新元号「令和」。

4月1日、新元号令和が発表されました。
最初はピンと来ない違和感というかインパクトが薄いなという印象でしたが、
今では上品な響きでなかなか良いのではないかと思っています。
まぁ俗用されない言葉を選ぶので最初はどうしてもこうなりますね。

Yoshihide Suga announcing new imperial era Reiwa 2 (cropped)
(出典:首相官邸)

発表前は「安久」がランキング上位に上がるなどしましたが、
各新聞社が他社よりも早く速報を出そうと報道が過熱する中、
昭和改元の際に起きた光文事件のような漏洩を防ぎ無事発表に至りました。
改元自体大きな国家的イベントですが、
特定秘密情報保護法案などの法整備を行ってきた安倍政権にとって
今回は情報漏洩を防ぐ事が何より重要だったのかもしれません。

過去に使われた字と新しい字の組み合わせというのは
過去の事例から想像できたところです。
個人的には「光」「喜」などが使われるのではと予想していましたが、
一代を挟んで再び「昭和」の「和」を使うのは意外でした。
慶応を挟んで元治、明治の例もありますが、
読んで字のごとく戦争の反省から生まれたであろう
平成という元号と比較し、昭和には戦争の面影を感じるので
昭和に使われた字はあえて外すかと思っていました。
まぁ和は昭和だけでなくかなりの数採用されているので
それだけ日本人にとって人気の漢字ということですね。
令はまったく想像できませんでしたが、過去には候補に上がっていたようです。

出典は万葉集の梅の花の歌の序文にあたる
「初春の月にして、気淑く風らぎ、
梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」からで、
これまでの中国古典でなく初の日本古典からの引用になります。
どうやら日本古典から選ぶことは既定路線だったようです。

Reiwa 000039555
(出典:首相官邸)

「安部総理は中国が嫌いだから日本古典にした」
という安直な批評をする人がいますが、
元来保守派って中共は嫌いでも伝統的な中国文化は好きな人多いですよね。
オリンピックや万博を控え、現在進行形でインバウントが増加している中で
単純に日本らしさを前面に押し出す意図があったのではないかと思います。
古事記や日本書紀など日本古典の多くは
意味を無視して音を借りているだけの漢字の羅列に過ぎないので
元号には相応しくないともいわれましたが、
今回の梅の花の歌にしても元は漢詩です。

そもそも元号というシステム自体中国由来のものですし、
今や日本のみが使用する日本文化になっています。
日本が韓国やベトナムのように漢字を捨てる事がなかったのも
一字で複数の意味を表す表語文字に表現の深みを感じたからではないでしょうか?
戦後、日本も元号の廃止、または改元が検討されましたが、
大化の改新、大宝律令、和同開珎、建武の新政、享保の改革、安政の大獄、
明治維新、大正デモクラシー
など日本の歴史に深く根付いたものであり、
結局従来通り昭和が継続され、
1989年1月7日に昭和天皇が崩御するまで
64年間という世界最長の元号となりました。

「令は命令の令だ」
元号さえも安倍政権の批判に使う人がちらほらいますが、
令月は何をするにも良い月という意味であり、陰暦二月の異称でもあります。
二月生まれの新天皇となる皇太子殿下にもピッタリで、
発表のタイミングも旧暦の二月にあたる
4月上旬だったことも見事だったのではないかと思います。
天皇陛下の裁可を受けた今、
いくら難癖を付けようが陛下への不敬になるだけです。
令和2年には東京オリンピック
令和7年には大阪万博が行われ世界中の人が日本を訪れます。
一方でポスト冷戦時代だった平成でアメリカの一極支配が進みましたが、
令和はパクスアメリカーナの終焉、新冷戦時代の幕開けになろうとしています。

「昭和」世界平和を願うという意味でした。
令和時代が昭和初期のような混沌とした時代になるか、
または昭和中期以降のような目覚しい復興の時代を迎えるかは
結局のところ元号ではなく日本人一人一人の行動にかかってきます。
元号をこうしたつまらない政争の具にするのではなく
元号にふさわしい世の中になるように
日本国民それぞれ目標を持って努力をするべき
ではないでしょうか?
新元号ばかり話題にあがりますが、
今は残り少ない平成退位される今上陛下を思い、
一日一日悔いなく過ごしていきたいです。
武蔵野陵で両陛下の御陵が建設されていると聞いて寂しく感じています。

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