イスラム教誕生
7世紀、アラブ人のムハンマドがアラビア半島のメッカで
天使ガブリエルの啓示を受け「イスラム教」が誕生する。
ムハンマドは信者たちとウンマと呼ばれる共同体を作るが
「最後の預言者」がアラブ人であることを認めない
既存のユダヤ教徒と衝突する。
ムハンマドはこれを受けて教義の一部を変更し
エルサレムからアラビア半島メッカのカーバ神殿へと礼拝する場所を変えた。
ムハンマドの布教はアラビア半島全域に及んだ。
天使ガブリエルから啓示を受けるムハンマド (14世紀,エディンバラ大学所蔵『集史』「預言者ムハンマド伝」載録の細密画) |
ムハンマドの死後その後継者をカリフと定め
他地域の布教を目的にジハード(聖戦)が行われイスラム帝国が形成される。
しかし、その後の後継者争いの中で
ウマイヤ朝という世襲制王朝が誕生すると
ムハンマドの甥アリーとその子孫だけを指導者とする
急進派の「シーア派」(現在のイラン、イラクの一部)と
体制派「スンナ派」(その他多数のアラブ諸国)に教派が二分した。
イスラム帝国と十字軍
8世紀、アッバース朝の頃には
アラブ人以外も改宗すればムスリムとしてアラブ人と同等に扱う政策を取り
勢力は中東全域から北アフリカへ地中海沿岸地域に伸び
11世紀ごろ、
それはイベリア半島(現在のスペイン)にまで及んだ。
拡大するイスラム勢力 |
拡大するイスラム帝国に危機感を抱いたローマ帝国(キリスト教)は
イベリア半島の奪還のためレコンキスタ(再征服)を開始する。
これと並行してエルサレム奪還のため「十字軍」が行われた。
十字軍はこの後、約2世紀間に渡って断続的に行われた。
ちなみにレコンキスタはガンダム最新作
Gのレコンギスタの語源でもある。
アルハンブラ宮殿無血開城。イベリア南部のグラナダが陥落、レコンキスタは終了した。 フランシスコ・プラディーリャ・オルティス「グラナダ陥落」(19世紀) |
13世紀頃から十字軍は衰退し、
15世紀に東ローマ帝国は新興のトルコ人のイスラム国家
「オスマン帝国」に滅ぼされる。
以後、第一次世界大戦敗戦までの長期間
エルサレムを含むパレスチナ地域はオスマン帝国が支配する。
イスラーム本来の宗教的寛容な政策により、多くのユダヤ人も入居し、
ユダヤやプロテスタント系とイスラームの共存の時代が続いた。
一方の中世ヨーロッパは「暗黒時代」であり
黒死病(ペスト)の大流行で人口の3分の1が死亡した。
オスマン帝国と大航海時代
地中海は完全にオスマン帝国に抑えられイスラム商人の海となったため、
レコンキスタの結果イベリア半島で復活した
キリスト教国家スペイン、ポルトガルは
16世紀、新しい交易ルートの開拓を目指して外洋へ進出。
「大航海時代」が始まった。
香辛料豊富なインド大陸や「黄金の島ジパング」を目指して
ポルトガル(バスコダガマ)はアフリカ喜望峰を回る航路
スペイン(コロンブス)は大西洋を横断する航路を発見する。
これは新大陸アメリカの発見に繋がるわけだが、
それは同時に「植民地時代の到来」を意味する。
新教プロテスタントの誕生やイスラムの台頭により
衰退したカトリック教会の再興を目的として
カトリック・ キリスト教は世界各地で布教活動を行った。
日本におけるザビエルのイエスズ会もその動きの一つである。
スペイン、ポルトガルは布教の後に武力をもって世界を侵略した。
植民地では資源が搾取され、現地人は奴隷となった。
世界を巻き込む弱肉強食の「帝国主義時代」の始まりである。
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