2025年上半期の世界。

お久しぶりです。
体調不良が続き、更新が止まってしまっていました💦
今年ももう半分が過ぎようとしていますが、
これまで振り返ろうと思います。

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欧州 ローマ教皇の葬儀と難航する停戦交渉

トランプ大統領ゼレンスキー大統領は共に
4月21日に死去したローマ教皇フランシスコの葬儀に参列するためバチカンを訪問、
葬儀前に文字通りひざ詰めで15分の会談を行いました。

President Donald Trump sat down to meet privately with Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy in St. Peter’s Basilica in Vatican City at April, 26th 2025.

この場所は教皇の棺が安置された広間です。
ワシントンで行われた口論会談から二ヶ月、
この場を提供したローマ法王庁の粋な計らいは
フランシスコ教皇が「世界平和の実現」を求め続けたこともあるのでしょう。
会談の後にはイギリスのスターマー首相
フランスのマクロン大統領も加わり立ち話をしている様子も伺えます。
西側は結束しているようにも見えますが、
ロシアとの交渉についてはアメリカは特使を派遣しており、
あくまで中立的な立場に立つ姿勢を見せています。

しかし、思うように停戦交渉は進展せず、
第二次トランプ政権発足以来、アメリカは停戦交渉の仲介を主導してきましたが、
ここに来て、トランプ大統領は交渉からの撤退を示唆。
ウクライナ、ロシア双方に対して不満を示した形ですが、
ウクライナもロシアも安易に引けない前線の状況を踏まえつつ、
アメリカの積極的関与というチャンスを巡って、これまで以上の心理戦となっています。

中東 イスラエルとハマスの戦闘再開

3月18日、イスラエル軍がガザを空爆し、
2カ月近く続いたハマスとの停戦は事実上終了しました。
ネタニヤフ首相はハマスが残る人質の解放を拒否したためと
軍事作戦再開の正当性を説明しますが
ハマスもこれまでアメリカ、エジプト、カタールの仲介で合意した
1月の停戦合意をイスラエルが履行していないと繰り返し非難していました。

やはり中途半端な一時休戦では恒久的な和平は望めない。
この点はロシアとウクライナも感じるものがあったでしょう。
完全にヨーロッパでの和平交渉に水を差す形となってしましました。
またガザ空爆に当たり、
イスラエルは事前にトランプ政権に相談していたというから
「戦争をディールの道具にしている」
トランプ政権の和平仲介への姿勢が疑われても仕方がありません。

極東 米中関税戦争

トランプ政権はロシアに融和姿勢を見せる一方で中国へは強硬姿勢で臨み、
米中で関税の応酬を繰り広げました。

就任前より、トランプは中国の輸入品に最大60%の関税を課すと訴えていましたが、
就任当日に不法移民や合成麻薬フェンタニルの流入を理由に
中国、カナダ、メキシコの三国に追加関税を課すと宣言。
2月4日に中国の輸入品に対して10%の追加関税を即日発動
カナダとメキシコにも25%の高関税を発動するとされていましたが、
この二カ国は交渉の末、1カ月の猶予が与えられていました。
3月4日、対応が不十分としてカナダとメキシコへの関税も予定通り発動されましたが、
同時に中国への関税を10%引き上げ合計20%としました。

Donald Trump with new Presidential tariff chart on 2 April 2025 at the White House
「解放の日」演説で各国の関税率を発表するトランプ大統領

さらに4月2日「解放の日」演説でトランプ大統領は
全世界の輸入品を対象に一律10%の関税を課すと表明。
また貿易相手国の関税率や非関税障壁を独自に算出し相互関税を発動。
中国は34%(一律10%+24%)に設定され、
先の20%と合わせ合計54%となりました。

相互関税は全方位的と言えるものでしたが、
上乗せ分に対しては基準や論拠も曖昧なもので、非常に政治的と言えるものでした。
相互関税は同盟国の中でも差があり、
EU(20%)、日本(24%)、韓国(25%)となっていて、
最も親しいイギリスは上乗せ分が無い最低限の10%となっています。
政治的に経済的にもライバルである中国はこれらの国よりも遥かに高く設定され、
また中国が生産拠点を移す東南アジア諸国は
カンボジア(49%)、ラオス(48%)、ベトナム(46%)
平均から見ても軒並み高い税率となっていました。
今回の相互関税が中国を標的としたことは明らかでした。

