フランス大統領選2017。

Emmanuel Macron in 2019

フランス大統領選は7日の決選投票により中道系マクロン候補が当選しました。
大統領選においてはこれまで極右政党国民戦線のルペン候補が支持を集めており、
イギリスに続いてフランスまでもがEUを離脱するかもしれないと
非常に強い関心を集めていました。

ヨーロッパではイスラム原理主義者によるテロが移民に偽装して広まっており、
特にフランスでは2015年1月7日のシャルリー・エブド襲撃事件を発端に
2015年11月13日、パリ同時多発テロ事件が起こり、
2016年にもニーストラックテロ事件が起こるなどターゲットとなっていました。

国民の約10%がムスリムであり、彼らがイスラム過激派となる下地があり、
対ISIL戦において欧州で最も多くの兵力を提供しているフランスは
ISILにとって格好の攻撃目標と言えるわけです。
また、フランスはEUの根幹と言えるシェンゲン協定に加盟しており、
シェンゲン圏内からの人や武器の移動を管理できないため
テロに対して脆弱であると言われてきました。
実際パリ同時多発テロはベルギーのブリュッセルが拠点だったわけで、
ニースの事件も国内のイスラム教徒がISILに感化されたとなれば
テロへの脆弱性を証明することになります。

こうした中でシェンゲン圏外であるにも関わらずEU離脱を決めたイギリス
アメリカ第一主義を掲げたトランプ候補がアメリカ大統領に選ばれるなど
世界中で孤立主義、保護主義が盛り上がり、
まさに最前線であるフランスでも
この勢いを受けて極右のルペン氏が急速に支持を集めていたのでした。

ルペン氏が当選すれば
ドイツのメンケル首相とフランスのルペン大統領、
EUの二大国のトップが女性となりますが、
その関係は第二次大戦後最悪の状態になったとみられます。
EUはドイツとフランスの和解から始まったものであり、
ドイツの経済力とフランスの政治力が土台になっているわけで
シェンゲン圏外でありユーロも導入していないイギリスと違い
フランスのEU離脱はまさにEU崩壊そのものを指します。

こうした中でEUの継続というフランス国民が出した答えは賢明であり、
イギリスやアメリカに安易に追随しない独自性は
ド・ゴール主義を思い起こし、フランスらしさを感じます。

ヨーロッパはテロの驚異と引き続き戦い続けねばなりませんが、
帝国主義、植民地主義の報いのようにも思えますし、
これを再び民族や宗教の対立として片付けるのではなく、
自由・平等・博愛の精神を持って
人智で解決しようという決意を支持したいと思います。

ヨーロッパ(独仏)はテロリズムを抱えながらも共存と多様性を選択しました。
一方で同じ民族でありながら真逆の道を突き進んできたのが朝鮮半島です。

韓国でも現在大統領戦が行われていますが、国民感情が何よりも優先されており、
つまり逮捕された前大統領朴槿恵路線否定の度合いが強いほど
支持率が集まる状況となっています。
現実の驚異として北朝鮮のミサイルが存在するにも関わらず、
日本との慰安婦合意の再交渉やアメリカのTHAAD配備の撤回など
味方になってくれる同盟国を蔑ろにし、北朝鮮に擦り寄る政策を掲げており、
国際情勢と逆行する状況を見ても
フランス国民が持っている大局観はないように見えます。

EUのフランスとドイツを例にして
北朝鮮(核保有=政治力)、韓国(経済力)と見ることもできなくはないですが、
韓国が核保有に至っても北朝鮮同様、それを国際社会が認める訳もなく、
金一族の処遇など朝鮮半島の統一自体現時点で非常に困難でしょう。
まず両国の政府がドイツのように民族の統一という崇高な理念を持って
諸外国に働きがけることが重要であったにも関わらず、
朝鮮戦争の決着がつかず、分断固定化されてしまったため
平和的統一からは程遠いところにまで来てしまったのです。

金大中、盧武鉉政権は北朝鮮に融和的な太陽政策を展開しましたが、
一方の金正日政権は核戦力の充実を図り、軍事的統一の野望を捨てませんでした。
今の状況では韓国による緩やかな併合という現実路線ではなく、
核戦力を背景とする北朝鮮による併合という最悪のシナリオまで語られています。
もちろん大量の難民は必至で日本も他人事ではありません。

自分たちが争いの中心になっているにも関わらず見て見ぬふりをする。
こうした状況では
他国の政治的介入というかつての歴史を繰り返すだけになってしまう。
政策が間違っているかどうかは結果でしか判断されませんが、
こうした危機的状況の中で最善の選択をする事を優先するべきで、
韓国国民はフランス国民を見習ってもらいたい。
朝鮮半島情勢は日本の安全保障にも重大な影響を与えます。

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