連帯する北朝鮮と孤立するアメリカ。

今日、安部総理が
日米首脳会談G7サミットのために羽田空港を飛び立ちました。
ワシントンで首脳会談終了後、アメリカから直接カナダに移動、
東部シャルルボワで8~9日に開かれる主要7カ国首脳会議に出席します。
シンガポールで史上初の米朝首脳会談が開かれるのが今月12日。
1週間を切り、事実上これが日本にとってのラストチャンスです。

安部総理は北朝鮮からの拉致問題「解決済み」回答を拒否することを
トランプ大統領に要請すると見られ、
米朝会談直後にも日米首脳会談を申し入れ、早期に対応を見極めたい考えです。

米朝会談を巡ってはここに至るまで色々なことが起こりました。
前回の記事の段階で金正恩が中国大連を訪れ
習近平と二回目の中朝首脳会談を行い。
その直後、北朝鮮側から米朝会談の再考を示唆する発言が飛び出し、
北朝鮮の外務次官はペンス副大統領を「まぬけ」と侮辱しました。
経緯から見て北朝鮮の態度硬化は
中国の影響であることはほぼ間違いないでしょう。
このように態度を急変させた北朝鮮に対して
トランプ大統領は24日に会談中止を発表しました。
またしても電撃的な決断で世界を驚かせましたが、
その直後にこれまた急に北朝鮮が態度を軟化させ、
北朝鮮高官がトランプ大統領を持ち上げる発言をすると、
トランプ大統領もすぐさま会談中止を取り消し、現在に至ります。

興味深いのはトランプの会談中止発表前後の韓国、文在寅大統領の行動です。
22日に米韓首脳会談がワシントンで行われましたが、
米朝の仲介役としてアメリカに乗り込んだ文在寅に対して
トランプは首脳会談前に突発的な記者会見を開いて
マスコミに対して真っ先に米朝会談中止の可能性を示唆
また、「北朝鮮の態度変化に対する懸念の声が出ているが、どう考えているか」
との問いに韓国語で答えた文在寅の言葉を
トランプは「通訳しなくても良い」と発言し、あからさまな冷遇を行いました。

US-Korea Summit 22 May v2
(出典:韓国大統領府)

南北会談後、韓国がアメリカに伝えてきた内容と
北朝鮮の言動に大きな隔たりが有り、
アメリカの韓国への不信感も当然高まっていると言えます。
そして24日の会談中止を受けて、
日本は冷静にアメリカ支持を表明する中、韓国は遺憾の意を表しました。
そしてわずか二日後の26日に
二回目の南北首脳会談が板門店の北朝鮮側の施設で行われました。
一体この会談に何の意味があるのか?非常に謎が多いです。

InterKorean Summit 1st v22
(出典:韓国大統領府)

24日に行われた非核化を象徴させる政治ショー
豊渓里の地下核実験場の爆破、閉鎖の式典でも
招かれた米英露中の取材陣が北朝鮮入りする中、
韓国の取材陣だけは直前の23日まで受け入れを拒否されていました。

DPRK - nuclear 3
破壊される核実験場

これを米韓首脳会談での文在寅の言動を見定めていたのだとすれば
韓国は本当に北朝鮮の言いなりとしかいえません。
「日本が蚊帳の外」とマスコミでは盛んに言われていましたが、
蓋を開ければアメリカからも北朝鮮からも梯子を外され、
韓国が一番間抜けな印象を受けます。
国連決議で禁止されている北朝鮮の瀬取りに
韓国籍の船が関与していた疑惑も浮上しており、
事実上北朝鮮の属国と言われても仕方がないでしょう。
文在寅との会談で終わらずに最後に安部総理と会談を行うことを考えても
アメリカにとって韓国よりも
日本の方がはるかに信頼できると見ている証拠でしょう。

北朝鮮が重い腰を上げて非核化に乗り出したのは
日米二カ国のリーダーシップによる国際的経済制裁の効果であり、
この非核化を妨害するのは中国や韓国による援助であることが
より明確になってきたと言えます。

日本は北朝鮮の非核化を言葉だけではなく現実的な行動に移すまで
日米による圧力路線を継続させることが大事ですが、
アメリカにもリスクが無いわけではありません。
トランプ大統領も「最大限の圧力という言葉を使わない」などと
北朝鮮に対して融和的なメッセージを出し始めており、
非核化後の北朝鮮に対する経済支援を
日中韓に肩代わりさせるような発言も飛び出していますが、
そうした事も含め明日しっかりと打ち合わせておくことが重要です。

もうひとつの懸念は経済問題です。
日米会談の後にG7サミットが控えていますが、
それに先立ち2日、カナダ西部ウィスラーで開幕した
G7財務相・中央銀行総裁会議では
輸入制限や追加課税などアメリカの保護主義政策に対して批判が集中
現在G7でアメリカは孤立状態にあります。
日本としては北朝鮮問題に対しG7で一致した声明を出したいところですが、
今回のサミットでもアメリカの保護貿易が大きく取り上げられると思われます。
G7や経済交渉においてアメリカに拉致問題を引き合いに出され、
その足元をすくわれないように注意しなければならないでしょう。

北朝鮮が今年に入り、
中国、韓国と積極的に他国との連帯を目指しているのに対して、
大使館エルサレム移転、イラン核合意離脱、輸入制限
アメリカは孤立の道を突き進んでいます。

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