衆院選2017③。

今更ながら衆院選の結果を総括したいと思います。
大方の予想通り自民党の圧勝となりましたが、
立憲民主党の登場によって
反自民の受け皿を取られた希望の党は失速し、
政権奪還どころか野党第一党になることもできずに終わってしまいました。
これに引きずられる形で選挙協力を行った
日本維新の会も議席を減らす形となりました。

こうした結果を見ると
やはり日本は保守系野党が育ちにくく、
右と左の二大政党制に憧れというか
55年体制への未練があるのだなという印象です。
まぁ日本には一定数のリベラル層がいるので
なんとなく想像できたところですが、
注目すべきは連立与党の公明党や
立憲民主と野党連合を組んでいる共産党も議席を減らしているという事です。

個人的に今回の選挙は自民圧勝よりも立憲民主の躍進に注目します。
ズタボロに書きましたが、やはり組織票は固いですね…
リベラル派は枝野代表が男を上げたとか筋を通したとか言ってますが、
そんな立派なもんじゃないと思います…
もともと希望に合流する気まんまんでしたから(;^ω^)
都政では小池旋風を後押ししたマスコミも
国政では批判を繰り返し、立憲民主を後押しした事もありますが、
立憲民主は悪名高い菅内閣の残党である事を忘れてはいけません。
公明党はこの点、早くから立憲民主を批判していましたが
立憲民主を攻撃する役目は本来「反自民の受け皿」で競合する
希望の党や日本維新の会などの保守系野党であるべきでした。
しかし、小池代表は政権奪還を狙うあまり反安倍ばかりで、
立憲民主への批判が徹底されておらず、
民進党の希望への合流を逆手に取られて、立憲民主の起爆剤に利用されました。

希望の党は200人を超える候補者を擁立し、
当初は政権選択選挙として勇ましく政権奪還を謳いましたが、
その望みが薄いと知ると徐々にトーンダウンしていきました。
小池代表は競争相手である自民党を攻撃目標としてしまい
本来の攻撃目標である足元の敵(立憲民主)を競争相手にするなど
完全に戦略を誤りました。
一方、立憲民主は前原代表と小池代表を裏切り者にする事で
党の消滅という危機から見事に立ち直り、
結果的に公示前を上回る議席を獲得しました。

小池都知事は敗戦の弁で「リベラルを排除する」という言葉を悔み
、謝罪しましたが、
これは民進党リベラル派への言葉であり、国民に向けられた言葉ではありません。
たしかに民進党の希望通りに丸ごと飲み込めば
立憲民主も存在しなかったわけで野党第一党になることができた
でしょう。
その実はさておき、選別自体は敗因とは思えません。
むしろ丸ごと飲み込めば、
いくら「寛容」と言えど「保守」政党に疑念が付きかねず、
それこそ巨大化した民進党と批判されるだけです。

最大の敗因は党代表の小池都知事が国政出馬せず
合流を決めた民進党の前原代表も希望に参加せず無所属で出馬するなど
リスク回避に走ったところにあります。
小池都知事が国政に出馬し大敗したなら
敗戦の責任を追及され、都知事さえもやめなければならなかったかもしれません。
前原代表も当然後戻りできません。
民進からくら替えした候補者ばかりでなく、
政党の顔である人たちさえも自身の保身ばかりでは
政党として国民の信任を得ることはできません。

立憲民主が戦略上成功したのは共産党と選挙協力しながら
護憲を訴える共産党と一定の距離をとったことです。
1年前の参院選で民進党と共産党は民共合作を行い
「改憲派に3分の2を取らせない」というスローガンで戦いましたが、
そもそも民進党は改憲派なので、その矛盾を突かれ、
共産党が議席を伸ばす一方で、民進党は多くの議席を失いました。
民共合作は民進党分裂の直接の原因ですが、
今回、立憲民主は「安倍政権下での改憲に反対」と主張を微妙に変えてきました。

衆参共に既に改憲派が改憲発議に必要な3分の2の議席を確保している今、
「何が何でも護憲、一字一句変えてはならない」という
共産党の主張はリアリティに乏しい事がハッキリしました。
党首討論で安倍総理から
「自衛隊を違憲とする共産党が政権を取れば直ぐに違憲になるのでは?」
との指摘を受け志位委員長はしどろもどろになり、苦し紛れに
「党としては違憲だが、政権としては違憲にならない」
という二枚舌を繰り出すなど迷走は誰の目にも明らかでした。

55年体制では2:1の比率で自民党(保守)と社会党(革新)が議席を持ち
政権交代も出来ないが憲法改正も出来ないという状況でしたが、
今回、自民一強を守り、改憲勢力が三分の二以上の議席を維持したことで
憲法改正ができる状況になったことは確かです。
ただ、この勢いのままなし崩し的に改憲に向かうという甘い見方もできません。
菅政権の残党である立憲民主が野党第一党となり、
ただ民主党(民進党)が名前を変えた(というより戻した?)だけに思えますが、
旧民進党出身議員は立憲民主のみならず希望の党や無所属に散り散りになり、
当選者の中身だけで見ると
旧民進党議員が公示前よりも多くの議席を獲得するという状態になっています。
こうして他党に寄生して中から改憲議論を妨害する可能性はあります。

また枝野代表は「私は保守だと思っている」と発言するなど
リベラル政党を強調せず、
希望の党へ流れた旧民進党議員の合流をも容認するかのような姿勢です。
もし再結集が実現すれば今回の選挙は
民進党の希望の党への合流も含め
民進党が復活するための茶番にも見えてくるのです。


11月15日追記
小池都知事が希望の党代表を辞任を発表し、
後任に共同代表の玉木雄一郎氏が選ばれました。
小池都知事的には敗戦の責任を取ったつもりでしょうが、
何もかも中途半端というイメージが付き
都政も途中で投げ出すのではないかという疑念を新たに植えつけるだけで
やる事なすこと悪手ばかりな気がします。

日本獣医師会と関係を持ち加計学園問題を提起した玉木雄一郎新代表含め、
当選者も旧民進党系議員が大半なので
これで小池カラーが完全に消え去り
希望の党は実質的に民進党に支配されることになるでしょう。
小池都知事は何がしたかったのか?という疑問だけが残り、
ますます民進党が復活するためのシナリオに思えて来ました。

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