核もある平和な世界。

Ivy King - mushroom cloud
アイビー作戦キング実験(1952)

19世紀最大の発明「蒸気機関」なら
」は20世紀最大の発明と言っていい。
核エネルギーは半永久的なエネルギー
「人工的に作り出した太陽」である。

人類は一歩「神の領域」に近づいた。
しかし、飛行機やコンピュータがそうであるように
技術革新の第一歩は何においても軍事用から始まる。
核技術も大きな威力の持つ原子爆弾から始まった。

原爆は第二次大戦中、日本を含め各国で研究された、
技術的にはドイツが一歩進んでおり、理論体系は日本が進んでいたが、
資源のあるアメリカがマンハッタン計画で唯一開発に成功。
実戦に投入される・・・

1945年の夏に日の本の国2つの火球が発生し、
激しい閃光と爆風の後に上空にはきのこ雲が現れた。
ヒロシマ型TNT火薬13キロトン
ナガサキ型TNT火薬22キロトン
原爆登場以前の最大の爆弾、
イギリスのグランドスラム(地震爆弾)でTNT火薬5800キロ程度であり、
その2000倍の威力を持つ爆弾が突如民間都市にて使用されたのである!

現在の通常兵器でも
最大威力TNT火薬10トン規模(MOAB)であるため桁違いの威力である。
ちなみに史上最大の爆弾は
ロシアの水素爆弾ツァーリ・ボンバ(爆弾の皇帝)で
TNT火薬100メガトンであり、
第二次世界大戦中に全世界で使われた総爆薬量の10倍の威力を持つ
ソ連時代1961年にノヴァヤゼムリャで行われた実験では
50メガトンに制限されたが、
それでもヒロシマ型の3300倍の威力であり、
核爆発は2,000キロメートル離れた場所からも確認され、
その衝撃波は地球を3周した。

さらに恐ろしいのは爆発によって生じた放射線である。
放射線は建造物を通過するので
爆風から逃れて外傷のない人も、被爆地に救助に駆け付けた人も
残留放射能の影響(黒い雨、死の灰)によって被曝し、
より多くの人が健康被害に襲われた。
頭髪の脱毛、皮下出血、歯茎からの出血、鼻血、
下痢や嘔吐などの急性放射線症候群や、
白血病やがん、骨髄異形成症候群などを発症する可能性が高くなる
晩発性の放射線障害が発生する。
被曝者の胎児も知的障害や奇形などのリスクが高まる。
これらは「原爆症」と言われ、
被曝による遺伝子異常で被曝者の2世、3世・・・
現在進行形で被害を与え続けている。

この恐ろしい最終兵器はアメリカに4年遅れてソ連も独自開発に成功。
そしてイギリス、フランス、中国と続いた。

核の優位が揺らぐとアメリカは原子力の平和利用を訴え
原子力発電を推進する一方で、
原爆よりさらに強力な水素爆弾(水爆)を開発。
しかし各国もすぐさま開発に成功。
冷戦期間、米ソは核開発競争を続け
核実験を繰り返し、土壌と大気は汚染され
「核戦争は時間の問題」とされた。

核保有国はNPT(核拡散防止条約)をもって
保有を米英仏露中(国連常任理事国)に制限した。
しかし、インドが開発に成功すると
政治的に対立するパキスタンが新たな保有国となる。
(両国ともNPT非加盟)

1962年キューバ危機で核戦争の危険性が最も高まったところで
1991年ソ連崩壊を迎え核戦争の危険性は減少したが、
北朝鮮がNPTを脱退し2005年に保有を宣言。
事実上の新たな保有国となった。
イランとシリア、イスラエルも長らく開発の噂が絶えない。
核技術はどんどんと流出し、
テロリストに渡る可能性が出てきた。

核兵器は高度な技術と莫大な管理費用がかかる割には
一度使われると連鎖的に報復が行われ、
人類滅亡の危機に直結するため
アメリカが単独保持していたヒロシマ、ナガサキのように
通常戦闘に使用される機会はまずない
コストがかかり、各国の財政を圧迫するため
幾度も核軍縮の話し合いはされてきたが目覚ましい成果は表れていない。
一度手にした力は誰も手放したくない。
これが人類が核技術を手に入れて69年の歴史である。

日本は唯一の被爆国と言う立場にあり、
反原水爆で世界をリードする反核国家である。
国民には核に対するアレルギーがあり、
日本周辺に核ミサイルを日本に標準を合わせている
ロシア、中国、北朝鮮が存在するにも関わらず、
日米同盟で実質的に「核の傘」に守られてはいるが、
国家として「核武装論」は少数派に留まっている現状である。

一方、日本を除くほぼ全ての先進国は核を保有、
もしくは共有できる状況である。
日本は「もたず・つくらず・もちこませず」
非核三原則を国是としているが、
同じ敗戦国であるドイツでさえ有事の際はアメリカの核を持ち込み使用できる。
(ニュークリア・シェアリング)

国連常任理事国=世界に認められた核保有国(NPT)という図式。
イランや北朝鮮などの発展途上国が
保有もしくは開発に積極的である事を考えても
核はもはや高度に政治的な「戦略兵器」であり、戦争の抑止力であり
国際的な発言権の強化国威を現すものとなっている。

日本はIAEAから公式に認められ青森県六ヶ所村に
核保有国以外で唯一再処理工場を持っており
使用済み核燃料を大量に保有、
H2A、イプシロンなど
打ち上げ実績にあるロケット技術も持ち合わせているため
容易に核ミサイルを製造できる潜在的な核保有国という意見もある。
日本のNPT加盟の必須条件は日米同盟であるため
もし日米同盟が破棄され、
核の傘が無くなれば直ちにNPTを脱退し核保有国となりえる。

そして世界第3位の経済大国である日本はそれだけの権利がある大国だ。
中国、北朝鮮が核を保有している現状において核武装は議論する価値がある。
ヒロシマ・ナガサキから発する
反核派の感情的な意見はあまり意味をなさない。
反原発も同じ構造であり、
3・11より前に反原発を訴えた人はどれほどいたのか?

日本は唯一の被爆国であり核に対しては一番発言権があるべきだ。
3・11を見ても確かに核を完全に人類はコントロールできていない
しかし、日本は資源の少ない国であり
先の大戦の一因も国民生活に必要な石油を確保する事であった。
今現在でも中東の主な産油国は政情不安に犯されており、
安定的な供給は見込めない。
日本の高度経済成長が止まったのも中東戦争が原因だった。(オイルショック)
戦後、日本にとって
原子力発電がどれだけ重要であったか・・・
核がなければ平和が維持できない
という矛盾した世界が現実にある。

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