森友問題と豊洲問題②

豊洲移転問題も森友問題と同質の問題を抱えている気がします。

築地市場は世界最大規模の卸売市場ですが、
取り扱い数量の拡大により施設が手狭になった事や
施設が誕生から80年も経過し老朽化していることを受け、
青島都知事時代に移転が検討され、
石原都知事時代に東京ガス工場の跡地である豊洲市場に移転先が決まりました。

豊洲の土壌汚染は当初から知られており、
コンクリートで覆われているから安全性に問題はないとされていましたが、
関係者や民主党、共産党などの野党が反対してきました。
こうした事から石原都政は
汚染された土を掘り出し浄化処理して埋め戻す対策をして豊洲移転を推進、
都と関係者が合意し、
民主党も賛成に回ったことから2014年に豊洲移転が決まりました。
この背景には2020年の東京オリンピック招致があります。

問題の転機は小池百合子都知事が誕生したことと、
盛り土がされていない地下空間の存在のリークが共産党にもたらされたことです。

小池都知事は就任当初から
東京オリンピック会場の見直し問題など、
民主党政権時に見られた事業仕分けの如く予算削減を訴え、
「都民ファースト」を合言葉に
圧倒的人気を集めた当選の勢いそのまま小池旋風を巻き起こしました。
築地市場の豊洲移転問題もこれに付随する形で出てきました。

野党の調査により基準値を超えるベンゼンが検出されるなど、
石原都政下での土壌対策の不備が明るみになり、
2016年11月に開場が決まっていた豊洲市場は一転延期となりました。
その後、専門家会議が設置され、
科学的・法的に安全性に問題はないという結論に達しましたが、
小池都知事は「安全と安心は違う」と発言し、慎重な姿勢を崩していません。

市場関係者は政治に振り回される現状に怒りの声が噴出しています。
これは当然の事ですが、
都議会やマスコミが注目しているのは
「誰が地下空間を作ったのか?」という犯人探しであり、
問題の解決に繋がっていません。
市場関係者の不安を払拭するどころか、
ますます不安を煽り、神経を逆なでするばかりです。

東京ガスと当時の石原都政の間で
豊洲を手に入れるために不正なやり取りがあったという前提で、
国有地破格値売却に関わる籠池氏の証人喚問のごとく
石原前都知事が偽証罪を問われる百条委員会に呼ばれましたが、
単なる政治ショーです。
マスコミは小池旋風の快進撃が止まらないと大きく取り上げますが、
自分は力を無くした老人をいじめているようにしか見えません。
当時の責任者とは言え、今はもう引退されている。
最終的な責任は今の責任者が取らなければならないわけで、
公職を離れた石原都知事に責任を押し付けることは出ません。
つまり百条委員会は小池都知事の延命措置としての役目でしかありません。

たしかに都民の安心が第一との小池都知事の訴えは耳心地がいいですが、
どうすれば安心できるのか?どういった展望があるのか不透明です。
石原都政は土壌汚染対策でそれを乗り越えて一旦は合意に漕ぎ着けたわけですが、
正直な話、安心という感情は人それぞれであって、
ここまで失墜した信用を回復するのは至難の業です。

小池都政は専門家会議の判断を蔑ろにしているきらいもあります。
専門家が安全と判断しているのが結論であって、
人それぞれの判断基準が曖昧な安心に固執したところで出口はなく、
科学的な安全を安心の根拠とすること以外に道はないはず。
しかし、どこからともなく再び基準値を上回る数値が検出され、
市場関係者は誰も信じられない状況となっています・・・。

まず、地下水も使わなければ汚染された土に接するわけもないので
汚染水が出ようが、地下に土壌汚染があろうが
当初から安全だったという主張をどう判断するのか?
そして、今の築地市場を続ける事に安全性の問題はないのか?

事実、土壌汚染は築地市場にもあります。
戦前、築地には海軍の毒ガスや化学兵器の研究を行う研究室があり、
戦後、米軍も土壌汚染の可能性を指摘してきたし、
地下には第五福竜丸によって水揚げされた、被爆マグロも埋められています。
これら築地の土壌汚染に対して小池都知事は
コンクリートで覆われているから汚染の問題はないと発言していますが、
先述の通り豊洲も同条件なため、完全なダブルスタンダードになっています。
また、築地は老朽化により土壌汚染に加え、
首都直下型地震による倒壊の可能性が指摘されています。
築地を改修する案も出されていますが、
施設の大部分にアスベストを使用しており、
市場を運営しながらの改修は困難を極めます。

市場関係者がブランド化された築地という言葉
80年に渡る経験を根拠に築地市場の方が安心と思うのは理解できますが、
政治家がそれに安易に乗っかるのはいかがなものか?

こうした事から分かるように豊洲問題も森友問題同様、政局の問題なのです。
都議会自民党や森会長、石原前都知事を悪者にすることでしか
自らの価値を見出せない小池都知事に最大の問題があると思います。
そもそも自らが所属する自民党に何の許可もなく都知事選に立候補し、
自民党に所属しながらも自民党推薦の候補と
選挙戦を戦うところから小池の乱は始まりました。

こうした経緯から都議会自民党とは最初から対立構造に有り、
小池新党の下地となる勉強会「希望の塾」を発足させ、
こうした動きに合わせて都議会公明党が自民党の連立を解消するという
政変となっています。
しかしながら東京オリンピック会場問題も
突然、「復興五輪」を掲げて
宮城県など他県も巻き込み散々こねくりまわした挙句、
森会長とIOCに押さえつけられ、予定通り東京開催になりました。
小池旋風にブレーキがかかったのは誰の目にも明らかでした。
これに豊洲問題まで負けるわけにはいかないので
小池都知事も引くに引けない状況になっているのでしょう。

小池都知事は普天間移設問題の鳩山政権と同じ運命をたどる予感がします。
築地にとどまっても、豊洲に決まっても何一つ小池都知事のポイントにならない。
小池都知事は小沢一郎の一番弟子と言われてきました。
小沢一郎と同様に壊し屋気質なのでしょう。
散々かき乱して、問題を大きくさせ、
表向けの目標であったコスト削減どころかコスト増加となる上に、
豊洲という言葉に風評被害を与えた責任は大変重いです。

民意に寄り添うだけが政治じゃないのです。そんなのは宗教家に任せればいい。
決断し問題を解決するのが仕事であって、
決断を引き伸ばして、問題を長引かせるのは政治家の仕事ではない。
強引にでも前に進むエネルギーが都政に必要なのに、
はたしてこれで東京オリンピックが開催できるのか?
東京ばかりか日本、世界までもが、
小池都知事の個人的な政治的野望のために迷惑を被る事になります。
小池都知事は東京都の質を貶めているだけにしか見えません。

森友問題に豊洲問題。
違法性や安全性に問題がないところに問題を作る。
マスコミも野党も小池都知事も一体何がしたいのでしょうか?
自らが責任を持ってそれぞれの職務を果たすだけです。
このような状況では隣国の大統領を笑えない。

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