アメリカやイギリスなどが相次いで保護主義的な政策を打ち出したのは
まさにブロック経済やニューディール政策の再現です。
日本が主導するTPPはいわば21世紀型の大東亜共栄圏と言えるでしょう。
EUは事実上ドイツの一人勝ち状態で第四帝国とも称されます。
つまり日欧EPAは日独伊三国同盟の再来と言えます。
ウクライナを巡って起きているEUとロシアの対立は
第二次大戦の始まりとなったポーランド問題とぴったり符合します。
一方で日本は極東経済開発など
ロシアに対して融和的な姿勢を示している点は
日ソ中立条約のような雰囲気があります。
恐ろしいぐらい第二次世界大戦前夜の構造に似てきました。
しかし、EU(ドイツ)は
ナチスのホロコーストとは真逆の移民を推進していて
TPPや日欧EPAもあくまで経済的な同盟関係で、
軍事的な結びつきは日米、日英ともむしろより強くなっています。
ロシアは世界金融危機以降、
ソ連返りとも言える強硬路線になって
ウクライナのクリミア半島を併合しましたが、
経済的にはかつて程の力はないです。
当時と大きく違うのは中国の存在でしょう。
内乱期だった第二次大戦とは違い
中国共産党という強い存在によって統制されており
経済的にも軍事的にも急成長しています。
太平洋への海洋進出を進めアメリカと強く対立している点、
第二次大戦における大日本帝国の役目を引き継いだと言えるでしょう。
香港やチベットなど国内の言論弾圧を考えると
ナチスドイツの役目も背負っていると言えるかもしれません。
アメリカの没落によりロシアと中国が浮上し、
ヨーロッパや日本、東南アジアなど
域内のアメリカ同盟国を刺激していますが
直接的な軍事衝突、世界大戦には至っていません。
その要因はやはり核兵器の存在です。
米露中はいずれも第二次世界大戦を勝ち残った
常任理事国で核保有国です。
これが皮肉にも抑止として働いており武力行使に歯止めがかかっています。
そうしたことを考えるとヒートアップする
米中貿易戦争は武力を伴わない現代型の戦争であると言えます。
日韓の貿易問題もそういう点では同じです。
しかしアメリカやイスラエルの軍需産業複合体は
兵器の実力を調べ、兵器取引による利益を求め
常に実力を伴った戦争を好みます。
過去二度の世界大戦では主にヨーロッパが中心でしたが
第二次大戦以降、この実験場となっているのが中東です。
第一次~第四次中東戦争、レバノン内戦、イランイラク戦争、
湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争、シリア内戦…
ついにアメリカ・イスラエルはシーア派の本丸イランに狙いを定めた。 |
現在、イランやシリアに核開発の疑いがかけられていますが、
事実上の核保有国とされるイスラエルを除いて
中東地域の全ての国がNPT(核拡散防止条約)に署名しており
条約上は非核国なのです。
つまりイスラエルにしてみれば核で反撃されることがないという
大きなアドバンテージとなってしまい、
核抑止が働かず通常兵器による戦争を起こしやすい原因になります。
このためイランやシリアも核開発を進める
もしくは進んでいるように見せかけてけん制する必要があるわけです。
強く結束したイスラム勢力やアラブ勢力が
もし実際に核兵器を手に入れたならば
中東地域でのイスラエルの優位性は一気に失われます。
イラク戦争でブッシュ政権がその大義名分としていた
大量破壊兵器はとうとう見つかりませんでした。
このようにアメリカ・イスラエルにとっては
中東諸国が大量破壊兵器を持ってからでは遅いのです。
疑いが少しでもあるならその前に徹底的に叩く、
こうした前のめりで高圧的な態度は
北朝鮮を散々甘やかして核保有を許したのとは対照的です。
この歴史的な事実はかえって
戦争抑止としての核兵器の有効性を示しており、
北朝鮮はアメリカの核合意離脱からのこのイランの状況を見て
絶対に核兵器は手放さないと固く心に誓った事でしょう。
そして昨年、来日したローマ教皇の
反核の主張がいかに非現実的であるかという事も分かると思います。
日本は先の大戦における犠牲の対価として
ひとまずアメリカの核の傘に入ることができますが、
雨ざらしの中東の現状には同情を禁じえません。
イランやシリアの核開発を疑う前に
NPTにも加盟せず、こっそり核を保有する
イスラエルこそ責められるべきでしょう。
昨年には国連で初めて
中東非核地帯創設を目指す会議が開かれましたが、
イスラエルとアメリカのみ参加せず会議は進展しませんでした。
完全なダブルスタンダードです。
彼らの留まる事を知らない欲望を断ち切らない限り
残念ながら世界平和は夢のまた夢なのです。
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