衆院解散はいつか?

自民党派閥の政治資金パーティー券のノルマ以上の売上のキックバックを
政治資金収支報告書に記載をしていなかった裏金疑惑に関して
政治刷新本部で派閥の在り方について議論が続く中、
本部長である岸田総理が1月18日に突然、岸田派解散を宣言。
これを受けて翌日には疑惑の渦中にある安部派二階派
そして25日に森山派も相次いで解散を発表しました。
こうして自民党の6派閥のうち4派閥が解散となりました。
安部派幹部の立件は見送られましたが、
派閥を解散することで「政治とカネ」問題にケジメを付けようという事でしょう。
しかし政策集団としては残すともしており、
残りの2派閥麻生派茂木派は政策集団として派閥を存続させることを明言しています。

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派閥と政策集団

派閥と政策集団の違いは何なのか?
実際は一緒の事であり、言葉の言い換えでしかありません。
結局のところ大政党の自民党で何かをやろうと集まれば政策集団となるわけで、
一旦、解散させたところでまた結成されるでしょう。
そもそも今回の問題は収支報告書に記載がなかったことが問題なのであり、
派閥の存在が問題なわけではない。
完全に議員辞職や世論からの責任追及を回避するための詭弁です。
派閥解散は何の解決にもならない。そうした考えもあり、
岸田総理が一方的に自身の派閥を解散した事に麻生派や茂木派から反発がありました。

しかしながら岸田派解散宣言が決定打となり、
自民党の派閥解消の流れが進んだことは紛れもない事実であり、
政治刷新本部でも中間とりまとめ案で
派閥の政治資金パーティの禁止や人事に関与しない事などが盛り込まれました。
1月の世論調査で8カ月ぶりに内閣支持率が上昇した事から
能登半島の地震対応の評価とあわせて
岸田総理のサプライス発言はパフォーマンスとして一定の効果はあったと言えます。

2024-01-14 PM Fumio Kishida visit the affected are of 2024 Noto Earthquake 02
部隊を激励する岸田総理
(出典:首相官邸

岸田総理の目論見

低迷する支持率から党内一部で岸田降ろしの動きが出始める中で、
自らが先陣を切って岸田派解散を宣言する事で
より深刻な裏金疑惑に湧く安倍派、二階派を解散に追い込み、
森山派を懐柔する事で、麻生派と茂木派の動きを封じたのは
結果的にピンチをチャンスに変えたと言えるかもしれません。

また、支持率が上昇し始めたこのタイミングで
4月10日に岸田総理が国賓待遇で渡米し、日米首脳会談を行う事が決まりました。
国賓待遇での訪米は2015年の安倍首相以来となります。
岸田総理にとってはまたとない晴れ舞台です。
今回の派閥解散で内政を落ち着かせて
得意の外交で支持率回復の起爆剤にしたいところでしょう。

能登半島地震の予備費増額の修正が加えられ、
2024年度予算案については野党も協力せざるを得ず、
3月末の年度内には成立する見込みで、
4月下旬には細田博之前衆院議長の死去に伴うものなど複数の補欠選挙が見込まれ、
7月7日には小池百合子都知事の任期満了に伴う東京都知事選の投開票が行われます。
都議会では自公協力が解消されているため、
都知事選の結果を待って国政での自公連立のあり方を見定める事から
衆議院解散の時期は
都知事選後、自民党総裁選直前の8月~9月頃が濃厚と睨んでいます。
衆議院選の結果次第では岸田総理が総裁に再選される可能性も残されています。

ポスト岸田

9月の総裁選においてポスト岸田の動きも考える必要があります。
2021年総裁選にも出馬した河野太郎デジタル相
高市早苗経済安全保障担当相野田聖子氏が出馬に意欲を示しています。
党内では人気のある小泉進次郎氏石破茂氏を推す声も大きいです。
茂木敏充幹事長は麻生副総理からの信任も厚く、
出馬の機会を窺っていましたが、
幹事長職の立場のため岸田総理が出馬した場合は断念する可能性が高いです。

自民党の今の最大の問題は派閥の政治資金パーティー問題であるため、
派閥に所属する麻生派の河野氏、
自らが会長を務める茂木派の茂木幹事長にとっては分が悪いと言えます。
共産党は1月18日の党大会で初の女性トップである田村智子委員長が誕生し、
志位委員長の23年に渡る独裁に終止符を打ちましたが、
自民党が一新したという印象を党内外に示すには
女性総裁(総理)誕生ぐらいのインパクトが必要かもしれません。

高市氏も野田氏も無派閥ではあります。
高市氏は保守派に根強い人気がありますが、
最大の後ろ盾だった安倍元総理を失ったのが痛手であり、
野田氏は少子化対策などで実績があるものの、
夫が元暴力団員という事実からファーストハズバンドが元暴力団では
ファーストレディ外交で示しがつきません。
そこで急浮上しているのが上川陽子外務大臣を推す声です。

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上川陽子外務大臣
(出典:外務省)

法務大臣時代には麻原彰晃をはじめオウム事件の死刑囚の死刑執行や、
得意の英語でウクライナやパレスチナの問題にも臆せず挑み、
外務大臣としての実務能力を高く評価されており、
岸田総理にとっても解散した岸田派所属
自身と同じ外務大臣を経験する上川氏であれば後任として認める可能性があります。

キーとなる小池都知事

しかし、最大の女性総理候補は党外にいます。
女性総理候補としての一番人気は何といっても
安倍元総理から「ジョーカー」と呼ばれた小池百合子東京都知事です。

Yuriko Koike official portrait
小池百合子東京都知事
(出典:国土交通省関東地方整備局)

