戦史④核による平和とテロ。

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冷戦~現代

第二次世界大戦はアメリカが、広島と長崎に原子爆弾を投下、
日本が降伏したことで終了します。
核兵器の登場は機関銃同様、戦争に革命を起こしました。

Castle Romeo
キャッスル作戦・ロメオ実験のキノコ雲

機関銃は何発もの弾を連続発射し一人で十人を殺せる武器でした。
機関銃は従来の戦争形態を変え、
二度に渡る世界大戦。
総力戦という長期の持久戦争を発生させました。

そして原爆は一発で一都市を破壊する兵器です。
人類の求めた火力は一つの頂点を極めました。
これが機関銃のように普及すれば
次に起こるのは必然的に「核戦争」になります。
日本を降伏させたように
これは早期に決着がつく決戦戦争の復活でもありました。

第二次世界大戦後、戦勝国中心に国際連合が結成され、
再び平和共存の道を歩み、
NPTによって核保有は安保理の5大国が独占しました。
しかし第二次世界大戦のイデオロギーの対立はさらに広がりを見せ
米ソ2大国の冷戦となりました。
米ソは核開発、宇宙(ミサイル)開発などで凌ぎを削り
大陸間弾道弾(ICBM)や原爆より威力のある水素爆弾も作られました。
このように核戦争の可能性はかなり現実的でした。

しかしながら幸いにも現在に至るまで核戦争は起こっていません。
実際に起こればそれは人類滅亡に関わるからです。
アメリカ単独保有時代だったヒロシマ、ナガサキは例外で
核戦争は一方が核を打てばもう一方も報復を行い、
これが双方の同盟国などにも飛び火すれば
世界中の主要都市でほぼ同時に核爆発が起こります。
現在、世界は
人類を40回滅亡させるだけの核兵器を持っているとされています。
核戦力は高度な戦略兵器
通常戦闘で使える代物ではなく、目的は抑止力でした。

冷戦中、共産国陣営は中国やソ連を後ろ盾としていたので
朝鮮戦争ベトナム戦争でも
核による報復を恐れ、アメリカは核先制使用をためらいました。
これはソ連も同じでした。
キューバ危機では核戦争一歩手前に迫りましたが、
米ソ両国に自制が働き寸前で和解しました。
結果的には世界大戦級の戦争は起こらず
全体としてみれば皮肉にも平和な時代となりました。

しかし、核は必ずしも全ての戦争を防ぐ要因にはなりませんでした。
ベトナム戦争では北ベトナムがゲリラ戦を展開し、
大国アメリカを追い出すことに成功します。
東南アジアのジャングルでは戦車などの近代兵器が使えませんでした。
核使用を除けば小国でも
ゲリラ戦テロという手法で大国に勝てることを証明したのです。
これはランチェスター戦略弱者の戦略でした。

Defoliation agent spraying
ジャングルに枯葉剤を散布する米軍ヘリ(ベトナム戦争)

ソ連が崩壊し、アメリカ一極の時代になると全面核戦争の危険は減少しましたが、
アメリカ支配に抵抗するテロはむしろ増加しました。
9.11はその象徴的な出来事でした。

National Park Service 9-11 Statue of Liberty and WTC fire
炎上するNYのツインタワー(アメリカ同時多発テロ)

アメリカはテロとの戦いを宣言してアフガンやイラクで大兵力を投入しましたが
国家が完全にテロリズムを根絶するのは困難です。
アフガン紛争やイラク戦争など今でも完全解決に至りません。
それどころかイスラム国などテロ活動は活発になっています。
テロリストは核兵器や化学兵器などの
大量破壊兵器を手にすることでアメリカに対抗しようとしています。
無慈悲にテロ行為を行うテロリストに米ソのような自制があるとは思えません。
戦争は国家対国家から国家対テロリストへと
概念自体が世界大戦時とは大きく変わってきました。

しかし、リーマンショック以降アメリカの国力が低下の一途をたどり、
ロシア中国といった国家が頭角を現し、
かつての世界大戦のような構図が生まれつつある現状もあります。
北朝鮮イランなど核拡散の問題もあります。

現在、世界ではステルス機無人機ロボット兵器などが開発されています。
新兵器はテロの時代を終わらせることができるでしょうか?
それとも新たな軍拡競争を生み第三次世界大戦に進むでしょうか?

核兵器を開発したアインシュタイン博士
第3次世界大戦でどのような兵器が使われるかわからないが、
第4次世界大戦では石と棍棒が使われるだろうと述べています。

人類が先に進むか、リセットされるのか岐路に立たされていると言えるでしょう。

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