キリストとイスラム対立の歴史③

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大航海時代~世界大戦

大航海時代、ローマ教皇はトリデシリャス条約により、
世界をスペイン領とポルトガル領に二分した。
後にスペインはポルトガルを併合したため
まさにスペインは「太陽の沈まない帝国」となった。
16世紀は「スペインの世紀」であった。

17世紀にはスペインから独立を勝ち取った
オランダに海洋帝国の地位を譲り、
18世紀には海洋進出としては後発の
イギリスとフランスの抗争になる。
フランス革命の波及戦争であるナポレオン戦争を経て
英仏100年戦争に勝ったイギリスがアメリカ大陸の覇権を確立。
オランダの影響下にあった広大な土地もイギリスの配下となった。
植民地の莫大な資源は産業革命を起こした大英帝国の黄金期を支え、
19世紀にはパックスブリタニカ(イギリスの平和)となる。

南部のイングランドは
16世紀中期のルターによる「宗教改革」の影響を受け
政治的理由からローマ教皇のカトリックと決別し、
「イギリス国教会」を国教とする「新教プロテスタント系の帝国」であった。
厳密にはプロテスタントでもなく、
教義の面ではカトリックに近かったが
北部のスコットランドは悪魔崇拝でフランスを追い出された
テンプル騎士団を受け入れるなど
イギリスの宗教感は独特のものがある。
(※フリーメイソンがイギリスで誕生するきっかけ)

一方、イスラム教のオスマン帝国は
17世紀末頃から徐々に衰退し始めた。

かつてイスラム帝国やモンゴル帝国など
世界政治はアジアが中心であったが、
大航海時代におけるキリスト教圏の海洋進出により
ヨーロッパ中心の世界へと変貌する。
大航海時代以降、アフリカ、アジアへと侵略の手を伸ばすヨーロッパ。
植民地獲得争いに遅れて参加したドイツ、オーストリア
植民地大国イギリス、フランスとの間で軋轢が生まれ、
植民地主義の行き先は全ヨーロッパを巻き込む
未曽有の「世界大戦」となりパックスブリタニカは破綻する。

大戦期~イスラエル建国

20世紀初頭、英ヴィクトリア女王の死、
バルカン半島の民族問題、植民地獲得戦争
これらの諸問題が重なり第一次世界大戦が勃発。

オスマン帝国は政治的劣勢を挽回するため
対ロシアを名目にドイツ同盟側に立ち参戦したが、
連合国のイギリスはフサイン=マクマホン協定によって
帝国崩壊後の中東におけるアラブ独立を約束して
オスマン帝国の支配層トルコ人に対して非支配層のアラブ人を先導し
「アッバース朝以来のアラブ国家建設」のため反乱を主導した。
英軍人「アラビアのロレンス」の活躍もあり、
オスマン帝国は敗戦、崩壊する。

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アラビアのロレンス

Public Domain, Link

しかし、アラブ人の念願のアラブ国家は生まれなかった。
イギリスの中東政策は以下のように3枚舌外交だった。

  • フサイン=マクマホン協定(中東のアラブ独立 公開)
  • サイクス・ピコ協定(英仏露による中東分割 秘密協定)
  • バルフォア宣言(パレスチナにおけるユダヤ民族居住地建設 公開)

アラブ人と協力してオスマン帝国滅亡に導いたイギリスは
同時に戦争資金を得るためユダヤ人に対しても独立を約束していた。
しかし現実は西洋列強による中東の分割統治となり、
アラブ人、ユダヤ人共に独立できなかった。
このイギリスの3枚舌外交は現在の中東紛争に繋がる原因となる。

Sykes-Picot-1916
サイクス・ピコ協定によるオスマン帝国の勢力分割
赤がイギリス、青がフランス、紫は共同統治を意味する
(出典:Ian Pitchford)

イギリスに戦争資金を与えたユダヤ資本
国家は持たずともユダヤ教と言う宗教の元で団結しており、
世界の金融を支配する一大勢力であった。
日露戦争でも日本に資金援助をしている。
エルサレムを守護していたテンプル騎士団などが中心となり
イギリスで誕生したユダヤ思想を持つフリーメイソンは
18世紀のアメリカ独立フランス革命
また共産主義革命のロシア革命にも大きく関わっていた。

第二次大戦においてもユダヤ資本はアメリカに協力した。
結果、これら連合国の勝利に終わり
ナチスドイツの迫害を生き抜いたユダヤ人たちの国家として
アメリカや国連の支援を受けて
パレスチナの地に人為的に「イスラエル」が作られた。
長年滞在していたアラブ人は追い出されパレスチナ難民が生まれ、
アラブ(イスラーム)と
ユダヤの対決は決定的となる。

ユダヤ人の国家建設運動を
エルサレムを指す「シオンの丘」から「シオニズム」運動と呼ぶ。
その名の通り、パレスチナ地域の故郷回帰運動であり
このシオニズムは現在のイスラム過激派のテロと同じく
イギリスに対してテロを繰り返した。
結果、イスラエル建国をもってユダヤ人念願の独立は達成された。
イスラエルこそテロによって誕生した最初の国家である。
現在のISISの行動理念も基本的に同じで
列強によって人為的に引かれた国境である
サイクス・ピコ体制を批判し統一イスラムを目指して
「第二のイスラエル」になろうとしている訳だ。


アラビアのロレンスは映画にもなっているので
興味のある方は見てみてください。

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