天皇陛下のおことば。

どうもお久しぶりです。
リオオリンピック連日のメダルラッシュ嬉しい限りですね。
こういう時はイデオロギーを越えて日本人が一体になれるので
やはりオリンピックは必要だと感じます。

さて一度引退宣言しながら再び参上したのには
今月8日に発表された「天皇陛下のおことば」について
考えをまとめておこうと言う思いからです。

おことばの真意について
簡単に言えば高齢により公務を全うできないので
退位(天皇を辞める)したいという話です。
現在の皇室典範(皇室制度の取り決め)では
崩御(天皇の死)されない限り、退位、譲位は認められていません。
退位の代わりに摂政という制度があり、
天皇が成年に満たない場合や重篤な状況に置かれた場合に
皇太子などの皇族が天皇の代わりに国事行為を行います。
実際に大正天皇のご病気の際に即位前の昭和天皇が摂政を行いました。

しかし、おことばを聞く限り、陛下は摂政制度にも懐疑的であり
皇室の未来を見据えた上で
皇室制度の根本的見直しを訴えているように感じます。
つまり制度として天皇の生前退位を容認するという事です。
これに対する国民の反応としては
概ね退位を認める傾向にあり、陛下の御意向に同情する意見が多いです。
ご病気を押して常に国民に寄り添ってきた陛下ですから
気持ちはよく分かります。
しかし、個人的にはかなり微妙な気持ちです。
今上陛下個人ではなく「天皇」という存在を考えた時、
やはり皇族による公務の分担や、
皇太子殿下の摂政で解決できないのかと思います。
政府内部では今回限り退位を認めるというような案もあるようです。

そもそも一世一元制度は明治以降、
天皇中心の近代国家建設のために生まれました。
それ以前は生前退位は頻繁にありましたし、
大きな災いがあると元号はころころと頻繁に変わっていました。

なぜ明治新政府は生前譲位を認めず一世一元としたのか?
一つは分かりやすさです。
災害などで頻繁に年号を変えるので
明治以前は一般生活で元号はあまり用いられませんでした。
この点、一人の天皇の生涯で一時代を区切るのはわかりやすく
この元号制度と対になるように生前譲位制度も廃止されました。
しかし一番大きいのは天皇の権威を高めるためでしょう。
明治憲法下では日本は天皇が統治していたため、
天皇が存命している限り元号が続く方が政府としても都合が良かったわけです。
一世一元制度は元号と皇室崇拝が広まるきっかけになりました。

こうした点を踏まえ、
もし生前退位を皇室典範により恒久的に認めることになれば、
権威の低下は避けられません。
今の皇室では考えられないかもしれませんが、
天皇家の2600年以上に渡る長い歴史の中では
天皇の地位をめぐり争いも起きたわけです。
譲位した後も上皇として権威を振るった事例もあり、
こうした事が将来再び起こるかもしれません。

荒唐無稽に思われるかもしれませんが、
2・26事件の際、青年将校たちは秩父宮を担ぐ計画でしたし、
終戦の日の宮城事件三笠宮を担ごうとした事実があります。
こうした事を防げたのは天皇の権威がしっかり機能していたからです。
2.26事件では昭和天皇が
首謀者を反乱軍と明言して自ら近衛兵を率いて鎮圧すると発言し、
反乱軍に同情的だった秩父宮を叱責したとされます。
また終戦のご聖断と玉音放送を決めて、
宮城事件においては自らが兵の前で諭そうと発言したと言われています。
不敬罪が消滅した今となっては
マスコミはこれまでスキャンダラスに
「雅子様人格否定発言」「眞子様結婚問題」を盛んに報じ、
女性・女系天皇問題を喚起して
「愛子様」「悠仁様」将来の天皇の地位を巡り
浩宮家派と秋篠宮家派の対立を煽るかのような報道をしてきました。
皇室が再び政争の具となるのは一国民としても避けたいのです。

早速左派は
護憲派の天皇が憲法改正を進める安倍内閣に釘を刺したと言っていますね。
生前退位と憲法改正には何の関係もないので意味のわからない戯言ですし、
日本国憲法下で象徴天皇として数々の政治的制限がかけられている以上、
天皇陛下も安倍総理も発言が慎重にならざるを得ません。
こうした発言をいちいち憶測で先導するのはあまり好ましいとは思いません。

また元号法では皇位継承によって改元されるため、
生前退位によって短期で改元されれば社会的混乱を招きかねません。
実際に皇室典範が改められたとしても
条件が課せられ、簡単に譲位されることはないとは思いますが、
戦後使われなくなった皇紀のように元号そのものが将来的に使われなくなり、
日本でありながらイエス・キリストを紀元とする
西暦しか用いられなくなるかもしれません。

皇位継承と言えば既に女性宮家女系天皇容認論があります。
戦後の皇籍離脱によって男系男子で続いた皇統に危機が訪れたのが原因です。
左派はジェンダーの観点から女性宮家や女系天皇容認派が多く、
中には共産党を中心に天皇不要論を持ち共和制を訴える人もいます。

そもそもの問題は天皇家の家訓であった皇室典範を
戦後に憲法と同様に法律としてGHQの意向によって制定されたことにあります。
旧皇室典範では制定や改正について国民や国会は関与できませんでしたが、
アメリカ占領下で制定された現行の皇室典範では
神道儀礼に関する条文が削除され、国会での改正が可能になりました。
戦後の皇室典範が将来的な天皇廃止を目論んでいたのは明らかです。

国民が皇室についてあれこれ議論をすることは本来憚られるものですが、
現在の象徴天皇という陛下のお立場を考えた時、
やはり国民がその意志を汲み取って
皇室をお守りしなければならないと思います。

生前退位については今上陛下のみならず、
他の皇族の御意向を考慮すべきですし、国会は慎重な議論が求められます。
個人的には旧皇族の皇族復帰
部分的に旧皇室典範に戻したほうが良いと考えますが、
長きに渡る皇統が今の天皇、皇室の権威に繋がっていることを考えた時、
やはり天皇という存在が
日本という国家の根幹、中枢にあるという事を理解した上で、
皇室のあるべき姿を冷静に考える必要があるでしょう。

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