アメリカ合衆国の行方。

Declaration of Independence (1819), by John Trumbull
ジョン・トランブル「アメリカ独立宣言」(1795年)

アメリカ合衆国は18世紀に
北米大陸東部沿岸のイギリスの植民地政府
アメリカ独立戦争イギリスに勝利したことにより生まれた国家
当時としては珍しい民主主義国家でした。
初代大統領にメイソンのジョージ・ワシントンが就いたように
この独立戦争でフリーメイソンは植民地政府を支援しました。
その後、メイソンはフランスでフランス革命を起こし
ナポレオン戦争へと進んでいきます。

アメリカは今でこそヨーロッパと友好関係を築いていますが
初期のアメリカは米英戦争など
アメリカ大陸に植民地を経営していたヨーロッパと戦いました。
アメリカはヨーロッパからの移民を積極的に受け入れる一方で
原住民のインディアンを殺戮しながら西部開拓を進め、
白人の生存圏を広げて行きました。
南北戦争において北軍が勝利し
リンカーン大統領によって奴隷解放宣言がされるも
KKKなどのキリスト教原理主義銃産業(軍需産業)と結びつき
黒人やヒスパニックなどの人種差別は今現在も根強く残っています。

Flag of the United States
星条旗

アメリカの国旗(星条旗)の13本の赤のライン
独立当初の13州を表すとおり、独立時のアメリカは東海岸部分だけでした。
アメリカは開拓されてない西部をフロンティアと呼び
西部開拓をマニフェスト・デスティニー(神から与えられた使命)として
原住民の迫害を正当化し、国旗の星の数を増やし続けます。

US historical flags-United States of America
歴代星条旗(出典:Zimand)

フロンティア消滅後もその勢いは止まらずに向かいます。
アラスカをロシアから購入し、ハワイ王国を併合。
当時の植民地大国だったスペインと米西戦争を戦い
フィリピングアムを手に入れ、アメリカ帝国主義は太平洋をまたぎます。
第一次世界大戦で没落したヨーロッパに代わって台頭し
アメリカは残されたフロンティア中国大陸を狙いますが、
その前に立ちはだかった日本と衝突。
第二次世界大戦では太平洋を挟んで戦います。
二度の世界大戦を勝ち抜いたアメリカは名実ともに超大国に君臨しました。

Raising the Flag on Iwo Jima, larger - edit1
ピューリッツァー賞を受賞したジョー・ローゼンタール撮影「硫黄島の星条旗」
USMC War Memorial Night
アーリントン墓地にある上記写真を基にした合衆国海兵隊戦争記念碑

様々なモニュメントが残されているように
第二次世界大戦は現在のアメリカを作り上げた起点であり、
肯定的な評価がされています。
しかし目指した中国は共産化、共産主義の波が押し寄せ、
米ソ2大国による冷戦が始まります。
ヨーロッパでは分断ドイツを挟んで対立し、
アジアでは朝鮮戦争、ベトナム戦争を戦います。
ベトナム戦争では苦戦を強いられ国内の反発も大きく
第二次大戦を「よい戦争」と呼び、
ベトナム戦争は「わるい戦争」と呼ばれました。
それでも冷戦を戦い抜いたアメリカは
ソ連崩壊後世界唯一の超大国としてパクスアメリカーナを実現し
湾岸戦争、アフガン紛争、イラク戦争など
中東紛争に積極的に干渉してきました。

アメリカの世界支配は西へ進み続けついに一周しようとする現在、
ロシア中国の勢いに押され、
アメリカの世界支配は崩壊の危機に瀕しています。
没落の発端となったのは
第二次世界恐慌とも呼ばれた世界金融危機 (2007年)です。
2010年~2012年には中東で民主化運動が生まれ「アラブの春」が起こります。
エジプトでは親米の独裁政権も倒されます。
アメリカはブッシュ政権のイラク戦争の反省から
オバマ政権では比較的温和な政策を進め、イラクの全面撤退を始めました。

アメリカが中東から撤退する動機の一つが
2013年に北米で起こったシェール革命でしょう。
今まで困難であったシェール層からの石油や
天然ガス(シェールガス)の抽出が可能となりました。
つまりアメリカは中東の石油に頼らずとも
自国でエネルギーを生産するどころか
最大の資源輸出国になる可能性があるのです。

しかし、中東では力の空白によってISILが生まれます。
ISILを消滅させるためアメリカに代わって頭角を現したのがロシアです。
世界一の天然ガス埋蔵量を誇るロシアはシェール革命によって
欧州向けのガス輸出に関してマイナスの影響を受けます。
こういった中、アメリカ弱体化の隙を狙って
ウクライナ内戦に干渉しクリミアを併合。
天然ガスをチラつかせ、ヨーロッパで広がるEU拡大に楔を打ち、
シリア内戦など中東でも影響力を強めています。

かつてアメリカの中心的な外交政策で「モンロー主義」がありました。
第5代アメリカ合衆国大統領ジェームズ・モンローが、
1823年に議会で発表したもので、アメリカがヨーロッパ諸国に対して、
アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱した
「孤立主義」の政策です。
このため両大戦の初期は中立を守り、国際連盟にも加盟しませんでした。

これからアメリカは
モンロー主義時代に戻ると予想します。
アメリカが中東に影響力を行使しなければ、
ユダヤ資本はアメリカを裏切ることになるでしょう。
アメリカが資源大国になるということは
アメリカが食う側から食われる側に立つということです。
日本でも日本近海に資源があることが判明してから尖閣問題は起こりました。

オバマ大統領は「アメリカは世界の警察ではない」と発言しました。
ロシアはヨーロッパに揺さぶりをかけNATO分裂を狙い
中国はアメリカを取り込み日米同盟の破壊を目論んでいます。

テン年代アメリカ没落の時代と呼ばれることでしょう。
ロシア、中国は明らかに次のリーダーを狙っています。
この中で長らくアメリカと同盟関係にあるNATOのEU(ヨーロッパ連合)や
日本がどのような立場を取るのかが
次の世界構造の形成において非常に重要になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました