隣り合わせの恐怖。

パラリンピックが終わりましたが、
ウクライナでの戦争は収束の見通しがありません。
チェルノブイリ原発を巡っての危険な攻防もあり、
ヨーロッパも気が気ではありません。
3月11日にはトルコの仲介でウクライナ侵攻後初めて
ウクライナとロシアの外相が会談しましたが、進展は見られませんでした。

Chernobylreactor
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世界大戦は回避出来るのか?

欧米はウクライナへの武器供与を始めはしましたが、
世界大戦を恐れ、軍隊の派遣を拒み続けています。
しかしながら万が一、ウクライナがロシアの手に落ちたなら
飛び地であるカリーニングラードを繋ぐために
NATO圏であるバルト三国ポーランドへと軸足を伸ばす可能性があり、
ウクライナと国境を接するこれら東欧のNATO加盟国から
ウクライナに対するより積極的な軍事支援を求める声が上がっています。

第二次世界大戦前、実は欧州は国土回復を訴えるドイツに同情的で
イギリスのチェンバレン政権は世界大戦を恐れ、
ミュンヘン協定などでナチスドイツに領土的妥協をした過去がありますが、
同盟関係であったポーランドが攻められた際に開戦に踏み切り、
結局世界大戦を回避する事に失敗しました。
二度あることは三度あると言いますが、
この歴史をなぞるのであればウクライナを抑え込んだロシアが
さらにNATO圏を攻撃してNATOとロシアの全面戦争に発展しかねません。
そうなれば逆にドイツが
カニーニングラード(ケーニヒスベルク)を奪還を意識し
積極的に軍事介入するかもしれません。

既にアメリカ人記者の殺害など偶発的な事件も起こり始め、
開戦の理由になりえる出来事は発生しつつあり、非常に不安定な状況です。
西側諸国は直接的な軍事介入はせずに強力な経済制裁によって
ロシア国内からのプーチン政権瓦解を狙っていますが、
一方のロシアでは言論弾圧が広がっており、言論統制に躍起になっています。

生物兵器を巡る争い

孤立化に進むロシアは11日、
「米国がウクライナでコウモリを使った生物兵器開発を行っている」として
国連安保理を招集しました。
これは苦しいロシアのただの妄言と片付けてはいけません。
今後、ウクライナで生物兵器が使用される可能性を示唆しているのです。
実際にアメリカもこういった論拠のない主張によって
イラク戦争など対テロ戦争を進めてきたこともあり、
未遂に終わったシリア内戦の介入の口実も化学兵器(サリン)の使用でした。
これがアサド政権の仕業か反政府軍の仕業か真相は分かりません。
ロシアもアメリカの対テロ戦争に倣って
ウクライナでゼレンスキー政権が生物兵器を使用したと見せかけて
さらなる侵攻を正当化しようとしているのです。

コウモリで思い返されるのが
中国武漢から発生した新型コロナウイルスです。
「中国の武漢ウイルス研究所から漏れた」というトランプ政権の主張から
中国報道官が「アメリカが持ち込んだ生物兵器」と反論するなど
米中で細菌戦の如き論戦が繰り広げられましたが
やはり今次大戦は生物兵器がキーワードになっていくのでしょうか?

極東での怪しい動き

ロシア軍がウクライナで手詰まり状態の中、
国際的な対ロシア制裁に対して7日に非友好的な国を公表、
G7の日本も非友好国に指定され、
以降ロシアによる北方領土の実効支配を強める動きが活発化しています。
10日、北方領土でミサイルシステムの演習を行い、
同日未明から11日にかけてロシア艦船10隻が津軽海峡を通過
11日、一方的に北方領土を経済特区に指定、
14日にもロシア海軍の潜水艦など6隻が宗谷岬近海を航行しました。
対ロシア制裁を強める日本政府をけん制する動きですが、
西でダメなら東に進むという政策はロシアの伝統であり、
いっそうの警戒感を持つ必要があります。
侵攻前であれば日本が進んで軍事的な挑発を行う事に意味がありましたが、
もはや侵攻は他人事ではなくなっているのが現状です。

ウクライナ侵攻により、ヨーロッパにおけるNATO加盟国の結束は強まっていますが、
極東アジアにおける日米韓の三国は決して一枚岩になっているとは言えません。
韓国では9日に大統領選が行われ、
対日関係改善を訴える尹錫悦氏が選ばれ、
5年ぶりの保守政権に政権交代されますが、
最大の懸念はミサイル実験を続ける北朝鮮である事に変わりはありません。
韓国には対ロシア、対中国において日米と共にする明確な姿勢がありません。

중앙선거관리위원회 윤석열 프로필
尹錫悦大統領
(出典:중앙선거관리위원회)

日米同盟はロシアの極東進出を抑える最重要関係ですが、
憲法9条の足枷は外されておらず、
アメリカも実際にどこまで極東有事にコミットしてくれるのか分かりません。
このロシアの極東進出に呼応して中国の台湾(尖閣)侵攻が始まれば、
日本は北と南の二正面戦を仕掛けられることになり、
朝鮮戦争が再開されたら三正面となります。
昨年の10月に中露連合艦隊が日本を周回した意味は何なのか?
真剣に考える必要があるでしょう。
また核保有の議論がなぜ今必要なのか?
これに関しては感情ではなく現実に即した判断を取るべきで、
ロシア、中国、北朝鮮はいずれも核保有国であり、
今回のウクライナ侵攻で分かったのが
核保有国が非保有国を一方的に攻撃し、
アメリカは核保有国相手には軍隊を派遣しないという事です。
日本が取るべき行動はハッキリしています。
戦後平和主義を貫いてきたドイツは既に防衛費を2倍徴兵制も議論され始めています。
日本もいつまでも防衛費1%に拘らずに自己防衛を考えるべきなのです。

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