ウクライナ政府のSNS問題。

こんばんは。
ウクライナ侵攻から二ヶ月が経ちましたが、未だに終わる気配がありません。
ウクライナは徹底抗戦の構えであり、西側が積極的な武器支援を行う中、
ロシアは第三国が脅威を与えようとした場合は核使用を辞さないと強気です。
緊張状態が続くヨーロッパですが、
日本国内ではウクライナ政府からの情報発信で物議を醸すニュースが続き、
ウクライナの評価を落としている所があります。

スポンサーリンク

昭和天皇の動画

ウクライナは情報戦として
TwitterなどのSNSで積極的に政治宣伝を行っていますが、
まずは24日にウクライナ政府がTwitterで発表した動画で
「現代ロシアのイデオロギー」と記した英語の字幕から始まり、
プーチン大統領並びにロシアの差別主義を批判し、
第二次世界大戦のヒトラーに準える目的
「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」と記しましたが、
問題はヒトラー、ムソリーニに並んで昭和天皇の顔写真を並べた事で、
昭和天皇をヒトラーやムソリーニと同列に扱うのは不適切
日本のネットユーザーから批判が殺到、日本政府も正式に抗議し
ウクライナ政府は動画を削除し謝罪する騒動になりました。

当時の枢軸国の国家元首を並べただけなら何の間違いはないのですが、
そもそも日本はファシズムでもナチズムでも無かったし、
その二人と並べるなら東條英機だろという意見もあります。
ヨーロッパで独裁体制を布いたヒトラーとムソリーニは
追い込まれて自殺したり、つるし上げられ処刑されました。
昭和天皇は天皇大権を有しながら実質的には政治的権力を持たないとされ、
戦争責任を回避して、東條英機ら当時の閣僚級が
日本帝国主義の責任を負ってスケープゴートとして処刑台に立ったのです。
ただウクライナおよび世界的な歴史観から言えば
そんな日本の国内事情など知ったこっちゃないという感じでしょうね…
日本は天皇を頂点とした狂信主義者と言われたし、
天皇制ファシズムなんて造語が作られたりもしました。
戦前のプロパガンダそのまま。日独伊三国同盟の罪は重い…

ゼレンスキー大統領のアメリカ議会での「真珠湾発言」と共に
「所詮ウクライナは東側だ」だとウクライナを見限るような発言も見られますが、
日本人は少し冷静になった方がいいと思います。
連合国が勝ったこの世界では枢軸国は悪が国際常識なのです。
日本は負けたけど結果的に生き残った稀有な国なので
こうした歴史観に煮えたぎらない想いを持つ人がいる事も理解しますが、
分かった上で大人の対応をする方が良いでしょう。

修正版では東條英機に置き換えられることもなく、
昭和天皇の写真だけが無くなり、
日本がファッショから除外された事を考えると
日本の先の大戦における特殊な立場に対して
国際的にアピールする転機にはなるかもしれませんが、
ウクライナが謝罪までしているのに
かの国のように日本がこの問題にしつこくこだわるなら
日本は未だに戦争責任を認めない国だとして
「敵国条項」も残され続ける事になるでしょう。

修正版の動画↓

支援国リスト

次は25日に公開された31カ国の支援国リストの動画で、
ウクライナ政府が謝意を表した動画内にて
列挙した国に「日本」が含まれなかった問題です。
1990年のイラクのクウェート侵攻の際は自衛隊を派遣せず金だけ出して批判され、
クウェート政府の感謝決議から外されたのが日本の苦い思い出であり、
2003年のイラク戦争では時限法で自衛隊を派遣し復興支援を行い、
安倍政権では恒久法となる平和安全法制を進め、
今回のウクライナ侵攻では
積極的に自衛隊機を現地に派遣して支援物資を輸送しているにも拘らず、
支援国リストから外されたことに落胆の声が大きいです。

しかし、結論から言うと元々、
ウクライナ国防省が軍事支援を行った国に対して謝意を表した動画であり、
そのままウクライナ外務省がツイートしたというのが実際のところで
日本だけでなく武器供与を拒否した韓国やイスラエルなどもリストには載っていません。
日本は殺傷兵器は送っていませんが、
防弾チョッキヘルメットなどの軍事装備品は提供しており、
これを軍事支援と認めるのか否かという問題や、
結局のところウクライナが最も欲しがっているのが、
食料や衣料品では無く、殺傷兵器だという評価が下されたりしていますが、
むしろロシアが第3国の介入について核攻撃を示唆する中で
リストに載ってない方が安全とさえいえるかもしれません。
※27日、日本や韓国など7カ国が追加された新しい動画が公開されたようです。

ヘッドラインに注意

たしかに数々の投稿でウクライナ政府に見落としがあったのは事実でしょう。
SNSではこうしたリスクが発生する事も理解しなければいけません。
しかし、マスコミの刺激的なニュースのヘッドラインにも注意が必要です。
武器供与をした国だと分かっていればこんなに目くじらを立てる必要はなかったし、
昭和天皇の動画と続いたことからウクライナに対する不信感を煽っています。

他方でロシアが知床の観光船の沈没事故の調査に協力するというニュースもあり、
このタイミングでロシアへの見方に変化が見られようとしていますが、
一連の話題によってウクライナからロシアに鞍替えするという様な
短絡的な決断はするべきではありません。
戦時で起きたことと平時で起きたことを同列に扱うことはできません。
もちろん外交には多面的な見方が必要だし、
日本はヨーロッパとは違うので日本独自に判断すべき問題はありますが、
大筋を見誤るのは非常に危険です。

本日、GW初日は昭和天皇の誕生日である「昭和の日」ですが、
この日、ウクライナ政府の公式Twitterでは
お祝いの言葉と共にウクライナのアーティストによる
宮崎駿の「風の谷のナウシカ」のイラストが掲載されています。
ここまでさせてしまうのは申し訳ないぐらいの気持ちにされてしまいますが、
それほどに日本の民意を気にしているのだと思います。

「風の谷のナウシカ」とウクライナの関係を思う時、
このイラストの重みが変わります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました