心神の目的。

この前の記事では
X-2の歴史的意義を説明しましたが、
そもそもなぜ今、日本はステルス機を持とうとしているのか?
という素朴な疑問について答えてみます。

X-2は第5世代ジェット戦闘機に分類され、
レーダーに写りにくいステルス性能が特徴です。
実用化されているのはアメリカ空軍のF-22Aラプターのみですが、
ロシアのPAK FAや中国のJ-20など周辺国も開発中であり、
日本も第5世代戦闘機を保有する必然性が出てきました。

F-22 Raptor - 100702-F-4815G-217
アメリカのF-22ラプター(出典:アメリカ空軍)

Sukhoi T-50 in 2011 (4)
ロシアのT-50PAK FA(出典:Dmitry Zherdin)

J-20 at Airshow China 2016
中国のJ-20威龍(出典:Alert5)

日本で今運用しているF-15イーグル
世界最強と言われた第4世代ジェット戦闘機ですが、
それでもF-22が相手だと歯が立ちません。
F-22ラプター(翼竜)が1機でF-15イーグル(鷹)4機倒した実績があり、
現代戦では先に見つけたほうが勝ちです。
つまりレーダーに探知されにくいステルス機は圧倒的に優位なのです。

Lt. Col. James Hecker delivers the first operational F-A-22 Raptor to Langley Air Force Base, VA
並んで飛ぶ新旧の最強戦闘機

尖閣など東シナ海における侵略行動を続ける中国
一方的にステルス機を持つ事は安全保障上の大きな脅威となります。
日本は空自のF-4ファントムの後継機として
F-22の導入を目指しましたがアメリカ議会の反発により、
米英などで国際共同開発された
廉価版F-22とも言われるF-35ライトニングⅡの導入を決めました。
これは2017年度中に導入される予定です。

このようにステルス機は世界のパワーバランスを変える超兵器なので
例え同盟国であろうと、簡単には売り渡してはくれないのです。

(出典:防衛省)

今回のX-2はF-2の後継機となるF-3開発のためのあくまで実証機であり、
これがそのまま戦闘機になるわけではありません。
F-3は2030年代の導入予定であり
第5世代の次の世代(カウンター・ステルス)の機体になると思われます。
それまではF-35が第5世代戦闘機として日本を守る事になりますが、
早速中国のハッカーによりアメリカ国防省から
設計情報や性能、電気系統、レーダーなどのデータなどが盗まれたため
J-31など開発中の中国戦闘機に対しての優位性が疑われています。

Shenyang J-31 (F60) at the 2014 Zhuhai Air Show
F-35の技術流用が疑われるJ-31(出典:wc)

第二次安倍内閣は武器輸出三原則を抜本的に見直し
国産重視から日米豪の潜水艦開発など国際共同開発推進に変わりましたが、
このような技術流出を考えると国際共同開発はリスクが高い気もします。
日本はスパイ大国でザルだと言われてきましたが、
安倍内閣では特定秘密保護法案などの法整備を進めてきました。

そして日本の航空機開発には
常に日米関係という政治的影響を受け続けていました。
F-2開発はまさに日米貿易摩擦の結果、国産開発を断念させられました。
原因の一部にはエンジンを独自開発できなかった
日本の技術的限界もありましたが、
この点、X-2はエンジンの国産化に成功しているし、
トランプ候補の発言を代表するようにアメリカが今後孤立主義に進めば
今までのような強力な干渉を避けられるかもしれません。
純国産戦闘機の開発は戦後最大のチャンスと言えるでしょう。

日本は軍事転用可能な化学製品などで既に高い技術を持っており
エンジンが開発できなかった時期でさえ、エンジン以外は日本製で作られ
ライセンス生産の場合でもブラックボックスとして
日本に技術提供されなかった部分は日本独自で開発していたのです。
また炭素繊維強化複合材など日本の得意分野もあります。
武器輸出が緩和され日本製戦闘機が輸出され
軍需産業に本格復帰したなら経済にも明るいでしょう。

いずれにせよ日本が純国産開発能力を保有することで
国産開発にしても共同開発にしても
外国産のライセンス生産であったとしても交渉上優位に立てる事は
F-2国産開発断念やF-22導入の失敗を見れば明白です。

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