露朝首脳会談、最後に残された日本。

4月25日、ロシア極東ウラジオストクで
金正恩委員長とプーチン大統領が初めて会談しました。
北朝鮮問題でずっと蚊帳の外に置かれていたロシアがついに動き出しました。
これで周辺国で北朝鮮と首脳会談を行っていないのは日本のみになりました。

Kim Jong-un and Vladimir Putin (2019-04-25) 06
(出典:ロシア連邦大統領府)

北朝鮮が中国の援護を頼ったアメリカとの交渉失敗を受けて
仲立ちをしていた韓国も当てにならないし、
日本とは絶対に交渉したくないということで
残る6者協議メンバーのロシアに泣きついた形です。
中国に加えロシアの後ろ盾を得て再びアメリカとの交渉に挑もうという
仕切り直し的な印象を受けます。
一方のロシアも米朝交渉を静観していましたが、
暗礁に乗り上げたタイミングで一気に極東における影響力を強める魂胆です。

ロシアにとって北朝鮮の経済的価値というのはさほど大きくはないです。
もちろん北朝鮮とは僅かとはいえ国境を接しているので
アメリカが朝鮮半島に干渉することは警戒すべきであり、
金正恩体制を維持したいとは考えているでしょうが、
長大な国境を有し朝鮮戦争にも参加している中国以上に
国連制裁決議を覆してまで北朝鮮に味方する義理はありません
それよりも北朝鮮とのパイプを維持することでアメリカをけん制し、
何よりも北朝鮮との拉致問題交渉を望んでおり、
極東開発に前のめりな日本を釣って日露交渉を有利に進めたいと考えるでしょう。

このままロシアに北朝鮮を抑えられると
日朝会談や北方領土交渉の進展が鈍化する可能性もありましたが、
非核化協議への協力は取り付けたものの
具体的な経済協力の合意もなく不発に終わったという印象です。

しかしこれで安堵している場合ではありません。
金正恩がロシアに出向いてプーチンと会談をする一方で
安倍総理はアメリカに出向いてトランプ大統領と会談し、
北朝鮮問題を協議して拉致問題の協力を確認しましたが、
北朝鮮は米朝会談決裂後、早々と核ミサイル開発を再開させていますし
この間にもアメリカをも標的とするICBMの開発を急いでいます。
それを許すほどアメリカも優しくはありません。
現状で日米主導の経済制裁が効果を発揮していますが、
今後の北朝鮮の出方次第では拉致被害者救出のために
アメリカを差し置いてでも単独交渉する必要が出てくるかもしれません。

今年は5月に令和時代を迎え、6月には大阪で日本初のG20が開催されます。
そして来年には東京オリンピックが控えています。
世界中の注目が日本に集まるこの時が本当に最後のチャンスです。
中国との関係改善も進みG20に合わせて習近平国家主席も来日する予定ですが、
日米連携による正攻法だけではなく、
後ろ盾の中国やロシアから崩していく奇策も考えねばならないかもしれません。
しかし、拉致問題と核問題を切り離すのは
日米離反を目論む周辺国に付け込まれる可能性もあるので慎重さも求められます。
時間はあまり残されていません。

韓国は見事に孤立しましたね…まぁ自業自得ですが。

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