますが、
新たな国際秩序の構築は差し迫った問題です。
中東問題で欧米とは違ったスタンスを持ち、
アジアの民主国家として中国とバランスが取れる日本、
フランスと共にウクライナ和平の当事国でもあり、EUを主導するドイツ、
日独は先次大戦の敗戦国ですが、
米英仏は事実上、日独の加入を認めています。
旧枢軸国の常任理事国入りは新しい国際秩序の象徴になるでしょう。
そして、核保有国で民主国家のインド、南米の大国ブラジルは
BRICSに参加しており、露中とも一定の友好関係を維持しています。
岸田総理もG7サミットの頃から
グローバルサウスとの連携強化を進めてきましたが、
支持率の低迷から逃れられず、次の総裁選に不出馬を決めました。
次期総理大臣は非常に重要な舵取りをしていかねばなりませんが、
ぜひ、多角的な外交努力をされることを期待します。
コメント
この様な書込大変失礼致します。日本も当事国となる台湾有事を前に 国民の分断を煽る国内の反日の危険性をどうか一人でも多くの方に知って頂きたいです。
今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。
世論誘導が生んだ民主党政権、公約反故から、中韓を利す為の超円高誘導による日本企業や経済の衰退、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝や、3万件の機密漏洩など韓国への利益誘導に働き、日本は破綻寸前でした。
今も内外から中韓の侵略が進む中、あの時彼らが日本をいかに危険な状態に陥れ、一度の失敗がどれだけ後遺症を与えたか、どうか読んで頂きたいです。
https://88moshi.hatenablog.com/
メディアに踊らされず、掛け替えないこの日本を知り守る機になる事を願います。
コメントありがとうございます。国民一人一人に考えてもらいたい問題ですね。