新年早々アメリカとイランの関係が急速に緊迫化しています。
昨年、日本が仲介に乗り出した際にも
日本国籍のタンカーが何者から攻撃を受けるなど
イラン周辺がきな臭くなっていましたが、
今回、トランプ大統領の命令で
イランで英雄視されているスレイマニ司令官が
イラクの首都バクダットでドローン攻撃により殺害されました。
これに対しイランも報復を宣言。
アメリカとイランの関係はもはや修復不可能でしょう。
暗殺されたスレイマニ司令官 (出典:sayyed shahab-o- din vajedi) |
この衝撃的なニュースにより、
世界中で「第三次世界大戦(WW3)になるのではないか」と懸念されています。
世界大戦にまで進むとは現段階では断言できませんが、
過去二度の世界大戦も当初はここまで大きくなるとは思われませんでした。
イランに呼応して北朝鮮が何かしら行動すればあるいは…
いずれにしてもロシアと中国の出方次第でしょう。
こうした国際的な危機感がある一方で
日本国内では日産の前会長カルロス・ゴーンの国外逃亡ばかり取り上げられ、
イラン問題は中東の遠い国の話と関心が薄いですが、
この問題で日本はもはや傍観者ではいられません。
昨年6月に安倍総理が仲介のためにイランを訪問し
ロウハニ大統領やハメネイ師と会談、
そして12月にはロウハニ大統領が初来日し
再び安倍総理と会談を行いました。
こうしたイランの姿勢を見ると
日本しか頼れる国がないという状況が見えてきます。
一方で日本はアラビア海への海上自衛隊の派遣を控えています。
日本はアメリカから有志連合に参加するように要請を受けましたが、
有志連合には参加せず独自に自衛艦を派遣する事になりました。
この決定自体はアメリカ、イランどちらにも与しない
中立的な立場を貫くためにも正しい判断だと言えるでしょう。
ロウハニ大統領来日の際にも自衛隊派遣を説明し了承を得ています。
たしかに昨年のタンカー攻撃の真相が不明の中、
派遣した自衛隊の艦艇が再び攻撃を受ければ
謀略によって日本も戦争に巻き込まれていく可能性は高まります。
そうなれば国内では海外派遣に反対する世論が巻き起こり、
外交的にも中立の立場を維持できなくなるでしょう。
しかし、高度な技術を有する海上自衛隊に対して
相手側も迂闊に手を出すとは考えにくい。
そして大前提として自国のタンカーは自国で守るべきです。
有志連合に参加しない以上、
米国など他国にタンカー護衛を任せる訳にはいきません。
エネルギー安全保障の観点からも
3.11以降反原発に傾く日本にとって中東の石油は生命線なので
中東近海が不安定になりタンカー攻撃が常態化すれば
オイルショックからは逃れられません。
安倍総理は昨年
ロウハニ大統領と異例ともいえる二回の会談に挑みましたが、
核合意を離脱して一方的に緊張を高めているのは
アメリカであってイランではありません。
なのでいくら安倍総理がイラン側と対話したところで、
アメリカ側に働き掛けなければこの緊張関係は続きます。
しかし日本単独でアメリカを止められるほどの力があるか
と言われれば正直難しいでしょう。
唯一の救いはこうした日本のイラン外交を
アメリカが批判せず静観しているという事です。
戦争が起こること自体が日本の敗北なのです。
決定的な事態に陥るまでになんとか
解決の糸口を見つけてほしいと思います。
日本にしかできない平和外交が実を結ぶ事を祈ります。
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