2025 National Trade Estimate Report on Foreign Trade Barriers
外国貿易障壁報告書

4月9日、トランプは報復を表明しなかった国に対して
90日間、上乗せ分の関税を停止すると表明する一方、
アメリカの輸入品に対し同率34%の報復関税を発動した中国には50%を追加。
84%の相互関税となり、合計104%にまで膨れ上がりました。

しかし、中国も負けじと84%に関税を引き上げたため、
4月11日、最終125%まで引き上げられ、中国も即座に125%に引き上げました。
アメリカの中国への関税率は合計145%に到達しました。

5月15日、スイスで行われていた貿易協議の結果、
現在、相互に課している追加関税について115%引き下げることで合意し、
アメリカは30%、中国は10%に落ち着き、
米中が互いに100%を超える関税を掛け合うという異常事態は沈静化しました。
米中関税戦争は一応の停戦となりましたが、
引き下げた関税のうち24%については撤廃ではなく90日間の停止ということで
この停戦もイスラエルとハマスの戦争同様に非常に脆いと予想できます。

南アジア インドとパキスタンの衝突

flag of the Republic of India
Flag of Pakistan

コロナ戦争が5年目を迎えて世界が停戦に向かい始めるかと思いきや
新たな火種が南アジアで生まれました。
4月22日、インド、パキスタン、中国の係争地である
カシミール地方のインド支配地域でインド人観光客が狙われるテロ事件が発生。
パキスタンが支援しているとされる過激派組織「カシミール抵抗勢力」が犯行声明、
5月7日にモディ首相がカシミール地方のパキスタン側の拠点の攻撃を指示。
パキスタンが応戦し、印パが軍事衝突しました。

インドは非同盟主義ではありますが、
冷戦時代、ソ連と友好関係を結んだことで
パキスタンを支援するアメリカとの関係は良くありませんでした。
しかし、近年のインドは対米関係改善に向かい、
防衛装備品の輸入先をロシアから欧米などの西側に切り替え、
逆にパキスタンは中国との関係強化を進めた事で
印パ対立は、米中の代理戦争の様相を呈しました。

この衝突がウクライナやガザと違う意味合いを持つのは
インドもパキスタンも核保有国だからです。
インドは日本を抜いてGDP世界4位の経済大国となり、
ますます存在感を増すグローバルサウスのリーダーです。
世界平和に責任を持つ立場であるのに関わらず、
核保有国同士でも戦争が起こる事が明らかとなった以上、
抑止としての核兵器にも疑念が起こりかねません。

世界中が不測の事態に怯えましたが、
戦闘4日目にしてトランプ大統領がSNSで即時停戦を発表
印パともに等距離外交を行うアメリカがうまく仲介できた例ですが、
アジアの安全保障においては遺恨を残す形になりました。

J-10B with PL-10 and PL-12
中国のJ-10
(出典:Alert5

特にドッグファイトではパキスタン軍が中国製J-10C戦闘機を使い
インド空軍所属のフランス製ラファール戦闘機を撃墜したと報じられました。
今回の衝突は中国戦闘機が西側戦闘機と相対する初めての出来事であり、
ラファールが初めて実戦で損失、
中国戦闘機が初の戦果を挙げたことが事実とすると、
中国戦闘機は西側戦闘機には歯が立たないとする定説を覆す事となり、
中国にとっては台湾侵攻を前に
自国兵器の性能に自信を持った可能性があります。

まとめ

今年は戦後80年という節目の年です。
しかし、世界は今、分断と対話、軍拡と抑止、戦争と和平の狭間に揺れ動いています。
そしてダイナミックに展開する世界政治の中で、
国内問題ばかりに気を取られ、
日本の存在感はますます低下しています。

再び戦争の時代へと逆戻りするのか。
それとも、平和と安定を主導する立場を築くのか。
地政学的にも経済的にも要衝にある日本は、もはや「傍観者」ではいられません。
歴史の節目に立つこの瞬間、
日本が世界に向けてどのような未来を描くのか。
核拡散や平和について語れる日本
その責任を果たさなければ我々の平和は簡単に壊されてしまいます。

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