映画と国際関係。

こんばんは。
シリア情勢も先行き不透明な状況になりましたね・・・。
パリ同時多発テロ→ロシア・フランス同盟から
トルコ、ロシア爆撃機撃墜→ロシア・トルコ対立など
わずか一週間の間に目まぐるしく状況が変化しました・・・(;^ω^)
まさかトルコがロシアにケンカを売るとは思いませんでした。

ロシアがNATOの一員であるフランスに近づくのを
快く思わないのはアメリカです。
図のように米英は密かにISILを支援していると思われるので
アサド政権を守ることを第一としたロシアの空爆は都合が悪いのです。

トルコにおけるロシア爆撃機の撃墜は
パリのテロを期に空爆の正当化を図るため
フランスと近づいたロシアに対する牽制です。
同様の牽制がエジプトのロシア旅客機撃墜でしょう。
NATOの一員でもあるトルコには
ロシアもウクライナのように迂闊に手は出せない。
そこをついたようにも思えます。
アメリカはロシアと「引き分け」の状況に持ち込む戦略かと思えば
ロシアに対する攻勢の手を緩める気はなさそうですね。
国際政治の裏側でアメリカとロシアの外交戦争が繰り広げられているようです。

そして日本にとっても無関係ではないです。
この事件の前に安倍総理がトルコを訪れて
エルドアン大統領と一緒にある映画を見たのです。
それは12月5日公開の日本・トルコ合作映画「海難1890」



日本とトルコの友好125周年を記念して制作され、
日本外務省・トルコ文化観光省が製作を全面バックアップした
非常に政治的な経緯で作られた映画です。

戦後70年の今年、
歴史を武器に中国・韓国が日本に対して攻勢をしかけましたが、
日本は友好のために歴史を使い世界にアピールする狙いもあったでしょう。

このタイミングでシリア内戦の新たな登場人物として
トルコが現れたことが何を指すのか?

ウクライナ内戦でも
対露制裁に控えめだった日本はロシアを完全に敵とみなすことになるのか?
日本とロシアが近づく事を快く思わないのもアメリカです。
安部総理はパリのテロの現場に行き献花するなど、
ますます反ISILを明白にしています。

地域外である日本がシリア情勢に積極的に関わる可能性は低いですが、
この安倍外交の目立ちっぷりを見るとテロの可能性も否定できない。
しかし、ここまでのリスクを負う価値もあると言わざるを得ない。
中国の脅威が現実味を帯びている今では
米英側に立つほかにないというのが現実。

しかし、中国におけるイギリスやロシアにおけるフランスのように
敵の仲間を味方に引き込むような戦術は常に持たねばならないと思う。
実は日本にとってこれがまさにロシアだったわけです・・・
これが独自外交であり、国連常任理事国入りを目指す中では必要になります。

世界においてこのバランスが少しでも崩れれば戦争になってしまうのです。
残念ながら戦争の危機は
以前よりもずっと近くにあると言わざるを得ないでしょう。


(↓12月3日追記)
「海難1890」公開日である12月5日
同時に公開される映画がもう一つあります。
戦時中多くのユダヤ人を救ったとされる日本人外交官を描いた
「杉原千畝 スギハラチウネ」

日本の公開に先んじて10月13日、
杉原がビザを発給したリトアニア・カウナスでワールドプレミアが行われ、
杉原の家族やカウナス副市長が出席し、
450席の劇場は満席で50人の立ち見が出た他、
上映終了後には5分間のスタンディングオベーションが起きたという・・・。

制作意図は別であろうが
映画は常にプロパガンダに利用されてきた歴史的背景を忘れずに
冷静な視点を持つ必要がある。

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