世界に誇る日本軍の兵器10選⑥~伊十五型潜水艦~

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伊十五型潜水艦

I-15
伊15型潜水艦
伊十五型潜水艦は、日本海軍の潜水艦の艦級。
零式小型水上偵察機を搭載する「潜水空母」です。
伊十五型は大東亜戦争において
日本海軍が最も多く建造した大型潜水艦で計20隻建造されました。
効果的な通商破壊によって日本占領下の島を無力化させ、
アメリカ軍の島伝いの上陸を手助けして
日本を追い詰めるのに大きな役割を果たしたアメリカ潜水艦に対して
日本の潜水艦はその真価を発揮できなかったとして評価が低いですが、
アメリカ海軍のワスプを撃沈した伊19や、
アメリカ本土砲撃を行ったほか、搭載機でアメリカ本土空襲を行った伊25なども
この艦級に属しており、特筆すべき活躍をした潜水艦です。
伊19はソロモン海域で「九五式魚雷(酸素魚雷)」六本を発射し、
至近距離で三本の魚雷を受けた米空母ワプスが大爆発の末沈没。
さらに外れた三本も航走を続け、
東方約10キロを行動中のホーネット部隊に到達し、
戦艦ノースカロライナに一本、駆逐艦オブライエンに一本命中、
後にオブライエンも沈没しました。
伊19は一斉射の魚雷発射で
空母一隻、駆逐艦一隻を撃沈、戦艦一隻を損傷させる大戦果を挙げます。
単独の潜水艦でこれほどの戦果を残すことは稀です。
伊19はホーネット部隊を認知しておらず、偶然が重なった結果ではありますが、
長射程で強力な酸素魚雷だったからこそ起こせた奇跡と言えるでしょう。
潜水艦は航続距離と隠密性に優れており、航空機は速力と正確性に優れる。
これを組み合したのが潜水空母
各国で実用化されたものの小型な潜水艦への有力な水上機の搭載が難しく、
欧米では最終的に潜水艦への航空機搭載は取りやめられましたが、
日本は例外的に潜水空母の開発に積極的で
艦級のほとんどが航空機搭載可能な設計でした。
水上機による一般的な観測や偵察だけに留まらず、
限定的ながらも攻撃型空母のような運用も行いました。
この背景には海軍軍縮会議があります。
米英に対して主力艦(戦艦)の保有数で数的不利となった日本は
大型で強力な潜水艦でそれを補おうとしたのです。
伊十五型はその長大な航続力により
東はアメリカ西海岸から西はアフリカ東岸まで活躍し、
また遣独潜水艦作戦に3隻が選ばれ大西洋まで活躍の場を広げ、
ドイツからジェット機の資料などを日本に持ち帰りました。
日本の潜水艦の航続距離が長い理由は
漸減邀撃作戦という日本海軍の対米基本戦略にあります。
太平洋を西進する優勢な米海軍に対して
航空機と潜水艦による攻撃で戦力を削り、
日本近海で互角になったところで
超弩級戦艦を主力とする艦隊決戦に持ち込むという戦略です。
結果的にこの日本の目論見は外れる訳ですが、
この戦略思想が無ければ
前代未聞のアメリカ本土攻撃も実現できなかったでしょう。
相次ぐ伊十五型のアメリカ本土沿岸の砲撃作戦は
存在しない日本機と戦うロサンゼルスの戦いを引き起こし
アメリカ西海岸をパニックに陥れました。
その後、アメリカは1942年4月にドーリットル空襲で
東京を初爆撃し、一矢報いる事に成功しますが、
日本海軍はこれに対抗し、さらに航空機による本土攻撃を企画します。
E14Y Type 0 Reconnaissance Seaplane Glen E14Y-2.jpg
艦載機の零式小型水上偵察機

パブリック・ドメイン, リンク

1942年9月に行われた伊25の艦載機(零式小型水上偵察機)による
二回のオレゴン州空襲は敵の反撃を一切受けずに成功します。
これは史上初、また現時点で唯一の外国軍用機によるアメリカ本土攻撃であり、
山火事程度で人的被害はなかったものの、
日本軍の目論見通り精神的ダメージを与えるには十分で
アメリカは日本軍上陸を真剣に検討しなければいけなくなりました。
これらのアメリカ本土攻撃は
1941年の12月から1942年にかけて行われたものであり、
以後、戦局の悪化により下火になりますが、
もし潜水空母によるアメリカ本土攻撃が続いていれば
いくら当局が報道管制を敷いたところで、
アメリカ国民への精神的影響は避けられず、
国内世論に大きな変化をもたらしたかもしれません。

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