TPPは環太平洋諸国による国境を越えた経済協力と言いますが、
域内GDPの91%を世界第一位の経済大国アメリカと
第三位の日本の2か国が占めるため、
実態は日米FTAであり、対中国経済ブロックなのです。
そもそも日本の参加はオバマ政権の強い要望でした。
この点をどう捉えるかがポイントだろうと思います。
アメリカはリーマンショック後、世界の覇権を失い始めます。
経済的に停滞するアメリカは世界第二位の経済大国に躍り出た中国に対抗し、
大国の地位を守り抜くために、日本の経済力を頼りにしたのです。
アメリカは鳩山内閣時代に小沢一郎や鳩山由紀夫が主張していた
中国に近いアジアオンリーの経済圏(東アジア共同体構想)に反対でした。
小沢一郎は自身がオヤジと慕っていた
田中角栄と同様に違法献金問題(陸山会事件)によって失脚させられ、
鳩山内閣崩壊後、小沢と距離を置いた菅政権が誕生します。
そして菅内閣時代に3.11が起こり小沢の故郷である岩手県も被災します。
田中角栄と若かれし頃の小沢一郎 (出典:Joi) |
ロッキード事件と陸山会事件も
3.11を始め周到に用意されたアメリカの陰謀であるという説があります。
東日本大震災からTPP参加の流れは非常にスムーズでした。
TPP参加が開国というのであれば
人工地震は黒船の大砲と言えるかもしれません。
菅直人は平成の井伊直弼ということか?
私は親中外交を繰り返した鳩山政権を支持しませんが
対米従属からの脱却を志向していたことは確かです。
アメリカの国益という視点で見れば
TPPは日本を中国から切り離して
太平洋という枠組みで日本を囲む作戦と見えます。
一方で韓国はTPP不参加を表明し、中国主導のAIIBに参加しました。
このように考えると結局、安倍内閣のTPPは
中曽根内閣のプラザ合意、小泉内閣の郵政民営化と同様の
アメリカの属国化とも考えられるわけで、
自主独立を目指す立場から保守層にとって
TPP参加を決めた安倍内閣を無条件で支持する
エセ保守は「売国奴」に映るわけです。
※TPP参加に大きく舵を切ったのは民主党政権(野田内閣)であることをつけ足しておきます。
ただ、日本にとっても中国は脅威の存在であり、
日米安保による軍事協力だけでなく、TPPによる経済協力によって
日米同盟を更に強固な存在にするという見方もできます。
おそらくこの思想の先に別のことで話題になってしまった
丸山議員の「アメリカ51番目の州」発言があったのだろうと思います。
安倍内閣のTPP参加表明は尖閣事件以来の日中対立という
当時の時勢において現実的な判断だったかもしれません。
アメリカが今後も大国の地位を保持して
日本に寄り添ってやっていけるうちには
TPPは有効に働くかも知れないし、
国産品、輸入品かかわらず各産業に競争力が生まれ、
本当に良いものだけが生き残るかも知れない。
しかしアメリカではTPPを推進してきたネオコン勢力が衰退し
民主党候補のヒラリー、サンダース、共和党のトランプ
有力な大統領候補の全てがTPP反対を表明しているのです。
そしてアメリカにおけるTPPの審議・批准は
TPPを推し進めた現オバマ政権下では行われず
次期政権にずれ込むとされています。
アメリカ国民の多くもTPPに反対しています。
日本におけるデメリットとアメリカにおけるデメリットは実は同じなのです。
アメリカ議会がTPPを承認できなければ、
日本を含む参加国で承認が進んでも全くの無意味です。
反対派にとっては不幸中の幸いと言えるかもしれません。
また、TPPは秘密交渉で行われ、
内容は交渉国のトップの2、3人しか知り得ませんが、
その内の一人である甘利経済再生相が
週刊文春のリークによる賄賂問題で失脚しました。
このタイミングは陰謀の匂いしかしません。
TPP構想後退の序章です。
TPP失敗の全責任を甘利大臣が引き受ける形になるのでしょうか?
以上のことから考えてもTPPが崩壊するのは時間の問題であり
日本はアメリカありきの国益の追求方法を
今のうちに考え直す必要があると思います。
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