こんにちは。しばらくぶりです。
「ウクライナ疲れ」とかいう言葉も出てきて、
このブログもそうですが、
2月のロシアのウクライナ侵攻以来
毎日毎日ウクライナ戦争のニュースばかり注目されますが、
実は北朝鮮も今年に入ってからミサイル発射を繰り返し、
その数は少なくとも26発に及び、
1年間で発射した発数はすでに過去最高を記録、
7度目の核実験も噂されています。
戦争はヨーロッパだけの他人事ではなく、全ては繋がっているという認識が必要です。
日米韓同盟
北朝鮮がミサイル発射を控えたのは米朝首脳会談が行われた一時的な期間で
アメリカ本土をも射程内に収めるICBMの開発に向けて
北朝鮮は着実にミサイル技術を向上させています。
今年に入ってからの北朝鮮の急ピッチなミサイル発射は
韓国が親北の文在寅政権から
反北の尹錫悦政権に変わったことも背景にあるのでしょうが、
新型コロナの感染状況が深刻化し、
国境封鎖や干ばつの影響による食糧不足で
金正恩政権の国内基盤が不安定なのかもしれません。
こうした北朝鮮の相次ぐミサイル発射と
韓国の尹錫悦新大統領の誕生で
急速に日米韓の三国同盟が形成されている感があります。
尹錫悦大統領はアメリカに次いで日本に代表団を派遣するなど
日本重視の姿勢を示しています。
常識的に考えてレーダー照射問題を有耶無耶にした状態で
日韓で安保協力などできるはずもないのですが…
北朝鮮の核・ミサイル問題は共通の脅威であり、
日韓で協力するべき所は協力する必要があります。
アメリカの拡大抑止とIPEFの結成
再結成される日米韓同盟は単にアメリカの思惑だけで
渋々仲の悪い日韓が付き合っているという従来の構図から進展も見られます。
6月11日の日米韓防衛相会談において
共同声明で台湾が初めて記載されたことは顕著な変化です。
特に韓国はこれまで中国の顔色を窺い、
台湾問題に関しては中立の立場で積極的にコミットしてきませんでした。
こうして一時はレッドチーム入りしたと言われた韓国が
対中包囲網の一角に加わりました。
政権が変わったことが大きなきっかけとはいえ、
ここまで踏み込めたのは
ウクライナ戦争におけるロシアの核による恫喝を踏まえ、
アメリカの拡大抑止の方針が明言された事も大きいのでしょう。
アジアにおいてはヨーロッパのNATOのような多国間軍事同盟が存在しません。
この地域の自由主義国家の国際協力は
これまでアジアではなく太平洋という枠組みで進められてきましたが
韓国が不参加を決め、アメリカが脱退したTPPなど不完全と言える状況でした。
そして安倍元総理が提唱したインド太平洋という新たな枠組みや
日米豪印のクワッドが強化され、
5月に行われたバイデン大統領のアジア歴訪において
開かれたインド太平洋戦略を発展させたとも言える
アメリカ主導のIPEF(インド太平洋経済連携枠組み)の立ち上げが発表され
日韓も揃って参加する事になりました。
経済連携協定としてはTPPやRCEPのような関税削減目標がなく
対中包囲網として即席で作られた感は否めませんが、
アメリカファーストを掲げたトランプ大統領の登場や
新型コロナウイルスの流行による内向き政策から
アメリカが再びアジア地域への積極的な関与を表明する重要な発表だったと思います。
かりそめの友好
韓国は徴用工や慰安婦問題に対して未だ何の対応策も見せておらず
アメリカの圧力で対日改善のポーズをしているに過ぎないのかもしれません。
尹錫悦政権の評価をここで決めてしまうのはあまりにも時期尚早ですが、
世の中の流れが変わってきたことは認識する必要があるでしょう。
ポーズとはいえ、こういう姿勢を国内外で示すほどに
韓国にとって日本の重要性が高まっている事は明白です。
一方で日本にとっては韓国の重要度はそれほど高まっている訳ではありません。
それが両国間の温度差に表れていますが、
日本にとってみればレッドチームの前線が
対馬海峡から再び38度線まで押し戻す事になるので、
慰安婦や徴用工問題は韓国の国内問題として
解決されるまではこれまで通り二国間においてパッシングを続け、
安保は日米韓の枠組みでしっかり対応するという姿勢を取るのが重要でしょう。
これまでの日韓外交は
政治的には仲が悪くても経済的には友好関係を維持するという
暗黙のルールのようなものがありましたが、
全ての土台である日韓基本条約をひっくり返した
徴用工問題によって経済的な友好関係にもひびが入りました。
それが北朝鮮という外圧によって
安保で再び協力すると言う事なので、
この関係もかりそめの友好と言えます。
先代の文在寅大統領はまさにその安保協力の要である
日韓GSOMIAを破棄しようとしましたが、
アメリカの圧力でギリギリのところで取り下げた所です。
レーダー照射事件の原因究明もなされていませんし、
あの事件以来、韓国は敵国であると認識した人も多いでしょう。
しかし、今は例えかりそめであっても
自由主義国家で結束を見せることが重要であると言うことは
ロシアのウクライナ侵攻で多くの自由主義国家が認識したはずです。
日米韓の結束は単に北朝鮮問題だけではなく、
その背後にいる台湾を狙う中国、
ウクライナを侵略しているロシアに対するメッセージです。
北朝鮮のミサイル発射という国連決議違反に対して
これまで国際社会と歩調を合わせてきた中露が
初めて非難決議に拒否権を発動し否決したのが象徴的です。
憲法改正へ
参議院選挙が始まりましたが、防衛費2%や敵基地攻撃能力、
憲法改正についてまさに待ったなしの状況です。
平和主義を取ってきたドイツも
ウクライナ侵攻を受けて180度政策を転換しています。
日本が世界大戦当初のアメリカのように
戦争不介入や中立主義をとって平和を維持するには
地政学的にあまりにも北朝鮮、中国、ロシアに近すぎです。
そして現実問題として日米安保がある限り中立ではいられません。
護憲派は北欧の平和主義、中立主義を高く評価する所がありますが、
ウクライナ侵攻を受けて
スウェーデンとフィンランドはNATOに加盟申請し、
異議を唱えたトルコも賛成に回り
マドリードで開かれたNATO会合では二カ国の著名が行われ、加盟される見通しです。
この意味を護憲派をどう考えるのでしょうか?
その真意を考えていくと
安倍内閣で憲法改正を待たず解釈改憲という強引な手法を使ってでも
集団的自衛権の行使の容認に踏み切り、
平和安全法制を整備したのはベストな決断だったと言わざるを得ません。
これによってウクライナと台湾の順番が入れ替わったとさえ言えます。
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