次の衆議院選挙に向けた自民、公明両党の候補者調整で波乱です。
衆議院選挙の小選挙区の「10増10減」に伴い、
選挙区の数が5つ増える東京への対応について
公明党は、焦点となっている「東京28区」への擁立を断念したうえで、
東京では自民党の候補者に推薦を出さない方針を決定しました。
また東京都議会での自民との連携も解消する事になりました。
この影響が他の選挙区、
とりわけ自公連立に影響を与えるのかが注目されています。
東京を巡る動き
公明党の石井幹事長は「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」
と厳しい口調で発言していますが、
都議会で自公連携が解消された事は以前にもあります。
都議会公明党は小池百合子都知事が誕生し、
小池旋風が巻き起こった2017年の都議選前に、
1979年以来長きに渡って続いた都議会自民党との連携を解消し、
都民ファーストに鞍替えした過去があります。
選挙結果は都民ファーストの圧勝でついに自民党が下野することになりました。
その後、小池都知事が国政進出に動き出すと
公明党は都民ファーストと距離を置くようになり、
連立解消から5年後に再び自民党と連携し、2021年の都議会選挙に挑みました。
この選挙の結果、都民ファーストは第一党の座を自民党に明け渡す形となりましたが、
自民党は目標とした自公で過半数には届きませんでした。
こうした中で公明党は手堅く8回連続で全員当選を果たしました。
都民ファーストは都議会で公明党に秋波を送り、
今回、わずか2年で再び自民党を切る流れとなっています。
このように日和見なのは公明党の方です。
公明党は東京に限った話で自公連立に影響を与えるつもりは無いとしています。
国政は自民、都政は都民ファースト、権力に近い方に着く、
そこに政治的理念のかけらも無いことが分かります。
この発言はかえって公明党の談合主義を表しています。
憲法改正の障害
そもそも自民党の党是である憲法改正について
これまで連立を組んでいた公明党は改憲勢力に数えられながら
実際には護憲派であり、相容れないのです。
安倍政権下で衆参で改憲勢力が3分の2の議席を確保しながら
結局、発議を出さなかったのは
まさに連立を組む公明党の存在があったからです。
安倍政権後期の2017年には安倍総理が
「2020年を新しい憲法施行の年にしたい」と発言し、
憲法論議を本格化させようとしましたが、
本丸である9条について
2012年当初は国防軍(自衛軍)を保持するとした自民党草案は
2017年には憲法9条1項及び2項を残した上で自衛隊を明記という
公明党の「加憲」に寄り添う形でトーンダウンしてしまいました。
こういう半端な形で自衛隊を固定化してしまう方が問題であり、
改憲派からも護憲派からも評価されませんでした。
衆議院選挙を前に国政でも連立を解消してくれた方が
政局でなく政策で選ぶことになり有権者にとっては分かりやすくなります。
今後の公明党
長らく政権与党にいた公明党にも潮時が来たと言える状況です。
もともと公明党と自民党は犬猿の仲です。
政策が一致しないのに権力に縋るための談合、
それが今まで20年近く続いた自公連立です。
自民党にとって公明党の魅力は創価学会の求心力、組織票にあります。
しかし、池田大作名誉会長が長らく姿を見せない中で
信者の高齢化が進み、若年層の取り込みに失敗。支持率も低下。
統一教会問題から端を発する政治と宗教問題で
少なからず宗教を支持母体とする公明党に逆風が吹いています。
一方で前回の参院選で立憲民主党を抑えて、
野党第一党となった日本維新の会や国民民主党など
有力な改憲勢力が伸びている状況で、
憲法改正について消極的な公明党との連立は足枷でしかありません。
次の衆院選において維新は立憲との選挙協力を否定して、
衆議院においても野党第一党を取りに行こうとしており、
政策の近い国民民主も維新に秋波を送っています。
次の衆院選で大きな変化が政界に起きる予感がします。
この際、公明党は池田大作先生の公明な理想で結党された原点に立ち返って
イデオロギーで与党と対立する立憲民主党や社民、共産とは違った
人間主義の有力な野党になるべきです。
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