戦争を止める術。

ロシアのウクライナ侵攻からひと月以上経ちましたが、
トルコの仲介による停戦協議で、
ウクライナの中立化など一部で進展が見られたとされています。
実際、ウクライナのNATO加盟が難しいのは明らかであり、
ゼレンスキー政権もNATOとは別の枠組み
周辺国による集団安保体制の確立に舵を切りました。

ただしロシアが支配するクリミア半島やドネツクなど東部の主権問題については
全く溝が埋まっていない状況です。
ロシアはこの交渉の機運を高めるためか
ロシア軍のウクライナ北部での一部撤退を発表しましたが、
単純に軍の配置を再編し、作戦を東部方面に集中する目的かもしれません。

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ブチャの惨劇

今新たな問題となっているのが
ロシア軍が撤退したキエフ近郊のブチャで多数の民間人の遺体が発見された事です。
欧米はロシアによる戦争犯罪だと糾弾しています。
ロシア当局は関与を否定していますが、
果たして曲がりなりにも近代国家のロシアが
こんな前時代的な大量殺戮を行うのかという疑念もあり、
本当にロシア軍の仕業なのか、
はたまたウクライナや西側のプロパガンダなのかは分かりませんが、
こういう事がニュースのヘッドラインに載るという事は
プーチン政権の転覆を計ろうという強い意志が介在していることは間違いありません。

日本でもウクライナ支援の連帯をアピールするために
ロシア語由来の地名をウクライナ語由来に変更する事が発表されていますが、
そういったことも含めて思うのが
国際社会がどこまでウクライナ問題に責任を持つつもりがあるのかという事です。
現状は核保有国であり常任理事国であるロシアに対して
第三次世界大戦を恐れて何の手も打てない状況にもかかわらず、
戦争の犯人探しをしている訳です。
どんな出口戦略があるのかが全く見えてきません。

国連改革は起こるか?

Flag of the League of Nations (1939–1941)
国際連盟紋章
Flag of the United Nations
国際連合紋章

2014年のクリミア併合以来G8からロシアを追放したG7は
強力な経済制裁を行いロシアを国際社会から締め出そうとする一方で
G20ではロシア排除に否定的な中国やブラジルなど
各国で意見が分かれ共同声明は発表されない見通しとなっています。
このように一見ロシアは孤立してるようでも
実際はそうでもなく、西側の制裁も乗り越えてしまう可能性があります。
国際司法裁判所の判断で戦争犯罪の容疑者としてプーチンに逮捕状が出されても
当然、ロシア領内に侵入してプーチンを逮捕することはできないので
実際に犠牲者がいるのだとしたら何の意味もありません。

ロシアや中国などの侵略国家が拒否権を有する
国連がまともに機能しないのは明らかであり、
早急に国連改革を進める必要があると思いますが、
ロシアとウクライナの戦争が、
世界大戦に発展して壊滅的な終わり方にでもならない限り
大幅な改革は難しいでしょう。
例え、ロシアが国連を脱退し、常任理事国から抜けたとしても
日本やドイツが参加するG4が新常任理事国となる事は現実的ではありません。
そもそも国連は第二次世界大戦の戦勝国(連合国)が中心になり生まれた訳で、
未だに敵国条項が残る時代錯誤な組織の常任理事国に
敗戦国である日本やドイツが入る事がおかしいのですが、
米英仏が賛成してもロシアや中国が拒否権を行使したら終わりですし、
韓国やイタリアさえも反対しています。
既存の常任理事国が拒否権を放棄する事も無いでしょう。

第一次世界大戦の戦勝国によって生まれたのが国際連盟
第二次世界大戦の戦勝国によって生まれたのが現在の国際連合です。
世界大戦の反省から生まれた国際連盟は第二次世界大戦を止められなかったので
国連軍を有する国際連合が作られたのですから
第三次世界大戦を止められないのであれば
その原因となった常任理事国のあり方拒否権についても考え直さなければなりません。
より多くの分担金を払っている日本やドイツが
国際社会での発言権を欲するのは真っ当な意見ではありますが、
結局は加盟国の全てが自国の権利のために動いてるに過ぎず、
国際平和など無関心なのです。
世界大戦の惨禍が三度人類を飲み込まない限り、
人類は反省しないし新たな国際秩序が生まれることは無い
でしょう。
いずれにせよ核保有の常任理事国による戦争犯罪は前代未聞であり、
世界全体が及び腰になっているのです。

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