小池氏は2016年に自民党を電撃的に離党し都知事選に出馬し当選。
オリンピック会場問題や豊洲移転問題などで小池旋風を巻き起こし
2017年の衆議院選挙には「希望の党」を結党し国政に進出。
安倍自民党に対して当初は政権選択選挙を挑み、
初の女性総理の座を狙いましたが、
民進党合流において「リベラルを排除する」と発言し失速、
自身も都政に集中するため国政選挙には不出馬、
希望への合流を進めた民進党代表の前原誠司も無所属で出馬した事で
最終的には小池カラーが抜けて玉木代表の国民民主党として残っているだけで
希望の党としては消滅してしまいました。
このように小池都知事には国政復帰への未練があります。

今回、自民党派閥の政治資金問題によって小池都知事にとって
女性総理になる最大のチャンスが巡ってきたと言えます。
都議会では自公協力が解消されているものの、
自公共に小池都知事に秋波を送っている状況です。
自民党都議連の代表である萩生田前政調会長
小池都知事との会談を繰り返しており、
旧知の中である二階前幹事長とは離党後も良好な関係にあり、
二階前幹事長は小池都知事の国政復帰を歓迎する意向です。
一度は自民党を裏切ったものの政府の主要な要職を務めてきた実績もあり
自民党から国政復帰する可能性もあります。
このように小池都知事は奇しくも裏金問題の渦中にあった
安倍派二階派との繫がりが強く、
岸田総理の派閥解散宣言で派閥を解散せざる得なくなり、
政権中枢から追放された安倍派、二階派にとって
小池都知事と言うジョーカーを切って
岸田総理を引きずり下ろし、再び権力を取り戻す魂胆かもしれません。
都政で協力関係にある公明党にとっても
7年前、希望の党で国政を目指した際には小池都知事と距離を取ったものの
自民党からの復帰なら違和感がないと言えます。

小池都知事が立ち上げた希望の党国民民主党の前身団体であり
国民民主党は都民ファーストと共同勉強会を開催したり、
2022年の参議院選挙では小池都知事と玉木代表が
共同で街頭演説をするなど蜜月関係にあります。
自公連立を繋ぎ止めるか、解消に向かわせるかのカギは
小池都知事が握っていると言えますし、
政権寄りだった国民民主の玉木代表は自民党裏金問題で
自公との連立協議に急ブレーキがかかっていますが、
小池氏が自民党再生の旗振り役となるのであれば
首相指名に賛同し、与党に参加する可能性があります。

自民党の支持率が低空飛行を続けるなら
再び自民党のライバルとして国政に参入する可能性もあります。
大阪に拠点を置く同じ地域政党出身である日本維新の会
参院に続き次の衆院選挙で第二党を狙っており、
来年2025年の大阪万博を成功裏に収めるため、
東京に地盤を持つファーストの会と選挙協力を行うかもしれません。
しかし、7年前希望の党として同じ船に乗った前原氏が新党を立ち上げ、
日本維新の会と共に京都市長選に挑みましたが、
推薦候補の架空パーティー疑惑で希望の党の時と同じように不戦敗となっています。

7月の東京都知事選ですが、小池都知事はまだ明確な出馬表明を行っていません。
野党は有力な対立候補の擁立に難航しており、
自公も都民ファーストに相乗りする可能性が高いので
出馬すれば小池都知事の3選は硬いでしょう。
ただ、2021年に東京オリンピックが終わり、
東京ではしばらく目玉と言えるイベントがない状況です。
事実上コロナ過を乗り越えて一区切り、
安倍総理と言う強力な存在が不在で、
古い自民党の派閥構造に変化が起こっている今、
野心家である小池氏は都政から国政に鞍替えするかもしれません。

都知事のまま国政選挙に出馬しなかった事で国政参入に失敗した過去があり、
4月の都知事選で圧勝した後に都知事を投げ出して
来年10月までに行われる衆議院選に臨むのは批判を生むだけなので考えにくい。
この事から7月の東京都知事選か、
衆議院選挙のどちらかに出馬するはないかと思います。
東京都知事を続けるのか
日本初の女性総理を目指すのか
小池都知事は政局を冷静に見極めて、ギリギリまで熟考するでしょう。

「もしトラ」の備え

岸田総理や小池都知事の個人的な権力抗争よりも
台湾有事や朝鮮有事の可能性がこれまで以上に高まる中、
日本にとっては「もしトラ」に備えた体制を作る事を
意識しなければなりません。
プーチンやネタニヤフ、習近平に理解を示すトランプ候補
11月の大統領選で勝利すれば
来年以降、ロシアに譲歩した形でのウクライナ戦争終結
イスラエルのガザ侵攻では二国共存を訴えるバイデンとは打って変わり、
イスラエルによるガザ、ヨルダン川西岸の併合を認め、
台湾有事が発生すれば米軍介入を拒否して台湾併合を黙認する可能性があります。
日本独自の防衛力獲得、憲法改正については待ったなしの状況です。

4月の日米首脳会談に挑むバイデン大統領、岸田総理は共に支持率で苦戦しており
ここでの会談が日米それぞれの選挙の後にどう生きるのか
しっかり対策を練ってもらいたいです。
こういう時に思うのが安倍元総理が生きていたらどんなに心強かったかという事です。
本当に取り返しのつかない事です。
2022年、2023年と選挙中の暴力が続いていますが、
今年こそは無事に平和的な選挙が行われることを切に願います。

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