アメリカ大統領選2024。

11月6日、2024年選挙の年のラストを飾る
アメリカ大統領選の投開票がありました。
認知症疑いのバイデン大統領との討論会や
自らの暗殺未遂を乗り越えて支持を集めた共和党のトランプ候補でしたが、
現職のバイデン大統領が7月21日に大統領選からの撤退を表明し、
民主党候補がカマラ・ハリス副大統領に変わると
マスコミはハリス優勢を伝え続けていました。
しかし、ふたを開けてみればトランプの圧勝でした。

Gambar Donald Trump
共和党候補ドナルド・トランプ
Kamala Harris as Vice President of the United States
民主党候補カマラ・ハリス

ハリスは黒人系・アジア系女性として初の副大統領となった人物で、
リベラルの民主党らしいマイノリティーには受けの良い大統領候補でしょう。
しかし、その主張はバイデンを上書きしたもので、独自カラーがなく、
選挙戦ではトランプ批判に終始しました。
トランプ批判は的を外れ、
掲げる政策もトランプから「じゃあ、なぜ今やらないんだ?」
政権側にいるハリスに鋭く指摘、トランプとの討論ではアドリブの弱さを露呈しました。

また、戦争が多発する厳しい国際情勢の中、
女性のハリス大統領で乗り越えられるのかという不安もあったでしょう。
こうした中、アメリカ国民が選んだのは
アメリカファーストのトランプ大統領のカムバックでした。

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トランプ「独裁」の確立

トランプ大統領の復活は
1892年の選挙におけるグロバー・クリーブランド以来
132年ぶりの元職大統領の返り咲きでした。
しかし、第一次政権とは状況が大きく違ったものとなっています。
国民の政治屋批判を背景に、
剛腕ビジネスマンのトランプが殴り込んだのが2016年の選挙戦でしたが、
一般投票での得票数では民主党のヒラリー候補に負けていました。
2018年の中間選挙では下院の過半数を民主党に明け渡し、
共和党内主流派の中でも反トランプ派がいたため、
円滑な政権運営のためにもトランプの過激さは制限され、
結果的にある程度のバランスが保たれていました。
安倍元総理との蜜月関係もこうしたバランスの上で成り立っており、
アジア外交の指南役としてアメリカの共和党自身が望んだともいわれています。

今回、8年ぶりに大統領、上院、下院全てで共和党が過半数を握る
俗にいうトリプルレッドとなり、
また前政権で反トランプ勢力が追放されたため、
党内にトランプを制御できる人物がいないので、
トランプの政策がやりたい放題となります。
まさにトランプ「独裁」が確立されたといっていいでしょう。
第一次政権とは全く違った政権運営となる可能性もあります。
プーチンや習近平と言った世界の新帝国主義の独裁者と対峙できるのは
「独裁者」しかないというアメリカ国民の選択だったのかもしれません。

国際社会への影響:G20とウクライナ情勢

11月18日と19日の二日間、
ブラジルのリオデジャネイロでG20サミットが開かれました。
G20は先進国である西側G7各国と新興国との結束を示す機会です。
今回のG20の議長国ブラジルは、
ロシアとの友好関係を維持しているグローバルサウスの一つです。
ウクライナや中東での戦争が続く中、
前回の議長国インド、モディ首相に続いて初日に首脳宣言を発表しました。
「平和なくして繁栄なし」と停戦を求めましたが、
今回もロシアの名指し批判を避けました。
ルラ大統領はG20を成功裏に収めるため、G7とロシアをまとめるのに苦心、
会期中、ウクライナや中東での戦争について表現を巡る争いが起きました。

サミット恒例の初日の集合写真撮影には
バイデン米大統領、カナダのトルドー首相、イタリアのメローニ首相
G7の3人の姿がありませんでした。
アメリカは手配上の問題から写真が早めに撮影されたと主張し、
主催者側はバイデン氏が撮影時間に遅れたと主張し、意見が食い違っています。
翌日、ルラ大統領が撮り直しを求め、
リオの壮大なシュガーローフマウンテンの代わりに、実物ではない背景が使われました。
まさにG20の結束がかりそめであることを象徴するかのようです。

