国際共同開発のリスク。

オーストラリアの潜水艦受注フランスに決まり、
日本はインドネシアの新幹線受注に続き
再び輸出競争に負けました。
潜水艦受注にはフランスとドイツの企業が立候補していましたが、
日本は武器輸出解禁後の初めての大きな商談であり
安倍総理自らも売り込みを行い官民連合で挑んでいました。

そもそも潜水艦とは
海中深くに潜み、敵の艦艇に密かに忍び寄り魚雷で攻撃する兵器です。
オーストラリアが新型潜水艦保有を試みているのは
空母を保有し南シナ海など海洋進出を強める中国が念頭にあります。

核保有国は原子力潜水艦を保有していますが、
原子力機関によって
半永久的に海中で行動が可能という長所がある一方で
大きな騒音を発するという弱点があります。
この点、通常動力型(ディーゼル)潜水艦
酸素を取り入れるために海上に定期的に浮上しなければなりませんが
原潜に比べると静かに行動できます。

そうりゅう型潜水艦
(出典:海上自衛隊)

日本は酸素なしでも行動ができる
AIP(非大気依存推進)という装置を備えた
世界最大の通常型潜水艦、そうりゅう型を保有しており、
高い技術力を持っています。
オーストラリアも非核国なので条件的にそうりゅう型は理想でした。
また、同じ太平洋地域のニ大国が連携することは
安全保障上重要な事でアメリカも日本案を後押ししていました。

こうして技術的にも政治的にも申し分なく
受注確実とまで言われていましたが、
武器輸出の経験の浅さを警戒され、日本は落選しました。
経済的損失だけでなく、日豪関係には少なからずヒビが入るでしょう。

しかし、一番気になるのは
正式発表を待たずして、選考中に日本案が一番評価が低いという
情報が流れたことです。

オーストラリア政府は調査に乗り出すようですが、
これは大きな問題です。
安全保障分野は機密性が高くなくてはなりません。

世界の兵器開発は年々コストが上昇しているため
国際共同開発が主流になっていますが
今回のケースや中国ハッカーによるF-35の情報流出など
情報漏えいのリスクが高いと言えます。

ブロック化する先行き不透明な国際情勢の中で
自国の経済や技術を守るためにはどうすれば良いか
将来の国産戦闘機開発についてもよく考えなくてはなりません。

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