アメリカ黒人の歴史③奴隷解放~世界大戦。

奴隷制度廃止後、アメリカ黒人(解放奴隷)の自由の国として
1847年にアメリカの支援によって西アフリカにリベリアが建国されました。

Flag of Liberia
星条旗にそっくりなリベリア国旗

奴隷船でアメリカ大陸にやってきた黒人は
祖国再建の希望を抱いて故郷のアフリカ大陸に戻ります。
彼らは「アメリコ・ライベリアン」と呼ばれ
自らをアメリカで文明化されたとして、
大多数の原住民を見下し、リベリアの政治・経済を支配したため
原住民との紛争になり、祖国再建は苦難の道を歩みます。
差別から逃れたアメリカ黒人はリベリアでは逆に差別を行う側になりました。

一方、アメリカに残った黒人は奴隷解放以降も長らく差別と戦いました。
北部では比較的差別が少なかったのですが、南部では依然差別が根強く
黒人の一般公共施設の利用を禁止制限したジム・クロウ法が制定されました。
この法律は1876年から1964年に渡り運用され
「白人」と「有色人種」を分ける人種隔離政策が公然と行われていました。

"Colored" drinking fountain from mid-20th century with african-american drinking
有色人種専用の水飲み場

元奴隷商人南軍の退役軍人であった
ネイサン・ベッドフォード・フォレストによって結成された
白人至上主義の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)
黒人に対する嫌がらせやリンチなど過激な有色人種の排斥運動を繰り広げました。
第29代合衆国大統領ウォレン・ハーディングはKKKと関係があったとされ、
日本への原爆投下を指示した
第33代合衆国大統領ハリー・トルーマンも一時期所属するなど
歴史的に民主党と深い関係があるとされています。

Klan-in-gainesville.jpg
KKK
per above, パブリック・ドメイン, リンクによる

黒人は当時軍隊に入隊することも許されませんでした。
黒人に武器を与えることを白人は恐れたのです。
銃社会であるアメリカの源流を見ると
西部開拓時代における外敵の異民族インディアン
内なる異民族黒人に対する白人の自主防衛の側面が考えられます。
これに対し北部で誕生した全米ライフル協会(NRA)
すべての人々が自由に銃を手にして自主防衛する事を主張しました。
NRAは南北戦争時代、北軍の将軍であった
第18代合衆国大統領ユリシーズ・グラントが8代会長に就任し
第41代合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュ(パパブッシュ)など
多数の共和党出身政治家が会員となっており、
共和党最大の支持母体とされています。

世界大戦では人員不足から黒人も軍隊に動員されますが、
白人とは隔離された黒人部隊が主流で
実際に戦闘に参加したのは5%に留まり、大多数は後方支援などに回されました。

第二次世界大戦では人種平等提案を行い
白人と戦う日本にシンパシーを感じたアメリカ黒人も多く、
マルコムXもその一人です。
アメリカは総力戦のために黒人にもアメリカ人の一員として協力するよう
マスコミなどでキャンペーンが行われますが、
それを冷ややかに見ていた黒人も多く、
対日戦を人種戦争と捉える見方をすれば
アメリカ黒人は信用できない自らの国家のために
人種平等を謳う同じ有色人種と戦わなければならない
という
かなり微妙な立場に置かれたのです。

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