没落する超大国と新帝国主義。

アメリカ国内でコロナの猛威が続く中、
トランプ政権は発祥源である中国への批判を強めていますが、
ロックダウンで厳しい生活を強いられている
アメリカ国民のストレスは蓄積する一方でした。

そして5月25日にミネアポリスで起こった
白人警官による黒人男性殺害事件(ジョージ・フロイドの死)が引き金となり
国民の不満はついに爆発しました。

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分断されるアメリカ

コロナ流行初期の黄色人種差別も含め、
アメリカ黒人の歴史』のシリーズ記事で触れてきた通り、
「人種のるつぼ」であるアメリカにおける人種問題は根強いものがあります。
しかし各地で続く抗議運動の中には
多くの若者がロックダウン生活から来るストレスが要因なのか
思想なき暴力に加担している状況があります。
今回の事件とは全く無関係の商店を破壊し略奪行為を働き街を焼くという
完全なる無秩序が発生しており、この参加者は黒人だけに及びません。

殺害された黒人男性の弟は追悼集会で破壊行為を非難し、
平和的な手段に取る事を訴えましたが、暴動はとどまることを知りません。
これは不幸なことに全米一般市民の黒人差別を助長する状況を生んでいます。
FBIはこの暴動にANTIFA(アンティファ)と呼ばれる
反ファシストの左派団体が関与していると発表し、
トランプ政権はANTIFAをテロ団体に指定しました。
またサンタモニカの暴動では中国人留学生3人が
中国領事館の指示でANTIFAと共に暴動を扇動したとして逮捕されました。
トランプ政権誕生時から指摘していた通り、
まさにアメリカは60年代のような混沌とした内乱状態となっています。

Antifalogo
ANTIFAの旗

日本社会の強固さ

同時期に日本でもクルド人男性が渋谷署の警官によって不当な暴行を受けたとして
ANTIFAが運動を起こしていますが、幸い大きな暴動には発展していません。
そもそも日本社会は「日本人」と「外人」を区別することはあっても
人種的概念が希薄で、差別問題が国民運動として盛り上がったことは過去一度もありません
中東地域で同様の問題が起きたとすれば話は別でしょうが、
日本におけるクルド人コミュニティも決して大きなものではありませんし、
日本クルド文化協会も「デモ運動に正当性はない」と正式にコメントしています。
こうした比較によっても明らかなのは日本社会の強固さです。

移民国家と単一民族国家という決定的な違いもありますが、
日本におけるデモは参加者がそもそも小規模であり、
政府を脅かすほどの影響力を持つことは稀です。
国民投票で選ばれる大統領制を取らない上にデモにも力がないというのは
国民が政府に対抗する手段が少ないという意味でもあり、
こうした状況に賛否あることは事実ですが、
海外勢力によるテロや内側からの破壊工作に対しては大きな抑止力となっています。
一連のコロナの対応を見ても伝統的に日本人にとってもっとも重要な価値観とは
正義や自由よりも社会の安定なのです。

日本政府のコロナ対応は闇雲に検査を行うのではなく、
発生経路を特定し、ピンポイントで隔離する対応を取りつつ
大規模なロックダウンを行わずに国民に自粛を要請しつつ
経済への影響を最小限にとどめる形を取りました。
この対応は国内外から批判されましたが、
ふたを開けてみると主要国では最も封じ込めに成功した国となりました。
これは政府のコロナ対策のみならず、
有史以来から熟成された日本人の国民性があってこその成果であると言えます。

孤軍奮闘の香港

民主主義が最良の政治体制であるとして
世界経済をけん引してきた欧米が移民とコロナによって没落する中、
一党独裁の共産主義国家である中国は虎視眈々と世界の覇権を狙っています。
世界は第二次世界大戦後の国連を中心とする平和共存時代から
コロナショックを経て新帝国主義時代へと移ろうとしています。

中国はコロナ後初となる5月の全人代にて
香港に対して国家安全法導入を決定、ついに一国二制度の崩壊が現実になろうとしています。
アメリカやイギリスをはじめとするアングロサクソン系のファイブアイズは
英中共同宣言に反する行為であるとして
共同で中国当局に対する非難声明を発表しましたが、
民主主義を標榜するアメリカ自身が国内のデモに苦しむ中、
中国共産党は香港デモに対する武力行使を厭わなくなったでしょう。
1997年返還当初は発展途上の中国経済をけん引する存在として
自由主義社会の香港にも一定の価値がありましたが、
今や本土の深センが香港の経済規模を凌駕しており、
香港をこれまで同様に特別扱いする必要が無くなったのです。
Hong Kong 20190825 Tsuen Wan March 荃葵青遊行反送中遊行 (48635664402)
(出展:Studio Incendo)

世界1位と2位の経済大国、アメリカと中国は
GAFABATHなど世界をけん引するIT企業を生み出し、米中貿易戦争を繰り広げました。
これに対して3位にランクダウンした日本は
かつての栄光は過去のもので没落する国家であるとして自虐的な考えが支配的でしたが、
米中二国で相次ぐ内乱を見るに日本は今回のコロナショックにおいても
致命傷を避け生き延びる事に成功するだろうと思います。

歴史的にもっともずる賢いイギリスがこのタイミングでEUを脱退し、
日本のTTPに関心を示し、
日英同盟復活に前のめりであるのが何よりの証拠です。

イギリスはヨーロッパ統合の理想を諦めて
かつての大英帝国の復活の野望に舵を切っています。
太平洋地域にはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど
イギリス連邦(コモンウェルス)が存在します。
またイギリスと日本は共に香港の旧宗主国であり、
香港問題において重要な立ち位置にいます。
香港市民は中国本土への帰属意識が弱く、
香港デモでユニオンジャックが掲げられたように、
英領復帰を望む声も少なからず存在します。
また大学入試では日本の中国統治を評価するかのような出題が登場し、
香港市民の対日意識にも変化が見られます。

ロシアがクリミアを併合したように
中国共産党の支配に対して香港市民を救うために
域内国の自由主義大国である日本の援護を借りて
香港独立という名の事実上の再植民地化を進めるかもしれません。
この動きは日本の植民地だった台湾にも影響を与えることになるでしょう。

Flag of Hong Kong (1959–1997)
英領時代の香港国旗

中国侵略の報復という名目を掲げてアジア太平洋地域に影響力を広げる中共に対して
米英アングロサクソン同盟は中国再分割を狙い、その輪に日本を加えようとしています。
中華帝国と大英帝国による新帝国主義時代のグレートゲーム
まさに日英同盟が結ばれた日露戦争直前の世界情勢と似ています。

コロナ前、日本は米英で進む保護主義に警鐘を鳴らし、
TPPや日欧EPAなど自由経済をけん引し、
2020年東京オリンピックを目指して移民やインバウントを進めてきましたが、
コロナ後、これらの政策の見直しを迫られ、国内回帰に傾くでしょう。
東京オリンピックを起爆剤として高度経済成長期の再現を待ち望んでいた人にとって
コロナ禍によってオリンピック開催が危ぶまれる状況になり、
悲観的になるかもしれませんが、迅速にマインドを切り替える必要があります。
世界中が騒乱の渦に囲まれる中、抜群の安定感を維持する日本の株は上がる一方なのです。

我々は日本の強さを自覚する必要があります。
令和時代に日本が再び立ち上がり、
中国の魔の手からアメリカに代わってアジアを守ることができるれるのか?
今、日本は重大な世界史的局面に立たされているのです!

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