米朝融和。

オリンピックが終わりパラリンピックが始まりましたが、
パラリンピック閉会後に米韓合同軍事演習が再開されることを前に
北朝鮮が動き出しました。

Chung Eui-yong and Kim Jong-un
(出典:韓国大統領府)

韓国特使が金正恩委員長を表敬訪問し、
4月末に軍事境界線がある板門店で南北首脳会談を開催することで合意。
韓国が仲介する形で米朝首脳会談を呼びかけると、
金正恩委員長がトランプ大統領に向けた親書で「非核化」の意志を表明し
トランプ大統領はこれに歓迎の意を示し、
5月までに首脳会談を開くと電撃的に発表しました。
開戦間近とまで言われた暴言王トランプと金正恩の舌戦から
初の首脳会談まで米朝関係は180度方向転換しました。

オリンピック開会式の晩餐会ではペンス副大統領が足早に去ったため
米朝の接触に失敗した文在寅大統領でしたが、
今回は米朝の融和を実現したと息高らかに外交的評価を強調しています。
一方、日本にとって予断の許さない状況である事には変わりありません。
トランプ大統領の決断の背景には
日本政府が主導的な役割を果たしたとの報道もありますが、
こうした一連の朝鮮情勢の緊張緩和に対して
アメリカに頼るばかりで日本政府は全く関与できていません。
たしかにこれまでの外交を見てわかるとおり、
安倍総理はトランプ政権にとって極東外交の指南役であったことは事実だし、
北朝鮮が制裁に耐え兼ねて折れてくることは予想された事ではありますが、
見方を変えればアメリカに梯子を外された状態で、
攻撃能力を持たない日本だけが強硬路線という奇妙な構図に見えなくもない。
今までは日本が主導してむしろアメリカを利用する形
北朝鮮に対する圧力外交を展開してきた側面もあったため
これは大きな痛手にも見えます。
こうした状況は特定アジアの反日プロパガンダに利用されるのでは
という危機感さえ感じます。

日本政府は日米韓による制裁が功を奏したとして、
非核化を明言した北朝鮮に一定の評価をしましたが、
現実的な非核化のプロセスを踏まない限り、
問題が棚上げされるだけで、根本的な解決にはなりません。
これまでも同様の手口を繰り返して北朝鮮は核戦力の充実を図ってきました。
こうした事実をアメリカも把握していないわけではありませんが、
アメリカも事実上手詰まり状態であり、
文在寅大統領を懐柔させたように完全に北朝鮮ペースで情勢が変化しています。

韓国は完全に金正恩のスポークスマンになっており、
この調子だと北朝鮮主導による半島統一も夢物語ではなくなってきました。
現実的に北朝鮮が核戦力を一部でも維持した状態でアメリカと講話を結べば
完全に日本は東アジアで孤立し、拉致問題もうやむやにされるどころか
オリンピックでの竹島入りの統一旗で分かるように
逆に韓国と共同で従軍慰安婦強制労働などの賠償をめぐる
歴史戦を仕掛けてくるのは目に見えています。
むしろ韓国は積極的に日本という
共通の敵を作ることで北朝鮮と融和しようとしています。
日中戦争時の抗日民族統一戦線(国共合作)の再現です。

もちろん全てが北朝鮮の思惑通りにすんなりと事態が進むとも言えません。
アメリカも首脳会談の前に具体的な非核化の行動を取るように
条件を付けることも忘れていません。
ただ、楽観的な観測は楽ですが、いつも最悪の事態を想定するのが政治です。
日米が今後も綿密に連絡を取りあい、
力を合わせて朝鮮半島の非核化にコミットできればいいですが、
米朝会談は外国同士の話し合いであり、
この中でどんな取引が行われるかは日本には知り得ません。
アメリカ抜きTPPが大筋合意し日本はこれを主導する立場となって
離脱したアメリカの復帰を呼びかけますが、
トランプ大統領は鉄鋼輸入関税の発動に著名するなど保護主義に傾いており、
経済では必ずしも良好というわけではありません。
経営者トランプが日本に朝鮮問題を天秤にかけて
経済交渉を仕掛けてくる可能性を否定することはできません。

一方でマスコミが言うように
日本だけが蚊帳の外で孤立していると言えないのは
中国ロシアも同様であるということです。
緊張緩和を歓迎しながらも米朝の急接近に警戒するなど
六者協議メンバーの評価も一様ではありません。
しかしながら核保有国である中露に日本ほどの深刻さはありません。

DDH-183いずも型護衛艦
(出典:海上自衛隊)

日本は核武装も含め、アメリカに頼らない軍事力の保持が必要になりますし、
現在いずもの空母化対地攻撃能力の保持など実際にその方向に進んでいますが、
アメリカが北朝鮮に妥協して、
極東の安保関与を弱めれば必然的にさらなる軍事力増強を余儀なくされます。
こうした状況になれば上記のとおり、
日本帝国主義の復活などと
国際的な反日プロパガンダに利用される恐れがあります。

国内の報道ではこうした情勢に対して
「赤っ恥の安部」「日本も対話に動け」
など北朝鮮に利する発言を繰り返し、
一方で大々的に朝日のスクープ(誤報)から森友問題を再熱させ、
野党は国会を混乱させています。
もちろん国会はこうした時だからこそ
真剣に憲法改正の議論を行わなければなりませんし、
日本が今後取るべき外交は朝鮮半島の赤化は諦めて、
アメリカをできる限り引き止めて、
イギリス(コモンウェルス)を積極的に極東に招き入れて
日米豪印による集団防衛体制を維持することでしょう。
それが機能しなくなったら日本は完全に戦前の軍国主義に逆戻りです。

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