トランプ前大統領暗殺未遂事件。

7月14日日曜日、朝から衝撃的なニュースが飛び込んできました。
11月のアメリカ大統領選で復活を目指す
共和党候補トランプ前大統領銃撃されました。
トランプ氏は激戦州のペンシルベニア州の農場で行われた共和党集会で演説中でした。
耳からの出血がみられ、容体が心配されましたが、
銃弾は耳を貫通するも致命傷は避けられ、幸い命に別状はないという事です。

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生き延びたトランプ前大統領

Donald Trump official portrait (cropped)
ドナルド・トランプ前大統領

銃撃後、トランプ氏は
シークレットサービスに守られながら会場を後にする際、
拳を突き上げ健在をアピールしました。

この銃撃で聴衆の一人が死亡、二名が重傷を負い
犯人はその場で射殺され、会場は一時騒然となりましたが、
トランプが拳を突き上げると聴衆のボルテージが上がり
「USA!」が連呼されました。

大統領経験者が襲撃を受けるのは
1981年のロナルド・レーガン大統領暗殺未遂事件以来になります。
銃規制に反対していたトランプが
銃犯罪に巻き込まれたことは皮肉な展開でもあります。
バイデン大統領は改めて銃規制の必要性を訴えますが、
討論会での醜態以来、ゼレンスキー大統領を面前で「プーチン大統領」と紹介し、
ハリス副大統領を「トランプ」と言い間違えるなど
その老い耄れ具合は目も当てられないほどであり、
大統領としての職務執行に支障が出ると身内の民主党からも撤退を促す声が出ており
この事件に際しても
銃規制を訴えるバイデン陣営にあまりプラスに働いていません。

むしろ、アメコミヒーローのように自ら傷つき危険に冒されながらも
「fight!」と叫んで聴衆を鼓舞し力強く拳を上げ立ち上がる姿は
アメリカ人の心を打つもので
かえってトランプ陣営を勢いづかせる結果になったと言えます。

世界で広がる民主主義への挑戦

また選挙中の凶行です。
時期的にも7月という事から2年前のあの事件がダブって見えてきます。
あらゆる暗殺(未遂)事件の背後関係は十分に捜査される必要があるでしょうが、
振り返るとあの安倍元総理暗殺事件はただ単に
統一教会問題が引き起こした日本国内特有の現象ではなく、
世界史的なムーブメントの始まりだったと言えるでしょう。
あの事件を起点としてイギリスのエリザベス女王が崩御、
イスラエルがガザに侵攻し、世界の分断が加速しました。

安倍・トランプ時代

Donald Trump and Shinzō Abe at 43rd G7 summit

テン年代後半、安倍・トランプ時代の国際情勢は非常に安定していました。
トランプ政権はアメリカファーストを掲げ、
モンロー主義的な内向きな保護貿易政策を進め、米欧関係は悪化したものの、
アジアの日本がそれを繋ぎ止めてG7の瓦解を防ぎ
中韓の歴史戦や北朝鮮のミサイル発射など極東で孤立した安倍政権は
軍事力を背景としたアメリカの外交力を利用していました。

北朝鮮ミサイルによる挑発が頻発し、戦争寸前とまで言われたものの
トランプ大統領と安倍総理の固いタッグで、
力の均衡がもたらされ、実際にミサイル発射は抑制されました。
中国とは激しい米中貿易戦争が繰り広げられ、
南シナ海では航行の自由作戦が行われましたが、
中国はアメリカの強硬な対中政策から
経済を中心に対日関係改善に進み、太平洋地域の軍事的挑発は減少傾向でした。
ロシアのウクライナ侵略は2014年のクリミア併合から始まっていたものの
2016年以降のトランプ大統領在任中は抑制的であり、
安倍総理とプーチンの信頼関係も厚く日露関係は良好でした。
中東においてはトランプ政権は親イスラエルカラーが強く、
イラン核合意を離脱し、エルサレムに米大使館を移転しましたが、
安倍総理が仲介に努めたこともあり全面的な衝突は回避してきました。

イランと対立するアメリカは日本を頼り、
北朝鮮と対立する日本はアメリカを頼り、間接的な外交を行ってきたのです。
安倍・トランプの二人のリーダーは
日米で足りない要素を互いに補い非常にバランスの良いコンビでした。

予定を狂わせたパンデミック

そして、この平穏を破壊したのは
コロナによるパンデミックに他なりません。
安倍総理はマリオのコスプレをしてリオオリンピックの閉会式に登場し、
2020年東京オリンピック開催に尽力、
オリンピックは任期最後の有終の美を飾る舞台になるはずでしたが
コロナによって史上初の延期、
また自身もコロナ対応の連続勤務で持病が悪化し、任期途中での退陣。
トランプ大統領も初動対応が遅れ、自身もコロナウイルスに感染
国内の感染爆発の責任を問われ、
2020年大統領選で民主党バイデン氏に敗北しました。

コロナによる渡航制限都市封鎖により、あらゆる国で外交が鈍化し、
その間にロシアや中国と言った覇権主義国の動きが活発となりました。
一線を退いたものの、
安倍氏もトランプ氏も所属政党では強い影響力を持っていましたが、
2022年に安倍氏が暗殺され、
続いて今回、安倍氏の盟友だったトランプ氏も狙われる事態となったのです。

アフターコロナの世界

コロナ戦争(第三次世界大戦)の終わり方については
世界的なこの選挙イヤーで決まります。
そういう一大事において、
一昨年の安倍元総理に始まり、昨年の岸田総理
今年1月の韓国最大野党共に民主党の李在明代表
そして、今回のトランプ前大統領
民主主義国家では選挙中の暴力が多発しています。

一方でロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席など
覇権主義国家は権力地盤を固めて独裁に突き進んでいます。
もはや新帝国主義の時代は避けられない状況となっています。

トランプが復活したからと言って
日本にとって良い方向に進むとは言い切れません。
ウクライナ戦争は現状の占領地を維持した形での
ロシア有利な条件下での停戦
イスラエルによるガザ、ヨルダン川西岸などのパレスチナ併合に賛成
中国との対決を避けて台湾有事には介入しない可能性があります。

前回のトランプ政権は就任前から安倍総理がトランプタワーに赴き、
個人的な信頼関係を築いて、トランプを手なずけ、
結果的に世界平和に導けたから良かったのであって、
安倍総理亡き今、その代わりを務める者はいません。

裏金問題ばかりがクローズアップされていますが、
この時勢において、もっとグローバルな課題について考える事が
今、日本の政治に求められていると思います。
もうすでに世界は平時ではなく非常事態の真っただ中にいるのです。

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