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ウクライナ戦線に北朝鮮兵が参戦したことを理由に
バイデン大統領はロシアに向けた
アメリカ製の長距離ミサイルの使用をウクライナに許可しましたが、
ゼレンスキー大統領は会期中の19日、
早速アメリカ製長距離ミサイル「ATACMS(アタクムス)」使用、
続いて20日にはイギリス製ミサイル「ストームシャドー」でも攻撃を開始しました。
ロシアのプーチン大統領は19日のミサイル攻撃後
速やかに核ドクトリンの改定を行い
核兵器の使用条件を大幅に緩和、核報復を警告をするなど
急激にロシアとNATO諸国の間で緊張が高まりました。
現状占領地で領土を確定するロシア有利な停戦に前のめりな
トランプ次期大統領の就任を来年1月20日に控えており、
ゼレンスキー大統領とバイデン大統領は焦ったかもしれません。

トランプ大統領就任の前から世界は混乱の中にいます。
トランプはヨーロッパでのウクライナ支援に消極的であり、
中東では逆に反イラン強硬派でイスラエルを支持する主張をしています。
トランプは力や威圧による現状変更を認める可能性もあり、
G20の合意は数カ月後には有名無実になってしまうかもしれません。

日本の対応:石破政権の外交課題

トランプ次期大統領は一次政権同様に当選後に
日本を含めた外国からの輸入品の関税を引き上げを表明しており、
前回、トランプ氏が大統領選で初勝利を収めた際、
トランプの過激な主張に世界中で反発が起こる中、
安倍元総理はどの首脳よりも早くにトランプタワーに赴いてトランプ氏と会談し、
その後のゴルフ外交を通じて信頼関係を構築しました。
日本政府にはこの成功体験がありました。

石破総理はブラジルのリオで開かれるG20の帰りにアメリカに立ち寄り、
トランプ次期大統領と早期会談実現に向けて調整を進めていましたが、
ついに会うことができませんでした。
石破総理が党内の主流派から追い落した麻生太郎最高顧問
副総裁時代の今年4月24日の比較的早い段階でトランプと会談を行っていました。
麻生氏は旧トランプ政権時代の要人としてトランプから信頼を得ており、
「シンゾーを知っている人物」
トランプ自らトランプタワーの玄関まで出迎える厚遇でした。
一方で石破茂と言えば安倍元総理にとって政敵と言える存在です。
トランプと渡り合える人物として石破総理はふさわしいでしょうか?
最高顧問を特使として派遣する方が日本のためかもしれません。

石破総理の南米外遊に見るリーダーの資質

石破総理は15日16日開催のペルーのAPEC会議、18日19日開催のブラジルG20サミット
過密スケジュール中、南米外遊に挑みましたが、
APEC会議には今年9月に亡くなったフジモリ元大統領の墓参りからの移動中、
事故渋滞に巻き込まれ記念撮影に間に合わず、
アジア太平洋における日本の影響力の低下を再現する事になり、
G20では新参者にも関わらず自ら他国首脳に挨拶に行かず、
席でスマホをいじる姿が撮影され、
握手を求めに席まで来た首脳たちには座ったまま対応するなど
南米外遊におけるふるまいは早速国内で批判を浴びています。

石破総理の外遊は石破政権の求心力の低下
トランプ政権との関係性の不透明さを示す結果となりました。
石破政権にとって、日米関係の立て直しは急務です。
トランプ大統領との信頼関係構築に加え、
国際社会で日本が独自の存在感を示すための外交戦略が求められています。
日米関係が安倍・トランプ時代のように再び安定を取り戻せるかどうか、
今後の動きに注目していきたいと思います。

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